19 / 57
言うことを聞かない馬は、いりません 2
しおりを挟む
「んっ」
ハロルドは口づけながら、ソファの上へビヴァリーを引き倒すと、ワインの味のする舌を絡ませた。
驚き、暴れようとしてもハロルドの身体の重みで身動きが取れない。
歯がぶつかりそうになるほど激しいキスをしながら、ハロルドはシャツを脱ぎ捨て、ビヴァリーの色気も何もない、襟の詰まった紺色のワンピースの前ボタンを器用に外していく。
レースもリボンもない簡易なコルセットはあっという間に外されて、頼りないシュミーズ姿になってしまう。
薄い布地越しに、ハロルドの手が乳房を包み込むように触れると、身体の中を炎が通り抜けたように一瞬で熱が上がった。
ようやく自由を得た唇を開き、必死に空気を求めて喘いでいると緩いシュミーズの襟を引き下げられる。
「ひゃっ」
むき出しになった乳房を隠そうとした手は、あっさりハロルドの両手に捕らわれて、胸を見せつけるように大きく広げられた。
「こんなに敏感になっているということは……先に、飲んでいたのか?」
ぴんと尖った頂に、ふっと息を吹きかけられただけで、ビヴァリーは仰け反った。
「やぁっ」
「はっ……相手を堕とすんじゃなく……自分が堕ちてどうする? それとも……これも演技か?」
舌先で嬲られた瞬間、足の間から痺れるような快感が指先まで満ちる。
「――っ!」
悲鳴を上げそうになって、ぎゅっと唇を噛み締めながら、身体を強張らせる。
しばらくして、痺れが消えると、どっと汗が噴き出した。
「はっ……あっ……」
荒い呼吸を繰り返していると、腰まで落ちたワンピースをだけでなく、ドロワーズまで引き抜かれた。
「……ゃっ!」
起き上がろうとしても、膝裏を押し上げられては起き上がれない。
そのまま足を広げられると、微かな水音がした。
「や、やだっ」
恥ずかしくて必死に足を閉じようとしても、間にハロルドがいるのでどうしようもない。
「物欲しそうにヒクついている……」
嘲るような笑みを浮かべたハロルドは、ビヴァリーの足元の方へと身体をずらしていく。
「は……ハル……?」
何をする気なのだと見つめていると、ハロルドは持ち上げたビヴァリーの太股に吸い付いた。
「いっ……」
微かな痛みに身動ぎするとすぐに離れたが、今度は人に見せたことなどない場所に顔を埋める。
「え、や、ああっ」
驚く間もなく、ぬるりとしたものがいつの間にか濡れていた場所を舐め上げた。
今まで感じたことのない感触に戸惑うビヴァリーに、何をされているのか理解する猶予を与えず、ハロルドは襞の間に隠れていた粒を弾き出した。
「ひっ」
突然与えられた刺激にビクリと腰を浮かせると、熱い唾液を注がれる。
「う、あっ……ああっ」
与えた唾液とビヴァリーから溢れる蜜をかき混ぜながら、ハロルドの舌は狭い空洞を抉り、長くて硬い指を差し入れて、蜜を塗り込めるように襞の隅々まで探る。
(お、かしくなる……くらい、気持ち、いい……)
時々、秘密の場所の入り口にある粒を舌先でつつかれると、爪先まで痺れてしまう。
「このままだと、ソファを汚しそうだ……」
呟いたハロルドが、涸れることなく溢れる蜜を強く吸い上げた瞬間、ビヴァリーは目を見開いて仰け反った。
「ひっ……あああーっ!」
腰を浮かせ、ハロルドの唇に秘唇を押し当てて達し、痙攣しながらソファに沈みこむ。
心臓は破裂しそうに鼓動を早め、身体のどこにも力が入らない。
霞む視界に、ハロルドが残っていたワインを最後の一滴までグラスに注ぎ、一息に飲み干すのが見えた。
「実際に試すのは初めてだが……望み通りにしてやる」
逞しい腕がビヴァリーを抱え上げ、柔らかなベッドの上に横たえられた。
冷えたシーツが火照った身体に気持ちよく、このまま眠れそうだと思っていると、ギシリ、とベッドが軋んだ。
再び重ねられた唇は、より濃厚なワインの味がした。
「ん……」
触れられるまでは、ただの飾りでしかなかった胸の蕾を指先で嬲られると、一度は引いた快感の波があっという間に寄せ返す。
ぐちゅり、ぐちゅりと淫らな音を立てて、ハロルドの指を受け入れている場所は硬い指を味わうように吸い付き、蠢いている。
「こんなに淫らな姿を見られるのなら……大金を払って跪く男がいるのもわかる」
歪んだ視界と霞む思考で、ハロルドの言葉を理解しようとしたけれど、絶え間なく襲って来る快感の波に打ち消されてしまう。
燃え盛る暖炉に放り込まれたみたいに、身体が熱くなってきて、何も考えられなくなりそうだ。
「ビヴァリー……何が欲しいんだ?」
(欲しいもの……?)
