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魔王たんこんにちは。
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背中には大剣を下げて、腰には駄神のショートソード。
他の防具一式も駄神様から貰った付与を施した防具を装備している。
そしてオレが睨む先には深い森があって、その先は魔王たんの住む城がある筈だった。
「ハァハァ、ま、魔王たんに会いたいよぉ!」
オレは煩悩全開で森の中を進む事にした。
しかし、この森の中には『フェンリル』と呼ばれる極強い魔物がいると云われていた。推定レベル80の魔物だ。
んで、オレのレベルはというと、36と全然足りない。
でもオレには『竜化闘気』もあるしどうにでもなっしょ。
そんな軽いつもりできていた、本当ならもうちょっとレベルを上げて来る予定だったけど、持ち前のプラス思考できていた。
決して、良い感じかもって思ってたアスティに彼女がいたからじゃない。
絶対にない。
アスティに彼女が居るってわかって、早く魔王たんに会いたくなった訳じゃ無い。
絶対にない。
全く、大体災難だったよ。
一生懸命アスティに剣術を教えてたら、その道場の先生に『営業妨害だ!』と怒られ。
アスティにそれでも感謝されつつ居酒屋に行くと、何故かアスティの彼女がいて、二人にオレが奢って上げて解散。
アスティはもちろん彼女と去っていくという悲しい結末に。
せめて驕るんじゃ無かった。
はぁ。
早急に魔王たんのエキスがオレには必要だ。
そんな事を思いつつ森を歩く、常にメニューから開ける地図を開いたまま方向を確認する。
森も深くなると木の影になって太陽の方向もわかんなくなるし、進んでる方向が直ぐにわかんなくなるんだよね。
現に今はお昼ぐらいだから太陽はほぼ真上にある。
こんな状況で方向と言われてもね。
方向を確認しながら一直線に進む。
道は無いけど、下草が生えておらず歩きやすい。『フェンリル』がいるという森を誰かが整備してる筈は無いから。最初っからこんなもんなのかな?
そんな事を思う。
そんな感じで森を歩いてると『ガザ!』って音がして、腰の剣に手が伸びる。
『ブモォ!』
と鳴きながら現れたのはオレと同じぐらいの大きさの猪だった。
とりあえずその猪を鑑定してみると、
クレイジーボア
レベル48
とある。
やべ⁉
こいつオレより全然レベル高いじゃん!
思わず腰の剣に伸ばしてた手を背中の大剣へと伸ばす。
クレイジーボアが折れに向かって突進しようとするのを見て、
慌てて大剣の金具を外す!
そして、クレイジーボアが地面を蹴った瞬間、
『竜化闘気!』
体をスライドさせて、
背中の大剣を片手で振る!
『ザシュッ!』
クレイジーボアの首が飛ぶ!
頭を失ったクレイジーボアは数メートル走って木にぶつかって倒れた。
「アッブネ!」
レベルが48とかヤバイっしょ!
呆気なく倒せたけど、凄く『たまたま』って感じがする。
とりあえずステータスを確認すると、レベルも46に上がってるし。
あっ、でもMPは1しか消費してないな。
やっぱり『竜化闘気』は効率が良い。
オレはホクホクしながらクレイジーボアの死体を回収した。
その死体は、
旨そうじゃねぇかこのヤロウ!
ダンジョンの魔物は死ぬとドロップアイテムを残して消えちゃうんだけど、ダンジョンの外で出る魔物は死んでもちゃんと死体が残るんだよね。
あとは一応頭も回収しようかな?
レベルも高かったし、飛んでった頭の方へと歩く、その時、
森の中からこっちを見てる存在を見付けた。
銀の毛並みで金の目にヒグマぐらいの体躯。
間違いない、『フェンリル』だ。
「へぇ~、キレイだな」
フェンリルって呼ばれるのが分かる、何だか神聖な感じがする。
でも変だな、倒れてるぞ。
「おぉ~い。どったぁ?(どうした?の意)」
『グルル、こっちに来るでない!人族よ!』
をを!喋った!しかも神様に貰った『全言語理解』のお陰で何言ってるか分かるし。
ええっと。
オレも話せるかな?
『グルグルゥ。そんな事言ってもよ、何で倒れてんだよ、大丈夫なん?』
おっ、喋れた。
『グルゥ!なんと我等の言葉を解するか!』
『ワッフ!そうみてぇだな』オレはそう言いながらフェンリルに近付く。『んで、どうしたん?』
『バゥ!来るでない!』
オレは無視して近付きながら、『ワッフ!きにすんなよ?困った時はお互い様だぜ?』と話し掛ける。
近付くとフェンリルの状態が分かった。
キレイな銀の毛並みが所々赤く染まってる、フェンリルはその部分を隠す様に身を捩る。
『バゥ!来るな!』
『バウ?回復魔法使えるし、ポーションもあるぜ?』
あっ。
でもひでぇな。
下半身がボロボロだ。いや、ズタボロか?
『バッバウ?つ、使ってくれるのか?いや、我を殺せば多大な力がお主の物になるぞ?』
『バゥ?えっ?いいよ別に』意思の疎通がはかれるのに殺すなんてな。
でもどうしよ。
回復魔法はレベル1だし絶対にこんなギズ治せない。
じゃあポーションか?アイテムボックスの中のポーションを見る。
一応神様から貰ったポーションなんだよね。
そのポーションを鑑定すると、
《駄神のポーション:駄神が作ったポーション、駄神とはいえ一応神様の作ったポーション》
う~ん。
効果がイマイチ分からないけど使ってみっか。
アイテムボックスから駄神のポーションを取り出して。フェンリルの下半身に振り掛ける。
『ジュワジュワジュワ!』
ポーションを掛けた部分が光り、そして光の泡に包まれていく。
『バウ?バゥ?ワッワッワォーン!』
フェンリルは立ち上がって大きく雄叫びを上げた!
完全復活出来たようだ。
立ち上がるとやっぱり大きいな、オレを『マルカジリ』出来そうな大きさだ。
『バゥ?どうだ?調子は?』
『ババウ!フッハッハッハ、愚かな人族よ!ワシを治しおって!ワシがお前を生かして帰すと思ったか‼』
『バゥ?えっ?やる?オッケー!』
オレは背中の大剣の留め金を外して、『竜化闘気』を纏う。
すると、
『バッ!バウゥ~ン!そ!そんな冗談っスよ!命の恩人にそんな事するわきゃ無いじゃないっスか!』
フェンリルは引っくり返って腹を見せて尻尾を『ブンブン』振っている。
『バッバッ、バゥ?ね?ね?冗談だからね?ね?』
こいつなんだかな。
そう思ったけど、コイツ思ったより良い奴だったんだ。
良い奴って言うより、分かってやれるっていうか、要はオレと仲間だったんた。
・
フェンリル視点
何で俺がこんなにも傷を負っていたのかを説明させられていた。
『俺は、俺は、、。オスが好きなんだ。俺が好きになるのはいつもオスだった』
セイという人族は俺の話を焚き火に枝を放り投げながら聞いている。
『俺はオスなのにオスの事を好きになるなんて、普通とは思ってない。自分が変わっている事は分かっていた。だから誰にも言わずに過ごしていた』
セイはどこから出したのか、肉の塊を枝に刺して肉を焼き始める。
『でも好きなオスを見付けると、そのグループに入ってそのグループがこの森で一番に成れるように一生懸命手伝った』
セイは一つを日の近くに地面に刺してもう一本枝を取り出す。
『俺は好きなオスが俺の事を見てくれなくても良かった、そのグループのランクが上がって、それでそのオスが喜んでくれたらそれで十分さ』
セイは二本目の肉の付いた枝を地面に刺した。
『でも、俺が力を振る度に、グループの皆が俺を見る目が変わってきた。俺がリーダーに成るべきじゃあないのか?って、俺がリーダーになった方がこのグループのランクは上がるんじゃ無いかって、、、』
パチパチと肉を焼く音が聞こえる。
『俺が好きだった、リーダーは段々不安に成っちまったんだろうな。俺に『出ていってくれ』って頼んできたんだ。俺は悲しかった。寂しかったんだ。それで、それで、、、。俺は思わず言っちまったんだ、『俺はお前の事が好きなんだ』って『だから、何でもするから側に居させてくれ』って』
セイは肉が満遍なく焼けるように火に当たる面を変える。
