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Ⅰ
プロローグ トンデモ能力者
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国立煙ヶ丘高等学校。
我が国日本が誇る能力者向けの国立高等学校。
令和後期に作られたのにも関わらず、校舎は建完了設当初の姿のままであり、令和後期に作られたとは思えない防衛システムを採用しており、生徒の安全面にもトップクラスである。
また、この高等学校では、過去に様々な有権者が卒業しており、政治界に多大なる影響を与え、不穏な風向きだった当時の政治を改革させ、より日本を発展させた百四十五代目総理大臣である、宅野 衞もここ煙ヶ丘高等学校出身である。
そんな由緒正しい伝統ある高等学校へ向かう桜並木道。
男女共に黒の制服を着こなし、ブレザーの胸ポケットには煙ヶ丘高等学校の校章が刺繍で入っている。
開校当初から変わらない青のストライププリントのネクタイをきっちり上まで上げている生徒もいれば緩くしている生徒もいる。
そんな、青春アニメに出てきそうな背景に異彩を放つ少年少女が歩いている。
少年の名を宮下 怜と言う。怜は澄んでいる青眼が特徴的で、鞄を肩に掛けながらボタンを外してセーターを出しているブレザーのポケットに片手を入れながら登校。
そして、少女の名を宵咲 浪華と言い、金髪が特徴的な生徒であり、これまたボタンを外しているブレザーの上に一般的に売られている黒無地のフード付きジャケットを羽織り、登校している。
「すっごい美人……それに雰囲気が完全に一匹狼系のイケメンだぁ」
「やっぱ、アイツ顔、整ってるよなぁ。俺だって一生懸命生きてるのに……なんなのこの差……」
「距離近い癖に付き合ってないとか私達に対して焦らしプレイでもしてるんか?」
「はよ付き合えやカス」
と、滅茶苦茶ボロカスに言われたりする二人だが、特に気にせずに普通に歩く。
既に一年過ごした身からすればもう慣れた。いやぁ、慣れって怖いね。
「うるさいなぁ……」
「ボソッと言ったつもりだろうけど、普通に丸聞こえだからな?」
「別に良いよ。これであっちも落ち着くだろうし、何より朝からうるさい声を聞きたくない。こちとらアラームの音でストレス溜まってのに」
「んじゃ、アラーム無しで起きれるのですか?」
「……」
「そこで黙んなやおい」
傍からでは、特徴的な髪やら目についての話題といった外面について話していたり、怜の雰囲気、浪華の雰囲気で盛り上がってる中、二人はアラームについて話し合うという、なんとも言えない事を話している。
「危なぁい!」
「んあ?」
煙ヶ丘高等学校のグラウンドから朝からお疲れ様の野球部の声が怜に届き、声の主を見ると、上に指を指しながら「危なぁい! ボールが!」と言っている。
その通りに見ると綺麗にボールが怜に向けて飛んできている。
「ほいっ」
怜が指をパチンと鳴らした瞬間、ボールが消えた。
「んじゃ、浪華頼むわ」
「はいはい」
ため息を吐きながら、浪華は指をパチンと綺麗に鳴らして手を開くと、そこには消えたボールが出現していた。
「す、すいません! 怪我は無いですか!」
「大丈夫だよ」
「そうですか……すいませんでした」
「良いよ良いよ。どう転んだって怪我するの怜だし」
「おい」
「はい、ボール」
「ありがとうございます!」
坊主の少年はボールを受け取り、もう一度頭を下げてグランドへと走りに返った。
「いやぁ、便利だなぁ」
「なに?」
「いや、生成能力万能だなぁって」
「怜の崩壊能力が扱い難いんでしょ? 私のは普通だよ」
いや、そんな事は無いんだけどな?