ビヴァリーは、ぼんやりと覆い被さるハロルドを見上げた。
手を伸ばし、歪んだ笑みを浮かべる頬に触れると冷ややかな目で見下ろされた。
金色の髪は暗がりでも美しく輝き、鳶色の瞳は欲望を燻らせている。
逞しい腕や胸は『ビリー』の知らないものだったけれど、この世で馬と同じくらい綺麗で大好きなものに変わりはない。
もしも、ハロルドが馬だったなら、自分の厩舎に一番に迎え入れたいと思う。
いつも馬たちにしているように、広い肩を撫で、美しい曲線を持つ背を辿り、引き締まった腰に触れるとビクリと震えた。
「くっ……」
悔しそうに唇を噛み締めて睨みつける顔は、負けず嫌いの少年そのものだ。
「……ハルが……欲しい」
血が滲みそうなほどきつく噛み締められた唇に触れながら正直に告白すると、ハロルドもひび割れた声で告白する。
「ああ……俺も、ビリーが欲しい」
いらないとか、嫌いだとか言われなかったことにほっとして、ぎゅっとその身体を抱きしめようとしたビヴァリーは、ハロルドの大きな手が太股をぐっと押し上げると同時に、硬いものが潤った場所に押し当てられるのを感じた。
何だろうと思った瞬間、ピリッとした痛みが足の間に走った。
「あっ!」
本能的な恐怖からハロルドの胸を押し、身体をずり上げる。
少し離れたビヴァリーは、痛みを感じた場所を見下ろして、そこに凶器のような太くて長いもの見た。
それは、ハロルドの天使みたいな顔にそぐわないものだけれど、ハロルド自身に繋がっている。
初めて目にするものに驚いて、ぼんやりしていた頭がはっきりしたビヴァリーは、自分が何をしようとしていたのか、ようやく理解した。
「ま、待って……や、ハル……」
結婚するまで貞操を守っている女性は、今のビヴァリーの周りにはいなかったし、マーゴットのように、足りない生活費を補うためにこういうことをしている女性も少なくなかった。
貧しい暮らしをする中で、何度か勧められたり誘われたりしたことはある。
でも、ビヴァリーにとって、こんな親密な行為はお互いを信頼し、愛し合っている人がするものだった。そうでなかったとしても繁殖のための行為だと思っていた。
より強い競走馬を作るためには血統を考えて繁殖するように、貴族も血統を考えて子どもを作ったりするはずだ。
酔ってこんなことをしたと知ったら、ハロルドはきっと後悔すると思った。
(酔っているときに、大事なことを決めたりするのはよくないとパブの店主が言ってたし、父さんも酔っ払って馬に乗るなんて言語道断だって言ってた……)
「ハル、ダメ……」
伸し掛かるハロルドの胸を押し戻そうとしたビヴァリーの耳に、冷ややかな声が落ちた。
「いくらだ?」
「え……?」
ビヴァリーを見下ろすハロルドの瞳は、欲望と憎しみに濁り、その声は怒りのあまりか、かすれて苦しげにさえ聞こえた。
「さんざん煽って、最後の最後で交渉する。……上手いやり方だ。こんな淫らな姿を前にして、やめられるわけがない。どんな男でも、懇願するだろう」
何を言われているのか理解できずに瞬きしていると、両手を掴まれ、磔にされる。
「金貨百枚か? それとも伯爵夫人……未来の侯爵夫人の座が必要か?」
「は、くしゃくふじん?」
ビヴァリーが目を瞬くと、ハロルドは天使のような顔に、悪魔のような笑みを浮かべた。
「金貨百枚程度では、足りないんだろう? 伯爵夫人になればドレスも宝石も自由に買える。男子を産めば一生安泰だ。いずれは侯爵夫人だ。朝から晩まで、馬に乗っていても誰にも文句は言われない。パンを買うためだけに、男にすり寄ったりしなくてもいい。最高に楽な暮らしを送れるんだ。誰だって、そんな生活を望まないわけがない。それとも……大勢の男を相手にしなくては、満足できないか?」
「……そ、んなこと……」
大勢どころか、こんなふうになっているのはハロルドが初めてだと言おうとしたが、乱暴に口づけられ、顎が痛くなるほど唇を貪られる。
「う……むぅっ……」
息が上がるほどビヴァリーを苦しめた後、ハロルドが呟いた。
「どっちでもいい……どうせ、抱くのに変わりはない」
