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(9) お友達①

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床に倒れた芙蓉は、浮いてる女性を見つめる。


「僕は・・、どうかしてるんだ。こんな事、あるわけ無い!」


人が風船のように、宙にプカプカ浮いてるなんて有るわけない。引力の法則に反してる。ニュートンは、偉い!

パトリシアは腕を上げて、浮いている女性を引き寄せた。ゆっくりと彼女の身体はパトリシアの腕に。


「ああ、ガビィ。私の愛しいガビィ!」


太は、パトリシアの言葉に女性が大切な人だと知った。でも、「愛しい」とは恋人ととかじゃないの?

小柄な少女に抱かれ女性は、凄い美人であった。その目が、ゆっくりと開かれる。空色の瞳だった。



「あ、パトリシア・・さん?」

「ガブリエル、大丈夫か?」



ガブリエルは身体を起こして自分の身体を見回した。



「確か、胸に攻撃を受けたはずなのに。何も残ってないわ!パトリシアさんの魔法ですか?」
「私は、何もしていない。この世界では魔法が上手く使えなくなっているので。」



芙蓉は、2人の会話に再び笑いたくなった。


(魔法だって?魔法で傷が治せるなら、医者は必要ないし。病院だって存在しないだろう。病気を治す為に病院へ通うんだ。病気を!)


芙蓉は、ハッとした。有り得るのか、魔法で治療というのは。不可能じゃないのか。

それから、パトリシアは2人の若い女性を宙から呼び出した。1人は、黒い髪のエレン。1人は金髪のエリザベスだ。


「凄いですわ、パトリシアさん。エリザベスさんの腕は切られて落ちてたのに。傷も残ってないです!私の魔法では出来なかったのに。」


エレンは涙を流しながらエリザベスの腕をさするのだ。
どうやら、彼女たちは、戦いの中で負傷して違う世界へ吹き飛ばされたらしい。

皆で再開の喜びを分かち合った後、パトリシアが芙蓉の側へ来た。


「芙蓉さん、皆がお腹をすかせているので。食べ物をお願いします。」


芙蓉は、動揺する。結局、自分が彼女たちを養わなくてはいけないのか。そのお金を、どうすればいいんだ?
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