怜と浪華の能力は互いに対になる存在だが、どっちにしろ協力なのは変わらない。
怜の崩壊能力は名前の通り、存在している物を崩壊させる事が可能。詳しい原理は未だに分からないが、宮下家代々引き継がれている能力という事もあり、崩壊能力は現存する十個しか存在しない新過能力として名を馳せている。
そして、浪華の能力である、生成能力。これも名前通りの現存する物を生成する能力だ。これも新過能力の一つとして数えられている。
もちろん新過能力であ十個の能力は、力も相まって上位家系として日本に君臨しており、互いに強力過ぎる能力を牽制を続けて能力暴走を起こらないようにしている。
設置されている新過能力の家系の役割は主に二つ。
一つは牽制。二つ目は防衛戦争の前線維持が主な役割だ。
ここ、日本は他国に比べて能力一つ一つの力は全体的に強い。新過能力程では無いが、一師団だけで中級国以下は一週間足らずで攻め落とせる程度だ。
そのおかげで、日本も他国へと牽制する事が可能になり、馬鹿な国以外は攻めてこない。
しかし、それも良しとしない国も勿論存在する。
数年前に起きた日本大侵攻時は、宣戦布告無しで奇襲上陸をした国と防衛戦争に発展した事例が存在した。
当たり前だが、日本特殊自衛隊は配置していない。その時に二つ目の役割である防衛戦争の戦線維持をする必要性がある。
結果的には日本の大勝。新過能力全てが集結し、敵軍を殲滅させ日本から完全に追い出した。
侵攻してきた敵国は最終的には日本に大量の金を譲渡。日本を除いた先進国が監視をしている。現在進行形で。
しかし、新過能力が存在している事は世間一般的に常識として社会を縦横無尽に動き回っているが、十能力は何かなのは知られてない。そもそも公開すらされてない。
「それにしても……また親達が暴れてきたらしい」
「また?」
「うん。沖縄大侵攻戦大勝だってさ」
「今度は沖縄……本当に島国で助かったわ」
「分かる。もし内陸国だと考えると……ゾッとするわ」
「全部日本のせいだけどね」
「それはそう。なんで国連に日本の能力の強さをアピールしたんのか、未だに理解できん。しなければこんなめんどくさい事にならなかったのに」
「しょうが無い。当時の政府上層部に文句を言って欲しいよ。もう死んでるけど」
当時の国の上層部の無能っぷりに呆れながら桜並木道を歩いていると、煙ヶ丘高等学校特有のデカい門が見えてきた。
一年通えば、慣れるという事でそのまま目にも止めずに門を潜る。
煙ヶ丘高等学校の特徴として、クラス替えが存在せずにそのまま進級していく。理由は……決めるのがめんどくさいからでしょう。
そのまま下駄箱で上履きに履き替えてクラスへと向かう。二年生になったという事で、クラスは四階から三階へと下がった。
「三階になるだけでこんなに楽になるのか……」
感慨深くなっている怜を放置しつつ、浪華がクラスの扉を開ける。
教室の中には既に何人か来ており、それぞれで談笑したり、静かに書籍を読んでいる人も居る。
「席は……」
「廊下側の一番後ろと前か」
「本当だ。ほんと目は良いよね」
「目以外も良いだろうが」
もはや定番と化した言い合いに、クラスの生徒達は「いつもの事か」と流して何事も無かったかのようにそれぞれの事をやり始める。
怜と浪華は自分の席へと荷物を置いて椅子を引いて座る。
「あっ、そういえば」
「ん?」
「怜って先生に呼び出されてなかったけ?」
「まじで?」
「まじ」
固まった怜をシャーペンでコツコツと肩を突く。何処かイタズラじみた顔で怜を見るが、そんな事を、認識している暇は無い。
「ちょ、ちょっと行ってくるわ!」
椅子をガタンと大きな音を出して直ぐに職員室へと走り出して行った。