「え、あっ……あ、ぐぅっ」
太股を掴まれ、力任せに引き寄せられる。
逃れようと腰を浮かせたせいで、熱い杭は易々とビヴァリーの秘唇を割り、誰にも荒らされたことのない場所を無理やり切り拓く。
「うっ」
「……せま、すぎるだろ……」
布を引き裂くように、身体を中心から引き裂かれるような痛みに硬直していると、ハロルドは呻きながらビヴァリーの身体を抱きしめ、ぐっと腰を押し込んだ。
「ひっ……」
下腹部から、頭のてっぺんまで痛みが突き抜けた。
あまりの痛みに、ぎゅっと閉じた瞼の裏がチカチカと点滅している。
引き抜けばいいのだとわかっていても、少しでも動いたら、切り裂かれたところがさらにズタズタになりそうで、怖くて身動きできない。
「あっ……うっ……」
浅く呼吸をするだけでも痛みは増し、頭の中でガンガン鐘を打ち鳴らされているようだ。
「はっ……あっ……」
「……ビヴァリー?」
脂汗の滲んだ額を撫でるハロルドが訝しげに呼ぶ。
とりあえず、痛いということは言わなくてはと声を絞り出す。
「ハ、ル……た……い」
「ビヴァリーっ!?」
驚いたようにハロルドが身を起こした拍子に、埋められていた杭が引き攣れた襞を擦り、ビヴァリーは悲鳴を上げた。
「ひっ、ああっ! い、いった……痛いっ……痛いーっ」
「ビヴァリー! 落ち着けっ」
「痛い、ハルっ! 痛いのっ……」
大声で叫ぶだけでも痛みが走り、ビヴァリーは震えながらすすり泣くことしかできなかった。
「……大丈夫だ、ビヴァリー……何もしない! ビヴァリー!」
ボロボロと溢れる涙で視界が歪み、ハロルドの顔はまともに見えなかったが、その声からは焦りと怒りと苦しさが感じられる。
ハロルドはそれ以上は動かず、じっとしてくれていたが、穿たれた杭は相変わらずビヴァリーの中を隙間なく占領していて、とても容易には引き抜けそうにない。
ビヴァリーを押し潰さないように自分の腕で身体を支えているハロルドの額から、汗がしたたり落ちて、ビヴァリーの頬を伝った。
ぎゅっと眉根を寄せて、息を詰めている様子から、ハロルドも辛いのだとわかり、ビヴァリーはすすり上げながらどうすればいいのか尋ねてみた。
「は、ハルの……ど、どうすれば、抜けるの……?」
目を開けるなり喉の奥で呻いたハロルドは、とても紳士とは思えぬ口調で罵った。
「抜くだって……? ああ、そうだ! これは……抜かなきゃ終わらないんだっ! くそっ……」
このままじっとしていても解決しないと、ハロルドはビヴァリーの額に自分の額を押し当てて、懇願した。
「ビヴァリー。できるだけ、早く終わらせる。だから……力を抜いて、俺がすることを受け入れてくれ。これ以上、痛い思いをさせたくないんだ。頼む……」
鳶色の瞳には、怒りも憎しみもなく、ビヴァリーを気遣うような優しい光が見える。
「う、うん……」
とりあえず、どうしたらいいのかわからない以上、ハロルドに任せるしかない。
ビヴァリーが頷くと、ハロルドは啄むようなキスをする。
「痛かったら、痛いと言え」
キスの合間に、大きな手がビヴァリーの乳房を包み込んだ。
ゆっくりと尖った先の周りをなぞられると、痛みで忘れていた快感が少しずつ蘇る。
口の中に入り込んだ舌で丁寧に歯列や上顎を愛撫されると、強張っていた身体から徐々に力が抜けて行く。
ビヴァリーの唇を離れたハロルドは、耳や首を伝い、取り残されていた蕾に口づけると、優しく食むようにくわえたり、舌で転がすように刺激したりする。
「んっ……あっ」
腰のあたりがもぞもぞして、引き攣れていた箇所に再び蜜が溢れて潤っていく感じがする。
胸を離れた手が、軋んで痛みを訴えていた場所へと近づく。
また痛いことをされるのではないかと、反射的に身体を強張らせると、ハロルドは再びビヴァリーにキスをして、優しく頭を撫でた。
「痛かったら……蹴ってもいいぞ」
ビヴァリーが繋がっている場所へ目を向けると、ハロルドの表情が凍り付いた。
「いや……できれば……そこは……遠慮してほしい」
「…………」
