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魔王たんこんにちは。
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しおりを挟む「おはようございます、これから喋る内容はこのアスクレピアス全土に向けて発信しています」
そう喋る男の子は可愛い顔をしていてオレは思わず、『おっ、オレのタイプじゃん』そんな事を思った。
「ボクはこの世界の外から来ました、魔王と呼ばれる存在です」
マジか、こんな可愛いのに、、、。
「ボク達はこの世界の住人である皆様方へ宣戦布告をしましゅ、す」
噛んだ、今噛んだよな?
慌てて言い直してたけど噛んだよな?魔王の顔は少し赤くなってるし、
「そ、そんなわけで、早朝から失礼しました」
え?
礼儀正しい?『皆殺しにしてやる!』とか言わないの?
.
がっ、っと体を起こす。
変な夢を見たな。
今はベッドの中だった。
「うーん!」っと体を伸ばす。
外が騒がしいので、皮の兜以外の装備を付けて外に出ることにした。
昨日ご飯を食べた場所へ行くと皆ガヤガヤと話し合っていた、
と言うのは、さっきオレが見た夢をどうやらオレ以外の人間も見たと言うのだ。
しかし、その内容はオレが見た内容とは少し違った。
違うと言うか、皆には伝わって無かったんだ。
魔王の言葉が。
オレにはスキルの中に『全言語理解』って神様がくれたスキルがある。だから何を言っていたか分かったんだけと、皆は異世界の言葉でいきなり話し掛けられてたから、『ポカン』って感じだったんだ。
つまり、
魔王たんの言葉は誰にも伝わって無いわけで、、、。
この世界の皆様方は、
「うん。見た見た!なんか可愛い感じの男の子だったよね!」
「だよねぇ~!私、スッゴい好み!」
「しかし、何だろうな?皆で同じ夢を見るなんて。もしかしたらあの男の子は神様で、お告げだったのかな?」
と魔王なのに『神様かも』とか言われてるし、、、。
ドジっ子魔王だ、ドジっ子魔王ってなんなんだよ、、、。
おいおい、魔王なのにドジっ子なんて、、、。
誰得なんですか?
全く、
困ったもんだ。
誰得なんですかねぇ?
ドジっ子魔王だなんて、誰得なんですかねぇ!
お答えしましょう!
『『オレ得です!』』
めっちゃ可愛い!
めっちゃ可愛いよ魔王たん!
何か噛んでたし、しかも全然伝わってないし!
ドジっ子だよ。
むっちゃ可愛い!
あぁ、守ってあげたい!むっちゃ守ってあげたい!
オレってアベルの時もそうなんだけど庇護欲を掻き立てられると弱いんだよね!ちょっと抜けてたり、弱かったりするともうダメなんだ。
あぁ、たまらん、魔王たん!
会いてぇよ魔王たん!
・
魔王視点
「ど、どうだった?どう思う?」
宰相のヴェルデに聞いた。
「どうもこうも。不必要だったと思いますけどね」
「えっ、まだそんな事言ってるの?昨日いったじゃない、私達は戦争に負けてこの世界に逃げてきた。逃げてきて食べ物も足りないしこのままじゃ皆餓死しちゃう。だったらこの世界の住人と戦争して食料を奪うしかないって」
「それは分かります。ただ、宣戦布告する必要が有ったのかと」
「だって、いくら何でもいきなり異世界から押し掛けておいて、それだけでも十分厚かましいのに、宣戦布告も無しに戦争を吹っ掛けるなんて、、、」
「それを住民は分かってくれますかね?」
「それは、、。ボクに付いて異世界にまで来てくれたんだ、分かってくれると思う」
「はぁ、しかし宣戦布告はしましたが、何処にその戦う相手が居るのです?畑を持った原住民は何処に?」
「そ、それは、まだ見付かって無いけど、、、」
「大体、この星に我ら以外の知的生物がいるかどうかもまだはっきりしていないのでは?」
「ぅ」
そう言えばそうだ。
「それに情報を発信するならSOSの方が良かったのでは?」
あっ。
その手があったか、、、。
「でも、いくらなんでもそんなお人好し居ないと思うよ?」
「まぁ、それはそうですが。でも、宣戦布告は如何なものかと思います。せめて先に国民に確認するべきでした」
それを言われるとそうかも、
ちょっと早計だったかも、、、。
「なんだよ!そう思うなら先に言ってよ!止めてくれればいいじゃん!なんで止めてくれないのさ!」
「いや、どうせこの世界の住人には何も伝わって無いので」
「え?何で?失敗してた?」
「いえ、情報はしっかりと発信出来てましたよ。魔道具もちゃんとちゃんと動いてましたし、私も見れました、国民も皆しっかりと見れたと思われます」
「じゃあ何で?」
「いえ、この世界の住人に私達の言語は理解出来ないかと思われますので、、、」
、
、、
、、、
「や、やらかした、、、あぁあ~!やらかした!」自分のほっぺが真っ赤になってるのが分かる!「な!何でもっと早く言ってくれないんだよ!ヴェルデ!何で昨日のうちに言ってくれなかったのさ!」
「面白いので」
こいつ宰相のくせしてシャーシャーと言いやがった!
「ふっ!ふざけるな!止めてよ!」
「慌てる魔王様が見たかったので。いやいや、とても素晴らしかったです。ただ心配なのは国民が萌え死にしてないか心配ではありますな、、、」
「バカァ!このバカ宰相!何を考えてるのさ!」
「この国の事を考えての事ですよ、魔王様。この国の民は異世界に来て不安になっております。こんな時こそユーモアで国民の心を解すべきなのです」
「ん~!もっともっぽい事言うけどさ!」
「まぁ、良いものが見れたとは思ってます。だって噛んでたし」
「ほら見ろ!それが君の本心だ!ボクを笑い者にして喜んでるんだ」
「いえいえ、先程のは本心ですよ。ああやって発信した事で国民にも魔王様の考えが良い形で伝わったかと」
「本当?ウソ臭いな」
「それより、一人称、ご自分の事は『ボク』では無く、『オレ』と言うように心掛けて頂いてもよろしいですか?」
「やだよ!いくらなんでも『オレ』なんて」
「そう仰いますが、やはり魔王たる者強くなければなりません。もちろん魔王様が強いのは存じております。しかし、やはり強さを外へ強く発信する事も国民の心の安定に繋がるのです。やはり『ボク』より『オレ』の方が宜しいかと。それにやはり代々魔王は男の成るものでして、この様な事態になりジャーディア様に男子として振る舞って頂く事にもちろん申し訳なく思いはするのですが、、、」
「そう思うなら勘弁してよ、ボクは女の子なのに、『オレ』なんてムリ!ギリギリ『ボク』は許せるけどこれ以上はムリ!」
ボクはそう言って指を使ってヴェルデに目の前でバッテンを作って見せた。
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