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真神さまの使い 6
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秋弦は、角右衛門の妻であり、秋弦の乳母であるばあやから、女中の仕事が楽しくて一生結婚するつもりなどなかったが、ひと回りも年の違う大の大人であった角右衛門の泣き落としに絆されたと聞いている。
「もちろん返事を書くが、まずは使者に会う。顔を合わせて初めて見えることもあろう」
怒りに震える角右衛門をそのままに、寺社奉行には下がるように伝えて秋弦が部屋を出ると、入側で控えていた春之助が素早く付き従う。
角右衛門もすぐに追いつき、秋弦の半歩後ろに従った。
ちらりと振り返った秋弦は、鬼のような顔している角右衛門を見て、素早く前を向いた。
「使者は一人か? 角右衛門」
「正式な使者は一名ですが、供侍など十名ほどの護衛を引き連れております。一旦、全員一か所にて待つよう指示しておりまする」
まとめて監視する方がよいという角右衛門の判断に、秋弦も頷く。
「得物を取り上げるべきかとは思いましたが、殿と会う使者のみでよいかと思い、そのままに。もちろん、腕の立つ者を部屋の周囲に控えさせておりまする」
「そうだな。最初から信用していないと思わせるのは、得策ではない。使者のみ大広間へ案内するように」
「では、そのように」
途中、角右衛門を使者たちのもとへ向かわせ、秋弦はそのまま大広間へと向かった。
「……縁談をこの場で断らないということは、まさか更姫様と会うおつもりですか」
秋弦が、上段のいつもの場所に腰を下ろすなり、斜め左前に控えた春之助が押し殺した声で問いかけた。
「使者の様子次第ではあるが、そのつもりだ」
「淨春院に接触しているのは、銀嶺の国のものかもしれません。十年前のかどわかしも、もしかしたら銀嶺の国のものかもしれません。それでも、会うと仰せになるですか?」
「手は打つ」
「あえて危険を冒す意味があるのですかっ!?」
春之助が神経質になるのも、わからなくもない。
十年前のかどわかしについて、秋弦の記憶はないまま、秋弦を城から攫った者たちは、ついに見つからなかった。
お遊の方は自分がかどわかしを企み、よそ者に金を渡したが相手の正体は知らないと告白したが、本当に知らなかったのか、話す気がなかっただけなのかはわからない。
声を大きくした春之助へ、秋弦は冷ややかに問い返した。
「私が、意味のないことをするとでも思っているのか?」
「もちろん返事を書くが、まずは使者に会う。顔を合わせて初めて見えることもあろう」
怒りに震える角右衛門をそのままに、寺社奉行には下がるように伝えて秋弦が部屋を出ると、入側で控えていた春之助が素早く付き従う。
角右衛門もすぐに追いつき、秋弦の半歩後ろに従った。
ちらりと振り返った秋弦は、鬼のような顔している角右衛門を見て、素早く前を向いた。
「使者は一人か? 角右衛門」
「正式な使者は一名ですが、供侍など十名ほどの護衛を引き連れております。一旦、全員一か所にて待つよう指示しておりまする」
まとめて監視する方がよいという角右衛門の判断に、秋弦も頷く。
「得物を取り上げるべきかとは思いましたが、殿と会う使者のみでよいかと思い、そのままに。もちろん、腕の立つ者を部屋の周囲に控えさせておりまする」
「そうだな。最初から信用していないと思わせるのは、得策ではない。使者のみ大広間へ案内するように」
「では、そのように」
途中、角右衛門を使者たちのもとへ向かわせ、秋弦はそのまま大広間へと向かった。
「……縁談をこの場で断らないということは、まさか更姫様と会うおつもりですか」
秋弦が、上段のいつもの場所に腰を下ろすなり、斜め左前に控えた春之助が押し殺した声で問いかけた。
「使者の様子次第ではあるが、そのつもりだ」
「淨春院に接触しているのは、銀嶺の国のものかもしれません。十年前のかどわかしも、もしかしたら銀嶺の国のものかもしれません。それでも、会うと仰せになるですか?」
「手は打つ」
「あえて危険を冒す意味があるのですかっ!?」
春之助が神経質になるのも、わからなくもない。
十年前のかどわかしについて、秋弦の記憶はないまま、秋弦を城から攫った者たちは、ついに見つからなかった。
お遊の方は自分がかどわかしを企み、よそ者に金を渡したが相手の正体は知らないと告白したが、本当に知らなかったのか、話す気がなかっただけなのかはわからない。
声を大きくした春之助へ、秋弦は冷ややかに問い返した。
「私が、意味のないことをするとでも思っているのか?」
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