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浮気ものへのおしおき 5
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残った人々は、放り出されて地面に転がった楓を助け起こし、白い毛並みについた埃を払いながら、ひそひそと相談している。
「楓殿を殿のところへ案内すべきか?」
「一旦、春之助殿に知らせたほうがよいのでは? 昨日の殿のご乱心ぶりを思うと……」
「御用部屋をひとつひとつ見て回られたそうだな? まさかの抜き打ち検閲かと思って、粗相をしかけた者もいたとか……」
「下男下女たちの部屋にも顔を出していたようだ」
「手配書を作ろうかと言い出されて、町奉行の顔が引きつっていたなぁ」
「捕らえても、牢に入れたり鞭で打ったりはしないだろうが……」
「別の意味で厳しい責め苦を科しそうだな」
「ううむ……」
何やらとんでもなく大事になっているようだと知って、楓は焦った。
ちょっとした散歩程度のつもりでふらりと出かけてしまったのが、いけなかったらしい。秋弦はとても心配していたようだ。
ただでさえ忙しい秋弦に迷惑をかけてしまったと、思案する人々と共に楓がしょんぼりしていると、聞き慣れた声が降って来た。
「おや。楓殿ではないか。無事のお戻り何よりで」
見上げれば、秋弦とよく難しい話をしている寺社奉行だった。
「殿が心配していたから、早く顔を見せにいったほうが……」
寺社奉行の姿を見た途端、それまでひそひそと相談していた人々の顔に喜色が浮かんだ。
「ああ! 寺社奉行様!」
「適任ですな!」
「お奉行! 楓殿を殿のところまでお連れいただけませんか? 昨夜の様子から、このまま楓殿をひとりで向かわせるのは、少々心配でして……」
一人が楓を抱え上げ、寺社奉行に押し付けた。
「どうか、お頼み申しまする」
「う、うむ?」
半ば押し付けられるような格好で楓を受け取った寺社奉行は、そのまま秋弦の寝所へ向かう羽目になった。
「楓殿を殿のところへ案内すべきか?」
「一旦、春之助殿に知らせたほうがよいのでは? 昨日の殿のご乱心ぶりを思うと……」
「御用部屋をひとつひとつ見て回られたそうだな? まさかの抜き打ち検閲かと思って、粗相をしかけた者もいたとか……」
「下男下女たちの部屋にも顔を出していたようだ」
「手配書を作ろうかと言い出されて、町奉行の顔が引きつっていたなぁ」
「捕らえても、牢に入れたり鞭で打ったりはしないだろうが……」
「別の意味で厳しい責め苦を科しそうだな」
「ううむ……」
何やらとんでもなく大事になっているようだと知って、楓は焦った。
ちょっとした散歩程度のつもりでふらりと出かけてしまったのが、いけなかったらしい。秋弦はとても心配していたようだ。
ただでさえ忙しい秋弦に迷惑をかけてしまったと、思案する人々と共に楓がしょんぼりしていると、聞き慣れた声が降って来た。
「おや。楓殿ではないか。無事のお戻り何よりで」
見上げれば、秋弦とよく難しい話をしている寺社奉行だった。
「殿が心配していたから、早く顔を見せにいったほうが……」
寺社奉行の姿を見た途端、それまでひそひそと相談していた人々の顔に喜色が浮かんだ。
「ああ! 寺社奉行様!」
「適任ですな!」
「お奉行! 楓殿を殿のところまでお連れいただけませんか? 昨夜の様子から、このまま楓殿をひとりで向かわせるのは、少々心配でして……」
一人が楓を抱え上げ、寺社奉行に押し付けた。
「どうか、お頼み申しまする」
「う、うむ?」
半ば押し付けられるような格好で楓を受け取った寺社奉行は、そのまま秋弦の寝所へ向かう羽目になった。
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