ビヴァリーとしては、元凶を取り除いたほうがいいような気がしたが、使えなくなってしまったら種牡馬になれないし、貴族であるハロルドの場合は子孫を残さないわけにはいかないから、去勢はできないだろうと諦めた。
「ビヴァリー……」
余計なことを考えるなと言うように、キスを再開したハロルドの手が、先ほど信じられないくらいの快感をもたらした小さな粒に触れた。
「んっ」
腰が揺れ、ビヴァリーの中に蜜がどっと溢れる。
(どうして……気持ちいいんだろう……)
あんなに痛くて、怖くて仕方がなかったはずなのに、ハロルドに優しくキスをされるだけで身体も恐怖も痛みも溶けていく。
「ん、あっ……あふっ……」
「……ビヴァリー……もう少しだけ……我慢してくれ」
息をして、キスをして、声を上げることを繰り返しているうちに、しっかりと潤った襞は気絶しそうな痛みをもたらすことはなくなっていた。
ようやく穿たれたものが引き抜かれていく感覚に胸を撫で下ろしたビヴァリーは、もう少しで完全に離れるはずだったものがなぜか再び押し込まれたことに驚いた。
「うう、んんっ!?」
痛みはなかったけれど、圧迫感で息が詰まる。
「力を、抜け……」
ぐりっと、ハロルドの指が敏感な粒を押し潰すと、ぎゅっと身体が強張る。
「ひ、ああっ」
思わずその腰に足を絡めてしがみつくと、ハロルドは抉るようにビヴァリーの奥まで進み、抉るように突いた。
「あっ……やっ……そ、こ……だ、だめっ……」
自分の指はもちろん、ハロルドの指でさえも届かないところを執拗に刺激され、同時に繋がった入口の上にある突起を擦られると、ビヴァリーの内側が生き物のように蠢く。
「ハルっ……なんだ、か……おか、しい……」
痛みをもたらしていた元凶が、一転して快感をもたらすものへと変わった。
「ああ……おかしくなるくらい、気持ちいい……」
ハロルドが腰を揺らすたびに、呑み込んだものを味わうように絡みつく襞の動きが一段と激しく、大きくなる。
熟した粒をきゅっとつままれた瞬間、頭の芯が痺れるような快感がビヴァリーを貫いた。
「あっ……ハ、ルっ!」
強い風に煽られ、高い所へ巻き上げられるような浮遊感に怯え、目の前にあるハロルドの身体にしがみついた。
「はっ……な、せ……ビヴァリーっ」
悲鳴のようなハロルドの声がして、逞しく引き締まった体が震えると潤った泉に温かなものが注がれた。
襞が吸い上げるように硬い杭を締め付けると、ハロルドは堪え切れないとばかりにビヴァリーをかき抱いて、それ以上突き進めないところまで、深く穿つ。
身も心も揉みくちゃにされた嵐のような一時が過ぎ、ようやく互いの痙攣が治まると、ハロルドは大きく息を吐いて、信じられないほどの痛みと快感をもたらしたものをようやく完全に引き抜いた。
ぐったりとして横たわるビヴァリーは、小さな蜜壺では受け止めきれなかったものが押し止めるものを失い、じわりと溢れてくるのを感じた。
しばらくは互いの呼吸しか聞き分けられなかった耳に、窓を叩く雨音が聞こえた。
雷鳴が轟き、何もかもなぎ倒しそうなほど風が恐ろしい唸り声を上げているが、怖くはなかった。
ブレントリーの春は、どんなに激しい嵐に見舞われても、翌日には晴れることが多い。
(嵐も、朝になれば治まる……ぐっすり眠れば、きっと……疲れも、痛かったことも、ちゃんと治っている……)
まだ、しなくてはならないことがたくさんあるから眠ってはいけないような気がしたが、今のビヴァリーには考えるだけの気力も体力も残っていなかった。
「……ビヴァリー? ……に……せて……」
ハロルドが何かを囁いているのも、聞こえない。
額に張り付いた髪を拭われて、額や鼻にキスをされているようだと感じても、疲れ切ったビヴァリーは瞼を持ち上げることができなかった。
ハロルドは口づけながら、ソファの上へビヴァリーを引き倒すと、ワインの味のする舌を絡ませた。
驚き、暴れようとしてもハロルドの身体の重みで身動きが取れない。
歯がぶつかりそうになるほど激しいキスをしながら、ハロルドはシャツを脱ぎ捨て、ビヴァリーの色気も何もない、襟の詰まった紺色のワンピースの前ボタンを器用に外していく。
