16 / 697
パートナーとして子を持つ決断
しおりを挟む
『たとえどんな状態にあっても人間は、品行方正、清廉潔白、理路整然を貫けて当然』
世の中にはそんなことを考えている者が多いようだが、それで他人を罵ったりしてる当人が、『品行方正、清廉潔白、理路整然を貫けて』ないではないか。
しかも、
『叩かれる原因を作った奴が悪い』
とか言って<他人の所為>にまでして。
けれど、ミハエルはそのおかしさを知っているから、この時のアオの態度についても、
『一時的なことだからね』
と気にしなかった。
そもそも、自分がアオを妊娠させたのが原因なのだから、それでアオを責めるのはおかしいし。
こうしてミハエルが<普通じゃない状態>のアオを受け止めてくれたおかげで、
「ごめん……ホントどうかしてた……」
アオも素直に謝ることができた。と言うか、そこで冷静になれば謝れるような彼女だったからミハエルに選ばれた面もあるのも事実。冷静になってもなおミハエルの所為にして、
『私は悪くない』
と言い張るような人物であればアオはパートナーに選ばれていない。
なにしろ、
『吸血鬼であるミハエルを受け入れて彼の子を宿す決断をした』
のは他ならぬアオなのだから。
双方共に自分で選択してパートナーとして子を持つ決断をしたのだ。
『どちらに責任がある』
のかではなくて、
『どちらにも相応の責任がある』
のが事実である。一時正気を失ってつい八つ当たりしてしまう程度なら止むを得ない一面もあるものの、正気を取り戻してなお自分の責任を認めない相手とは長く一緒にいるのは難しいかもしれない。
こうして、悪阻が収まった時点で一旦は平穏な状態に戻ったものの、今度はお腹が大きくなってきてそれがまたアオの負担となった。
そうなるとまた、精神的に不安定にもなってくる。
「う~……うあ~……重い…しんどい……寝られない……」
ソファーに座ると逆に息苦しくなる気がして座ってられないので、床にマットを敷いてそこに横になったまま、アオは呻き声を上げていた。
これもまた妊娠につきものの事態。
だからやっぱりミハエルはそんなアオをただ労わった。
が、自分と違って平然としているミハエルを見てると、
「なんで女ばっかりこんな思いしなきゃいけないの? 男も妊娠したらいいのに…! てか、どっちが妊娠するか運で決まればいいのに……!」
とも口走ってしまった。
「ははは、そうだね」
アオの無茶苦茶な妄言にもミハエルは動じない。なにしろ当のミハエル自身が、
『代われるものなら代わってあげたい』
と思っていたのだから。
けれど、どんなに願っても代われないのは現実。ならば、彼女の八つ当たりを受け止める程度のことはしたかった。
「ありがとう…アオ。愛してる……」
彼女の体をそっと撫でながら、ミハエルはアオを労わったのだった。
世の中にはそんなことを考えている者が多いようだが、それで他人を罵ったりしてる当人が、『品行方正、清廉潔白、理路整然を貫けて』ないではないか。
しかも、
『叩かれる原因を作った奴が悪い』
とか言って<他人の所為>にまでして。
けれど、ミハエルはそのおかしさを知っているから、この時のアオの態度についても、
『一時的なことだからね』
と気にしなかった。
そもそも、自分がアオを妊娠させたのが原因なのだから、それでアオを責めるのはおかしいし。
こうしてミハエルが<普通じゃない状態>のアオを受け止めてくれたおかげで、
「ごめん……ホントどうかしてた……」
アオも素直に謝ることができた。と言うか、そこで冷静になれば謝れるような彼女だったからミハエルに選ばれた面もあるのも事実。冷静になってもなおミハエルの所為にして、
『私は悪くない』
と言い張るような人物であればアオはパートナーに選ばれていない。
なにしろ、
『吸血鬼であるミハエルを受け入れて彼の子を宿す決断をした』
のは他ならぬアオなのだから。
双方共に自分で選択してパートナーとして子を持つ決断をしたのだ。
『どちらに責任がある』
のかではなくて、
『どちらにも相応の責任がある』
のが事実である。一時正気を失ってつい八つ当たりしてしまう程度なら止むを得ない一面もあるものの、正気を取り戻してなお自分の責任を認めない相手とは長く一緒にいるのは難しいかもしれない。
こうして、悪阻が収まった時点で一旦は平穏な状態に戻ったものの、今度はお腹が大きくなってきてそれがまたアオの負担となった。
そうなるとまた、精神的に不安定にもなってくる。
「う~……うあ~……重い…しんどい……寝られない……」
ソファーに座ると逆に息苦しくなる気がして座ってられないので、床にマットを敷いてそこに横になったまま、アオは呻き声を上げていた。
これもまた妊娠につきものの事態。
だからやっぱりミハエルはそんなアオをただ労わった。
が、自分と違って平然としているミハエルを見てると、
「なんで女ばっかりこんな思いしなきゃいけないの? 男も妊娠したらいいのに…! てか、どっちが妊娠するか運で決まればいいのに……!」
とも口走ってしまった。
「ははは、そうだね」
アオの無茶苦茶な妄言にもミハエルは動じない。なにしろ当のミハエル自身が、
『代われるものなら代わってあげたい』
と思っていたのだから。
けれど、どんなに願っても代われないのは現実。ならば、彼女の八つ当たりを受け止める程度のことはしたかった。
「ありがとう…アオ。愛してる……」
彼女の体をそっと撫でながら、ミハエルはアオを労わったのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる