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植物に覆われた人工物

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なお、<フライトユニット>は、実はそれ自体が一体のロボットである。と言うか、

<翼とプロペラを装備したドーベルマンMPM>

と評した方が近いだろう。ドーベルマンMPMと基本コンポーネントを共有し、飛行に特化したモデルとでも言うべきものなのだ。

だから、半自律行動も可能である。

というのは余談ではあるものの、とにかくバドはフライトユニットを装着してゆっくりと空を飛び、約三時間を費やして開けた草原へとやってきた。

その中に、不自然に盛り上がった部分が見える。一切照明の類がないので人間の目にはただ闇が広がっているだけにしか過ぎないが、星明りでさえ昼間と変わらずに見通すことができるバドのカメラであれば、それが、

『何らかの人工物が植物によって覆われているだけ』

というのも分かってしまう。

加えて、しっかりと誘導用の信号が届いており、バドはその<植物に覆われた人工物>のすぐ脇に着陸した。

すると、闇の中に、何かの気配。

「るるるるる……」

「うるるるるる……」

と、獣が喉を鳴らしているような音。

しかし、それだけだった。襲い掛かってくる様子はない。それは、この<植物に覆われた人工物>の陰を寝床にしている、

ライオン人間レオン

という生き物達だった。しかもここにいるレオン達は、どうやらバド達ロボットに慣れているらしく、一応、警戒はしているもののそれ以上ではなかった。

だからバドも特に警戒することもなくフライトユニットを外して<植物に覆われた人工物>に近付いていく。そして、そんなバドを迎えるように<植物に覆われた人工物>の一部がわずかに音を立てながら開いた。扉だ。それ自体が地面に下ろされてスロープになるタイプの扉だった。縦方向約五メートル。横方向約七メートルといったところだろうか。

扉の中は、薄暗くはあるものの照明が点けられていた。明らかに<カーゴスペース>と呼ばれる空間だった。そこに、何体もの動く影。

ロボットだった。バドと同じくドーベルマンMPMが何体も中にいたのだ。

<人間>の姿はない。気配もない。ただただロボット達だけが動いている。

バドはその中に入っていく。フライトユニットはそのまま外で待機するようだ。

カーゴスペースに入ったバドは、ためらうことなく片隅に設けられた<洗浄スペース>へと向かった。バドの全身には、それこそもう動物の毛や植物の繊維が絡みついて、とにかく<薄汚い獣>のようにしか見えなかったので、まず洗浄することになったのだ。

なお、ここは、照明はとにかく薄暗いが、そこにいるのはロボットだけなので何の問題もない。煌々と灯が照らされているのと何一つ変わることなく行動できる。そもそも、照明そのものが必要ないのだが。

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