レースもリボンもない簡易なコルセットはあっという間に外されて、頼りないシュミーズ姿になってしまう。
薄い布地越しに、ハロルドの手が乳房を包み込むように触れると、身体の中を炎が通り抜けたように一瞬で熱が上がった。
ようやく自由を得た唇を開き、必死に空気を求めて喘いでいると緩いシュミーズの襟を引き下げられる。
「ひゃっ」
むき出しになった乳房を隠そうとした手は、あっさりハロルドの両手に捕らわれて、胸を見せつけるように大きく広げられた。
「こんなに敏感になっているということは……先に、飲んでいたのか?」
ぴんと尖った頂に、ふっと息を吹きかけられただけで、ビヴァリーは仰け反った。
「やぁっ」
「はっ……相手を堕とすんじゃなく……自分が堕ちてどうする? それとも……これも演技か?」
舌先で嬲られた瞬間、足の間から痺れるような快感が指先まで満ちる。
「――っ!」
悲鳴を上げそうになって、ぎゅっと唇を噛み締めながら、身体を強張らせる。
しばらくして、痺れが消えると、どっと汗が噴き出した。
「はっ……あっ……」
荒い呼吸を繰り返していると、腰まで落ちたワンピースをだけでなく、ドロワーズまで引き抜かれた。
「……ゃっ!」
起き上がろうとしても、膝裏を押し上げられては起き上がれない。
そのまま足を広げられると、微かな水音がした。
「や、やだっ」
恥ずかしくて必死に足を閉じようとしても、間にハロルドがいるのでどうしようもない。
「物欲しそうにヒクついている……」
嘲るような笑みを浮かべたハロルドは、ビヴァリーの足元の方へと身体をずらしていく。
「は……ハル……?」
何をする気なのだと見つめていると、ハロルドは持ち上げたビヴァリーの太股に吸い付いた。
「いっ……」
微かな痛みに身動ぎするとすぐに離れたが、今度は人に見せたことなどない場所に顔を埋める。
「え、や、ああっ」
驚く間もなく、ぬるりとしたものがいつの間にか濡れていた場所を舐め上げた。
今まで感じたことのない感触に戸惑うビヴァリーに、何をされているのか理解する猶予を与えず、ハロルドは襞の間に隠れていた粒を弾き出した。
「ひっ」
突然与えられた刺激にビクリと腰を浮かせると、熱い唾液を注がれる。
「う、あっ……ああっ」
与えた唾液とビヴァリーから溢れる蜜をかき混ぜながら、ハロルドの舌は狭い空洞を抉り、長くて硬い指を差し入れて、蜜を塗り込めるように襞の隅々まで探る。
(お、かしくなる……くらい、気持ち、いい……)
時々、秘密の場所の入り口にある粒を舌先でつつかれると、爪先まで痺れてしまう。
「このままだと、ソファを汚しそうだ……」
呟いたハロルドが、涸れることなく溢れる蜜を強く吸い上げた瞬間、ビヴァリーは目を見開いて仰け反った。
「ひっ……あああーっ!」
腰を浮かせ、ハロルドの唇に秘唇を押し当てて達し、痙攣しながらソファに沈みこむ。
心臓は破裂しそうに鼓動を早め、身体のどこにも力が入らない。
霞む視界に、ハロルドが残っていたワインを最後の一滴までグラスに注ぎ、一息に飲み干すのが見えた。
「実際に試すのは初めてだが……望み通りにしてやる」
逞しい腕がビヴァリーを抱え上げ、柔らかなベッドの上に横たえられた。
冷えたシーツが火照った身体に気持ちよく、このまま眠れそうだと思っていると、ギシリ、とベッドが軋んだ。
再び重ねられた唇は、より濃厚なワインの味がした。
「ん……」
触れられるまでは、ただの飾りでしかなかった胸の蕾を指先で嬲られると、一度は引いた快感の波があっという間に寄せ返す。
ぐちゅり、ぐちゅりと淫らな音を立てて、ハロルドの指を受け入れている場所は硬い指を味わうように吸い付き、蠢いている。
「こんなに淫らな姿を見られるのなら……大金を払って跪く男がいるのもわかる」
歪んだ視界と霞む思考で、ハロルドの言葉を理解しようとしたけれど、絶え間なく襲って来る快感の波に打ち消されてしまう。
燃え盛る暖炉に放り込まれたみたいに、身体が熱くなってきて、何も考えられなくなりそうだ。
「ビヴァリー……何が欲しいんだ?」
(欲しいもの……?)