「ふふっ、直ぐに信じるなんて純粋な子だなぁ」
普段滅多に見せない浪華の笑みはここで消化されたのだ。
もちろん、周りの生徒は聞こえている。
その上、希少価値が高すぎる笑みも。
女子生徒は怜に「ドンマイ」と。男子生徒は崇める。
異様な光景に後から入ってきた生徒達にドン引きされる男子生徒諸君だった。
我が国日本が誇る能力者向けの国立高等学校。
令和後期に作られたのにも関わらず、校舎は建完了設当初の姿のままであり、令和後期に作られたとは思えない防衛システムを採用しており、生徒の安全面にもトップクラスである。
また、この高等学校では、過去に様々な有権者が卒業しており、政治界に多大なる影響を与え、不穏な風向きだった当時の政治を改革させ、より日本を発展させた百四十五代目総理大臣である、宅野 衞もここ煙ヶ丘高等学校出身である。
そんな由緒正しい伝統ある高等学校へ向かう桜並木道。
男女共に黒の制服を着こなし、ブレザーの胸ポケットには煙ヶ丘高等学校の校章が刺繍で入っている。
開校当初から変わらない青のストライププリントのネクタイをきっちり上まで上げている生徒もいれば緩くしている生徒もいる。
そんな、青春アニメに出てきそうな背景に異彩を放つ少年少女が歩いている。
少年の名を宮下 怜と言う。怜は澄んでいる青眼が特徴的で、鞄を肩に掛けながらボタンを外してセーターを出しているブレザーのポケットに片手を入れながら登校。
そして、少女の名を宵咲 浪華と言い、金髪が特徴的な生徒であり、これまたボタンを外しているブレザーの上に一般的に売られている黒無地のフード付きジャケットを羽織り、登校している。
「すっごい美人……それに雰囲気が完全に一匹狼系のイケメンだぁ」
「やっぱ、アイツ顔、整ってるよなぁ。俺だって一生懸命生きてるのに……なんなのこの差……」
「距離近い癖に付き合ってないとか私達に対して焦らしプレイでもしてるんか?」
「はよ付き合えやカス」
と、滅茶苦茶ボロカスに言われたりする二人だが、特に気にせずに普通に歩く。
既に一年過ごした身からすればもう慣れた。いやぁ、慣れって怖いね。
「うるさいなぁ……」
「ボソッと言ったつもりだろうけど、普通に丸聞こえだからな?」
「別に良いよ。これであっちも落ち着くだろうし、何より朝からうるさい声を聞きたくない。こちとらアラームの音でストレス溜まってのに」
「んじゃ、アラーム無しで起きれるのですか?」
「……」
「そこで黙んなやおい」
傍からでは、特徴的な髪やら目についての話題といった外面について話していたり、怜の雰囲気、浪華の雰囲気で盛り上がってる中、二人はアラームについて話し合うという、なんとも言えない事を話している。
「危なぁい!」
「んあ?」
煙ヶ丘高等学校のグラウンドから朝からお疲れ様の野球部の声が怜に届き、声の主を見ると、上に指を指しながら「危なぁい! ボールが!」と言っている。
その通りに見ると綺麗にボールが怜に向けて飛んできている。
「ほいっ」
怜が指をパチンと鳴らした瞬間、ボールが消えた。
「んじゃ、浪華頼むわ」
「はいはい」
ため息を吐きながら、浪華は指をパチンと綺麗に鳴らして手を開くと、そこには消えたボールが出現していた。
「す、すいません! 怪我は無いですか!」
「大丈夫だよ」
「そうですか……すいませんでした」
「良いよ良いよ。どう転んだって怪我するの怜だし」
「おい」
「はい、ボール」
「ありがとうございます!」
坊主の少年はボールを受け取り、もう一度頭を下げてグランドへと走りに返った。
「いやぁ、便利だなぁ」
「なに?」
「いや、生成能力万能だなぁって」
「怜の崩壊能力が扱い難いんでしょ? 私のは普通だよ」
いや、そんな事は無いんだけどな?
怜と浪華の能力は互いに対になる存在だが、どっちにしろ協力なのは変わらない。
怜の崩壊能力は名前の通り、存在している物を崩壊させる事が可能。詳しい原理は未だに分からないが、宮下家代々引き継がれている能力という事もあり、崩壊能力は現存する十個しか存在しない新過能力として名を馳せている。
そして、浪華の能力である、生成能力。これも名前通りの現存する物を生成する能力だ。これも新過能力の一つとして数えられている。
もちろん新過能力であ十個の能力は、力も相まって上位家系として日本に君臨しており、互いに強力過ぎる能力を牽制を続けて能力暴走を起こらないようにしている。
設置されている新過能力の家系の役割は主に二つ。
一つは牽制。二つ目は防衛戦争の前線維持が主な役割だ。
ここ、日本は他国に比べて能力一つ一つの力は全体的に強い。新過能力程では無いが、一師団だけで中級国以下は一週間足らずで攻め落とせる程度だ。
そのおかげで、日本も他国へと牽制する事が可能になり、馬鹿な国以外は攻めてこない。
しかし、それも良しとしない国も勿論存在する。
数年前に起きた日本大侵攻時は、宣戦布告無しで奇襲上陸をした国と防衛戦争に発展した事例が存在した。
当たり前だが、日本特殊自衛隊は配置していない。その時に二つ目の役割である防衛戦争の戦線維持をする必要性がある。
結果的には日本の大勝。新過能力全てが集結し、敵軍を殲滅させ日本から完全に追い出した。
侵攻してきた敵国は最終的には日本に大量の金を譲渡。日本を除いた先進国が監視をしている。現在進行形で。
しかし、新過能力が存在している事は世間一般的に常識として社会を縦横無尽に動き回っているが、十能力は何かなのは知られてない。そもそも公開すらされてない。
「それにしても……また親達が暴れてきたらしい」
「また?」
「うん。沖縄大侵攻戦大勝だってさ」
「今度は沖縄……本当に島国で助かったわ」
「分かる。もし内陸国だと考えると……ゾッとするわ」
「全部日本のせいだけどね」
「それはそう。なんで国連に日本の能力の強さをアピールしたんのか、未だに理解できん。しなければこんなめんどくさい事にならなかったのに」
「しょうが無い。当時の政府上層部に文句を言って欲しいよ。もう死んでるけど」
当時の国の上層部の無能っぷりに呆れながら桜並木道を歩いていると、煙ヶ丘高等学校特有のデカい門が見えてきた。
一年通えば、慣れるという事でそのまま目にも止めずに門を潜る。
煙ヶ丘高等学校の特徴として、クラス替えが存在せずにそのまま進級していく。理由は……決めるのがめんどくさいからでしょう。
そのまま下駄箱で上履きに履き替えてクラスへと向かう。二年生になったという事で、クラスは四階から三階へと下がった。
「三階になるだけでこんなに楽になるのか……」
感慨深くなっている怜を放置しつつ、浪華がクラスの扉を開ける。
教室の中には既に何人か来ており、それぞれで談笑したり、静かに書籍を読んでいる人も居る。
「席は……」
「廊下側の一番後ろと前か」
「本当だ。ほんと目は良いよね」
「目以外も良いだろうが」
もはや定番と化した言い合いに、クラスの生徒達は「いつもの事か」と流して何事も無かったかのようにそれぞれの事をやり始める。
怜と浪華は自分の席へと荷物を置いて椅子を引いて座る。
「あっ、そういえば」
「ん?」
「怜って先生に呼び出されてなかったけ?」
「まじで?」
「まじ」
固まった怜をシャーペンでコツコツと肩を突く。何処かイタズラじみた顔で怜を見るが、そんな事を、認識している暇は無い。
「ちょ、ちょっと行ってくるわ!」
椅子をガタンと大きな音を出して直ぐに職員室へと走り出して行った。
「ふふっ、直ぐに信じるなんて純粋な子だなぁ」
普段滅多に見せない浪華の笑みはここで消化されたのだ。
もちろん、周りの生徒は聞こえている。
その上、希少価値が高すぎる笑みも。
女子生徒は怜に「ドンマイ」と。男子生徒は崇める。
異様な光景に後から入ってきた生徒達にドン引きされる男子生徒諸君だった。
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