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昆虫の生態の調査だよ
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「今回はジャカルタの近郊で昆虫の生態の調査だよ」
飛行機に乗り込み席に着くと、セルゲイがにこやかに告げた。すると、
「え~…?」
安和が露骨に嫌そうな顔をする。彼女は虫があまり好きではなかったのだ。
一方、悠里は、
「分かった!」
と嬉しそうだ。彼は逆に昆虫などが好きだったから。
「じゃあ、安和は僕と一緒にショッピングだね」
ミハエルが言う。
「む~っ!」
なのに安和は不満顔だ。セルゲイと一緒じゃないのが納得いかないらしい。そんな彼女に、セルゲイが、
「せっかくの可愛さが台無しだよ♡」
ふわりとそよ風のような笑顔で言った。途端に安和は、
「は~い♡」
蕩けるような笑顔になった。本当にセルゲイのことが好きなのが分かる。
ちなみにセルゲイの年齢はすでに二百歳を超えている。年齢差二百歳の恋ということか。まあ、セルゲイとミハエルは、人間で言うところの従兄弟の間柄なので、血縁上は特に問題ないと思われる。
けれど四人の姿は、知らない者が見ればそれこそただ微笑ましい家族のそれにしか見えないだろう。やかましく騒ぐでもなくひたすら仲がいい。近くに座っていた老夫婦も、相貌を崩していた。
そして特に何事もなくジャカルタへと到着した。
熱帯気候のはずなのに、なぜか日本ほどは暑く感じないのが不思議だ。やはり日本はヒートアイランド現象が厳しいということだろうか。
まあそれはさておき、昼間はさすがに日差しが強いので、入国手続きを済ませ空港を出る時には、日差しを防ぐ上着を揃って着てフードを目深にかぶり、さすがにその恰好では目立つので気配を消して移動した。
夜までは空港近くのホテルで休み、日が暮れてからが本番だ。
「セルゲイ、セルゲイ、セルゲイ…!」
ホテルにチェックインして部屋に入ると、すぐさま安和がセルゲイに抱きついて駄々をこね始めた。
「虫なんかほっといてショッピングいこ~よ~!」
そんな安和にもセルゲイはとても優しい。決して怒らず、彼女の背中を軽くとんとんと叩きつつ、抱き締める。
「ありがとう、アンナ。デートのお誘いはとっても魅力的だ。心が揺らぐよ。だけどごめんね。僕も仕事をしなきゃいけない。でないとこうしてアンナと一緒に過ごす時間を作れなくなるんだ。
でも、仕事に行くまでの間は、一緒にいよう♡」
これもいつものことだった。セルゲイはアンナの気持ちを無下にはせず、ちゃんとこうして向き合ってくれる。だから彼女も、なんだかんだ言っても理解はしてくれるのだ。
「日暮れまではまだ間があるし、スイーツはいかがですか? 姫?」
「いくいく~♡」
そんな二人に、
「いってらっしゃい」
「僕達は部屋でゆっくりしてるよ」
ミハエルと悠里は手を振ったのだった。
飛行機に乗り込み席に着くと、セルゲイがにこやかに告げた。すると、
「え~…?」
安和が露骨に嫌そうな顔をする。彼女は虫があまり好きではなかったのだ。
一方、悠里は、
「分かった!」
と嬉しそうだ。彼は逆に昆虫などが好きだったから。
「じゃあ、安和は僕と一緒にショッピングだね」
ミハエルが言う。
「む~っ!」
なのに安和は不満顔だ。セルゲイと一緒じゃないのが納得いかないらしい。そんな彼女に、セルゲイが、
「せっかくの可愛さが台無しだよ♡」
ふわりとそよ風のような笑顔で言った。途端に安和は、
「は~い♡」
蕩けるような笑顔になった。本当にセルゲイのことが好きなのが分かる。
ちなみにセルゲイの年齢はすでに二百歳を超えている。年齢差二百歳の恋ということか。まあ、セルゲイとミハエルは、人間で言うところの従兄弟の間柄なので、血縁上は特に問題ないと思われる。
けれど四人の姿は、知らない者が見ればそれこそただ微笑ましい家族のそれにしか見えないだろう。やかましく騒ぐでもなくひたすら仲がいい。近くに座っていた老夫婦も、相貌を崩していた。
そして特に何事もなくジャカルタへと到着した。
熱帯気候のはずなのに、なぜか日本ほどは暑く感じないのが不思議だ。やはり日本はヒートアイランド現象が厳しいということだろうか。
まあそれはさておき、昼間はさすがに日差しが強いので、入国手続きを済ませ空港を出る時には、日差しを防ぐ上着を揃って着てフードを目深にかぶり、さすがにその恰好では目立つので気配を消して移動した。
夜までは空港近くのホテルで休み、日が暮れてからが本番だ。
「セルゲイ、セルゲイ、セルゲイ…!」
ホテルにチェックインして部屋に入ると、すぐさま安和がセルゲイに抱きついて駄々をこね始めた。
「虫なんかほっといてショッピングいこ~よ~!」
そんな安和にもセルゲイはとても優しい。決して怒らず、彼女の背中を軽くとんとんと叩きつつ、抱き締める。
「ありがとう、アンナ。デートのお誘いはとっても魅力的だ。心が揺らぐよ。だけどごめんね。僕も仕事をしなきゃいけない。でないとこうしてアンナと一緒に過ごす時間を作れなくなるんだ。
でも、仕事に行くまでの間は、一緒にいよう♡」
これもいつものことだった。セルゲイはアンナの気持ちを無下にはせず、ちゃんとこうして向き合ってくれる。だから彼女も、なんだかんだ言っても理解はしてくれるのだ。
「日暮れまではまだ間があるし、スイーツはいかがですか? 姫?」
「いくいく~♡」
そんな二人に、
「いってらっしゃい」
「僕達は部屋でゆっくりしてるよ」
ミハエルと悠里は手を振ったのだった。
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