ビヴァリーは、ぼんやりと覆い被さるハロルドを見上げた。
手を伸ばし、歪んだ笑みを浮かべる頬に触れると冷ややかな目で見下ろされた。
金色の髪は暗がりでも美しく輝き、鳶色の瞳は欲望を燻らせている。
逞しい腕や胸は『ビリー』の知らないものだったけれど、この世で馬と同じくらい綺麗で大好きなものに変わりはない。
もしも、ハロルドが馬だったなら、自分の厩舎に一番に迎え入れたいと思う。
いつも馬たちにしているように、広い肩を撫で、美しい曲線を持つ背を辿り、引き締まった腰に触れるとビクリと震えた。
「くっ……」
悔しそうに唇を噛み締めて睨みつける顔は、負けず嫌いの少年そのものだ。
「……ハルが……欲しい」
血が滲みそうなほどきつく噛み締められた唇に触れながら正直に告白すると、ハロルドもひび割れた声で告白する。
「ああ……俺も、ビリーが欲しい」
いらないとか、嫌いだとか言われなかったことにほっとして、ぎゅっとその身体を抱きしめようとしたビヴァリーは、ハロルドの大きな手が太股をぐっと押し上げると同時に、硬いものが潤った場所に押し当てられるのを感じた。
何だろうと思った瞬間、ピリッとした痛みが足の間に走った。
「あっ!」
本能的な恐怖からハロルドの胸を押し、身体をずり上げる。
少し離れたビヴァリーは、痛みを感じた場所を見下ろして、そこに凶器のような太くて長いもの見た。
それは、ハロルドの天使みたいな顔にそぐわないものだけれど、ハロルド自身に繋がっている。
初めて目にするものに驚いて、ぼんやりしていた頭がはっきりしたビヴァリーは、自分が何をしようとしていたのか、ようやく理解した。
「ま、待って……や、ハル……」
結婚するまで貞操を守っている女性は、今のビヴァリーの周りにはいなかったし、マーゴットのように、足りない生活費を補うためにこういうことをしている女性も少なくなかった。
貧しい暮らしをする中で、何度か勧められたり誘われたりしたことはある。
でも、ビヴァリーにとって、こんな親密な行為はお互いを信頼し、愛し合っている人がするものだった。そうでなかったとしても繁殖のための行為だと思っていた。
より強い競走馬を作るためには血統を考えて繁殖するように、貴族も血統を考えて子どもを作ったりするはずだ。
酔ってこんなことをしたと知ったら、ハロルドはきっと後悔すると思った。
(酔っているときに、大事なことを決めたりするのはよくないとパブの店主が言ってたし、父さんも酔っ払って馬に乗るなんて言語道断だって言ってた……)
「ハル、ダメ……」
伸し掛かるハロルドの胸を押し戻そうとしたビヴァリーの耳に、冷ややかな声が落ちた。
「いくらだ?」
「え……?」
ビヴァリーを見下ろすハロルドの瞳は、欲望と憎しみに濁り、その声は怒りのあまりか、かすれて苦しげにさえ聞こえた。
「さんざん煽って、最後の最後で交渉する。……上手いやり方だ。こんな淫らな姿を前にして、やめられるわけがない。どんな男でも、懇願するだろう」
何を言われているのか理解できずに瞬きしていると、両手を掴まれ、磔にされる。
「金貨百枚か? それとも伯爵夫人……未来の侯爵夫人の座が必要か?」
「は、くしゃくふじん?」
ビヴァリーが目を瞬くと、ハロルドは天使のような顔に、悪魔のような笑みを浮かべた。
「金貨百枚程度では、足りないんだろう? 伯爵夫人になればドレスも宝石も自由に買える。男子を産めば一生安泰だ。いずれは侯爵夫人だ。朝から晩まで、馬に乗っていても誰にも文句は言われない。パンを買うためだけに、男にすり寄ったりしなくてもいい。最高に楽な暮らしを送れるんだ。誰だって、そんな生活を望まないわけがない。それとも……大勢の男を相手にしなくては、満足できないか?」
「……そ、んなこと……」
大勢どころか、こんなふうになっているのはハロルドが初めてだと言おうとしたが、乱暴に口づけられ、顎が痛くなるほど唇を貪られる。
「う……むぅっ……」
息が上がるほどビヴァリーを苦しめた後、ハロルドが呟いた。
