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(10) キャベツは大きかった

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今日はデリバリーになんか頼めません。あんなに大人数では、財布がもたない。スーパーに買い出しに出掛けて食料を買い込む。


「ちょっと、待ってて。はあはあ、休憩させて。はあはあー。」


大量の荷物で両手いっぱい。連れて行った太も、フラフラだ。2人で玄関に座り込む。


「こんなに荷物があるのなら、パトリシアが一緒に行ったでしゅう。飛べるから簡単なにょに。」


え、飛べるのか。早く、言ってくれ。待っていた美人さん達が、買って来た品物を見て勝手に料理をし出す。さばけていた。



エリザベス「何なの?薪じゃないのね、火がつくわ!」

エレン       「素敵ー、お水が管から出てます!」

ガブリエル「これを見て下さい。入れるだけで完成だそうよ!」



そんな事で感激してくれるのなら、直ぐにでも彼氏にしてくれそうです。簡単な人達だ。

パトリシアだけが、謎の行動。芙蓉が買って来た食料を見つめている。珍しいのか?


「どのくらいの効果があるのか分からないが、やってみよう。増加ーー!」


ドドーーン、ドサドサッ!


芙蓉は、唖然とする。これは、夢だ。こんな事があるわけない。太が隣で叫んでいた。


「スゲー、スゲー!」


芙蓉も、一緒に叫びたい。同じ気持ちだから。

マンションの部屋のキッチンから溢れてリビングまで押し寄せているのは、野菜や即席ラーメンの山。

キャベツは、1メートルはある大きさに。即席ラーメンは、一袋がテーブル程の大きさに。ソーセージは、座れそうな大きさに。


「ここにあると邪魔だな。こっちへ、入れてれおこうか。」


そう言う少女は、床の一角にある蓋を開けた。指で示すと吸い込まれるように食料が1人で入って消えてしまった。便利だ。

芙蓉が、気がついて立ち上がった。


「嘘だ。この部屋には、床下収納は無い!」


そうだ、有り得ない。そんな物、無いんだから。パトリシアは、何でもない事のように教えた。



「そうでちゅう。魔法で造りましたでしゅう。」
「つ、つ、造った?」
「はい。そうだ、部屋も造りましたでしゅ。家主さんにも、見てもらわないといけないでちゅ。」



部屋も、造りました?冗談だろ。と、思う芙蓉。その目の前でパトリシアは壁のドアを開けた。



「そ、そこ、ドアなんて無かった。」
「造りましたでしゅ。この人数では、部屋が必要なにょ。女の子だし。」



そっちが勝手に居候して部屋が必要だと言うのか。我が儘な客だな。


「ここに、彼女達の部屋を造りましたでちゅう。」


まるで、お化け屋敷を見る気分で覗いた芙蓉。見ると、ドアの中には18畳くらいの広い部屋が有った。


(考えられない、マンションの部屋の増築だと。現実に考えたら隣のビルの中へ入ってるじゃないか!)


部屋には、トイレとバスルームまで設置されている。これは、夢だ。きっと、起きたまま夢を見ているんだ。

芙蓉は、現実逃避する事に決めた。
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