『そしたら、この様だよ。気持ち悪がれて寄ってたかってよ、、、。ハッ!参ったな、こんなこと人族に話しちまうなんてよ』
俺はそう言ってセイの方を見ると、、
『ワ、ワカル、、、』
その人族はそう言って大粒の涙を流していた。
他の防具一式も駄神様から貰った付与を施した防具を装備している。
そしてオレが睨む先には深い森があって、その先は魔王たんの住む城がある筈だった。
「ハァハァ、ま、魔王たんに会いたいよぉ!」
オレは煩悩全開で森の中を進む事にした。
しかし、この森の中には『フェンリル』と呼ばれる極強い魔物がいると云われていた。推定レベル80の魔物だ。
んで、オレのレベルはというと、36と全然足りない。
でもオレには『竜化闘気』もあるしどうにでもなっしょ。
そんな軽いつもりできていた、本当ならもうちょっとレベルを上げて来る予定だったけど、持ち前のプラス思考できていた。
決して、良い感じかもって思ってたアスティに彼女がいたからじゃない。
絶対にない。
アスティに彼女が居るってわかって、早く魔王たんに会いたくなった訳じゃ無い。
絶対にない。
全く、大体災難だったよ。
一生懸命アスティに剣術を教えてたら、その道場の先生に『営業妨害だ!』と怒られ。
アスティにそれでも感謝されつつ居酒屋に行くと、何故かアスティの彼女がいて、二人にオレが奢って上げて解散。
アスティはもちろん彼女と去っていくという悲しい結末に。
せめて驕るんじゃ無かった。
はぁ。
早急に魔王たんのエキスがオレには必要だ。
そんな事を思いつつ森を歩く、常にメニューから開ける地図を開いたまま方向を確認する。
森も深くなると木の影になって太陽の方向もわかんなくなるし、進んでる方向が直ぐにわかんなくなるんだよね。
現に今はお昼ぐらいだから太陽はほぼ真上にある。
こんな状況で方向と言われてもね。
方向を確認しながら一直線に進む。
道は無いけど、下草が生えておらず歩きやすい。『フェンリル』がいるという森を誰かが整備してる筈は無いから。最初っからこんなもんなのかな?
そんな事を思う。
そんな感じで森を歩いてると『ガザ!』って音がして、腰の剣に手が伸びる。
『ブモォ!』
と鳴きながら現れたのはオレと同じぐらいの大きさの猪だった。
とりあえずその猪を鑑定してみると、
クレイジーボア
レベル48
とある。
やべ⁉
こいつオレより全然レベル高いじゃん!
思わず腰の剣に伸ばしてた手を背中の大剣へと伸ばす。
クレイジーボアが折れに向かって突進しようとするのを見て、
慌てて大剣の金具を外す!
そして、クレイジーボアが地面を蹴った瞬間、
『竜化闘気!』
体をスライドさせて、
背中の大剣を片手で振る!
『ザシュッ!』
クレイジーボアの首が飛ぶ!
頭を失ったクレイジーボアは数メートル走って木にぶつかって倒れた。
「アッブネ!」
レベルが48とかヤバイっしょ!
呆気なく倒せたけど、凄く『たまたま』って感じがする。
とりあえずステータスを確認すると、レベルも46に上がってるし。
あっ、でもMPは1しか消費してないな。
やっぱり『竜化闘気』は効率が良い。
オレはホクホクしながらクレイジーボアの死体を回収した。
その死体は、
旨そうじゃねぇかこのヤロウ!
ダンジョンの魔物は死ぬとドロップアイテムを残して消えちゃうんだけど、ダンジョンの外で出る魔物は死んでもちゃんと死体が残るんだよね。
あとは一応頭も回収しようかな?
レベルも高かったし、飛んでった頭の方へと歩く、その時、
森の中からこっちを見てる存在を見付けた。
銀の毛並みで金の目にヒグマぐらいの体躯。
間違いない、『フェンリル』だ。
「へぇ~、キレイだな」
フェンリルって呼ばれるのが分かる、何だか神聖な感じがする。
でも変だな、倒れてるぞ。
「おぉ~い。どったぁ?(どうした?の意)」
『グルル、こっちに来るでない!人族よ!』
をを!喋った!しかも神様に貰った『全言語理解』のお陰で何言ってるか分かるし。
ええっと。
オレも話せるかな?
『グルグルゥ。そんな事言ってもよ、何で倒れてんだよ、大丈夫なん?』
おっ、喋れた。
『グルゥ!なんと我等の言葉を解するか!』
『ワッフ!そうみてぇだな』オレはそう言いながらフェンリルに近付く。『んで、どうしたん?』
『バゥ!来るでない!』
オレは無視して近付きながら、『ワッフ!きにすんなよ?困った時はお互い様だぜ?』と話し掛ける。
近付くとフェンリルの状態が分かった。
キレイな銀の毛並みが所々赤く染まってる、フェンリルはその部分を隠す様に身を捩る。
『バゥ!来るな!』
『バウ?回復魔法使えるし、ポーションもあるぜ?』
あっ。
でもひでぇな。
下半身がボロボロだ。いや、ズタボロか?
『バッバウ?つ、使ってくれるのか?いや、我を殺せば多大な力がお主の物になるぞ?』
『バゥ?えっ?いいよ別に』意思の疎通がはかれるのに殺すなんてな。
でもどうしよ。
回復魔法はレベル1だし絶対にこんなギズ治せない。
じゃあポーションか?アイテムボックスの中のポーションを見る。
一応神様から貰ったポーションなんだよね。
そのポーションを鑑定すると、
《駄神のポーション:駄神が作ったポーション、駄神とはいえ一応神様の作ったポーション》
う~ん。
効果がイマイチ分からないけど使ってみっか。
アイテムボックスから駄神のポーションを取り出して。フェンリルの下半身に振り掛ける。
『ジュワジュワジュワ!』
ポーションを掛けた部分が光り、そして光の泡に包まれていく。
『バウ?バゥ?ワッワッワォーン!』
フェンリルは立ち上がって大きく雄叫びを上げた!
完全復活出来たようだ。
立ち上がるとやっぱり大きいな、オレを『マルカジリ』出来そうな大きさだ。
『バゥ?どうだ?調子は?』
『ババウ!フッハッハッハ、愚かな人族よ!ワシを治しおって!ワシがお前を生かして帰すと思ったか‼』
『バゥ?えっ?やる?オッケー!』
オレは背中の大剣の留め金を外して、『竜化闘気』を纏う。
すると、
『バッ!バウゥ~ン!そ!そんな冗談っスよ!命の恩人にそんな事するわきゃ無いじゃないっスか!』
フェンリルは引っくり返って腹を見せて尻尾を『ブンブン』振っている。
『バッバッ、バゥ?ね?ね?冗談だからね?ね?』
こいつなんだかな。
そう思ったけど、コイツ思ったより良い奴だったんだ。
良い奴って言うより、分かってやれるっていうか、要はオレと仲間だったんた。
・
フェンリル視点
何で俺がこんなにも傷を負っていたのかを説明させられていた。
『俺は、俺は、、。オスが好きなんだ。俺が好きになるのはいつもオスだった』
セイという人族は俺の話を焚き火に枝を放り投げながら聞いている。
『俺はオスなのにオスの事を好きになるなんて、普通とは思ってない。自分が変わっている事は分かっていた。だから誰にも言わずに過ごしていた』
セイはどこから出したのか、肉の塊を枝に刺して肉を焼き始める。
『でも好きなオスを見付けると、そのグループに入ってそのグループがこの森で一番に成れるように一生懸命手伝った』
セイは一つを日の近くに地面に刺してもう一本枝を取り出す。
『俺は好きなオスが俺の事を見てくれなくても良かった、そのグループのランクが上がって、それでそのオスが喜んでくれたらそれで十分さ』
セイは二本目の肉の付いた枝を地面に刺した。
『でも、俺が力を振る度に、グループの皆が俺を見る目が変わってきた。俺がリーダーに成るべきじゃあないのか?って、俺がリーダーになった方がこのグループのランクは上がるんじゃ無いかって、、、』
パチパチと肉を焼く音が聞こえる。
『俺が好きだった、リーダーは段々不安に成っちまったんだろうな。俺に『出ていってくれ』って頼んできたんだ。俺は悲しかった。寂しかったんだ。それで、それで、、、。俺は思わず言っちまったんだ、『俺はお前の事が好きなんだ』って『だから、何でもするから側に居させてくれ』って』
セイは肉が満遍なく焼けるように火に当たる面を変える。
『そしたら、この様だよ。気持ち悪がれて寄ってたかってよ、、、。ハッ!参ったな、こんなこと人族に話しちまうなんてよ』
俺はそう言ってセイの方を見ると、、
『ワ、ワカル、、、』
その人族はそう言って大粒の涙を流していた。
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