「どっちでもいい……どうせ、抱くのに変わりはない」
「え、あっ……あ、ぐぅっ」
太股を掴まれ、力任せに引き寄せられる。
逃れようと腰を浮かせたせいで、熱い杭は易々とビヴァリーの秘唇を割り、誰にも荒らされたことのない場所を無理やり切り拓く。
「うっ」
「……せま、すぎるだろ……」
布を引き裂くように、身体を中心から引き裂かれるような痛みに硬直していると、ハロルドは呻きながらビヴァリーの身体を抱きしめ、ぐっと腰を押し込んだ。
「ひっ……」
下腹部から、頭のてっぺんまで痛みが突き抜けた。
あまりの痛みに、ぎゅっと閉じた瞼の裏がチカチカと点滅している。
引き抜けばいいのだとわかっていても、少しでも動いたら、切り裂かれたところがさらにズタズタになりそうで、怖くて身動きできない。
「あっ……うっ……」
浅く呼吸をするだけでも痛みは増し、頭の中でガンガン鐘を打ち鳴らされているようだ。
「はっ……あっ……」
「……ビヴァリー?」
脂汗の滲んだ額を撫でるハロルドが訝しげに呼ぶ。
とりあえず、痛いということは言わなくてはと声を絞り出す。
「ハ、ル……た……い」
「ビヴァリーっ!?」
驚いたようにハロルドが身を起こした拍子に、埋められていた杭が引き攣れた襞を擦り、ビヴァリーは悲鳴を上げた。
「ひっ、ああっ! い、いった……痛いっ……痛いーっ」
「ビヴァリー! 落ち着けっ」
「痛い、ハルっ! 痛いのっ……」
大声で叫ぶだけでも痛みが走り、ビヴァリーは震えながらすすり泣くことしかできなかった。
「……大丈夫だ、ビヴァリー……何もしない! ビヴァリー!」
ボロボロと溢れる涙で視界が歪み、ハロルドの顔はまともに見えなかったが、その声からは焦りと怒りと苦しさが感じられる。
ハロルドはそれ以上は動かず、じっとしてくれていたが、穿たれた杭は相変わらずビヴァリーの中を隙間なく占領していて、とても容易には引き抜けそうにない。
ビヴァリーを押し潰さないように自分の腕で身体を支えているハロルドの額から、汗がしたたり落ちて、ビヴァリーの頬を伝った。
ぎゅっと眉根を寄せて、息を詰めている様子から、ハロルドも辛いのだとわかり、ビヴァリーはすすり上げながらどうすればいいのか尋ねてみた。
「は、ハルの……ど、どうすれば、抜けるの……?」
目を開けるなり喉の奥で呻いたハロルドは、とても紳士とは思えぬ口調で罵った。
「抜くだって……? ああ、そうだ! これは……抜かなきゃ終わらないんだっ! くそっ……」
このままじっとしていても解決しないと、ハロルドはビヴァリーの額に自分の額を押し当てて、懇願した。
「ビヴァリー。できるだけ、早く終わらせる。だから……力を抜いて、俺がすることを受け入れてくれ。これ以上、痛い思いをさせたくないんだ。頼む……」
鳶色の瞳には、怒りも憎しみもなく、ビヴァリーを気遣うような優しい光が見える。
「う、うん……」
とりあえず、どうしたらいいのかわからない以上、ハロルドに任せるしかない。
ビヴァリーが頷くと、ハロルドは啄むようなキスをする。
「痛かったら、痛いと言え」
キスの合間に、大きな手がビヴァリーの乳房を包み込んだ。
ゆっくりと尖った先の周りをなぞられると、痛みで忘れていた快感が少しずつ蘇る。
口の中に入り込んだ舌で丁寧に歯列や上顎を愛撫されると、強張っていた身体から徐々に力が抜けて行く。
ビヴァリーの唇を離れたハロルドは、耳や首を伝い、取り残されていた蕾に口づけると、優しく食むようにくわえたり、舌で転がすように刺激したりする。
「んっ……あっ」
腰のあたりがもぞもぞして、引き攣れていた箇所に再び蜜が溢れて潤っていく感じがする。
胸を離れた手が、軋んで痛みを訴えていた場所へと近づく。
また痛いことをされるのではないかと、反射的に身体を強張らせると、ハロルドは再びビヴァリーにキスをして、優しく頭を撫でた。
「痛かったら……蹴ってもいいぞ」
ビヴァリーが繋がっている場所へ目を向けると、ハロルドの表情が凍り付いた。
「いや……できれば……そこは……遠慮してほしい」
「…………」
ビヴァリーとしては、元凶を取り除いたほうがいいような気がしたが、使えなくなってしまったら種牡馬になれないし、貴族であるハロルドの場合は子孫を残さないわけにはいかないから、去勢はできないだろうと諦めた。
「ビヴァリー……」
余計なことを考えるなと言うように、キスを再開したハロルドの手が、先ほど信じられないくらいの快感をもたらした小さな粒に触れた。
「んっ」
腰が揺れ、ビヴァリーの中に蜜がどっと溢れる。
(どうして……気持ちいいんだろう……)
あんなに痛くて、怖くて仕方がなかったはずなのに、ハロルドに優しくキスをされるだけで身体も恐怖も痛みも溶けていく。
「ん、あっ……あふっ……」
「……ビヴァリー……もう少しだけ……我慢してくれ」
息をして、キスをして、声を上げることを繰り返しているうちに、しっかりと潤った襞は気絶しそうな痛みをもたらすことはなくなっていた。
ようやく穿たれたものが引き抜かれていく感覚に胸を撫で下ろしたビヴァリーは、もう少しで完全に離れるはずだったものがなぜか再び押し込まれたことに驚いた。
「うう、んんっ!?」
痛みはなかったけれど、圧迫感で息が詰まる。
「力を、抜け……」
ぐりっと、ハロルドの指が敏感な粒を押し潰すと、ぎゅっと身体が強張る。
「ひ、ああっ」
思わずその腰に足を絡めてしがみつくと、ハロルドは抉るようにビヴァリーの奥まで進み、抉るように突いた。
「あっ……やっ……そ、こ……だ、だめっ……」
自分の指はもちろん、ハロルドの指でさえも届かないところを執拗に刺激され、同時に繋がった入口の上にある突起を擦られると、ビヴァリーの内側が生き物のように蠢く。
「ハルっ……なんだ、か……おか、しい……」
痛みをもたらしていた元凶が、一転して快感をもたらすものへと変わった。
「ああ……おかしくなるくらい、気持ちいい……」
ハロルドが腰を揺らすたびに、呑み込んだものを味わうように絡みつく襞の動きが一段と激しく、大きくなる。
熟した粒をきゅっとつままれた瞬間、頭の芯が痺れるような快感がビヴァリーを貫いた。
「あっ……ハ、ルっ!」
強い風に煽られ、高い所へ巻き上げられるような浮遊感に怯え、目の前にあるハロルドの身体にしがみついた。
「はっ……な、せ……ビヴァリーっ」
悲鳴のようなハロルドの声がして、逞しく引き締まった体が震えると潤った泉に温かなものが注がれた。
襞が吸い上げるように硬い杭を締め付けると、ハロルドは堪え切れないとばかりにビヴァリーをかき抱いて、それ以上突き進めないところまで、深く穿つ。
身も心も揉みくちゃにされた嵐のような一時が過ぎ、ようやく互いの痙攣が治まると、ハロルドは大きく息を吐いて、信じられないほどの痛みと快感をもたらしたものをようやく完全に引き抜いた。
ぐったりとして横たわるビヴァリーは、小さな蜜壺では受け止めきれなかったものが押し止めるものを失い、じわりと溢れてくるのを感じた。
しばらくは互いの呼吸しか聞き分けられなかった耳に、窓を叩く雨音が聞こえた。
雷鳴が轟き、何もかもなぎ倒しそうなほど風が恐ろしい唸り声を上げているが、怖くはなかった。
ブレントリーの春は、どんなに激しい嵐に見舞われても、翌日には晴れることが多い。
(嵐も、朝になれば治まる……ぐっすり眠れば、きっと……疲れも、痛かったことも、ちゃんと治っている……)
まだ、しなくてはならないことがたくさんあるから眠ってはいけないような気がしたが、今のビヴァリーには考えるだけの気力も体力も残っていなかった。
「……ビヴァリー? ……に……せて……」
ハロルドが何かを囁いているのも、聞こえない。
額に張り付いた髪を拭われて、額や鼻にキスをされているようだと感じても、疲れ切ったビヴァリーは瞼を持ち上げることができなかった。
0
お気に入りに追加
616
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる