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(7) 言い訳

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買い置きが無いので、近所のコンビニまで朝食を買いに行く。の座り込んでいた太も拾って帰って来た。


「パトリシアさん、遅くなったけど朝ごはんにしようか。」


芙蓉の妻の服を着た少女が部屋から出て来た。あれは、芙蓉の妻の私服だ。あれも、部屋の記憶から写したのか。ため息が出る。


「芙蓉にいさん、病気?顔色、良くないよ。」


自分は食べずにコーヒーを飲んでいる芙蓉に太が聞いてきた。菓子パンを3個にカップ焼きそばの太の胃には負ける。



「ちょっと、眠れないだけだ。」

「そういえば、仕事は休みなの?」

「仕事?あ、そ、そーだよ。リモートだから。」



良かった、家で仕事が出来る時で。退職したなんて言えない。家に帰ったら母親に言うでろう。そうだ、思い出した。


「ふーちゃん、頼みがあるんだ。電話かけてくれないかな。」


芙蓉が頼んだ電話の相手は、太も知っている相手だった。芙蓉の高校時代からの親友だ。よく、2人で泊まりに来ていたから。



「タカさんに、何て言うの?」

「僕が離婚したって話をして欲しいんだ。」

「え、そんな話?」

「うん、言いにくくてね。里織とも仲が良かったから。」



サンドイッチを食べていたパトリシアは、2人の話を聞いて芙蓉を見つめた。でも、何も言わずに目を反らす。
こういうとこが、大人の女性な対応だろうか。見て見ぬふりというか。



「ねえ、パトリシアちゃん。また、空に浮かべてよ。」

「遊びで浮いたわけじゃない。」

「いいじゃないかよう。ケチらないで、魔法を使って見せて。芙蓉にいさんにも、さあ。」

「私は、大道芸人か!」



空に浮かぶ?何の事なのか。それより、芙蓉は大人の責任を果たす事にした。


「パトリシアさん、事情を話してくれませんか?僕で出来る事はしますから。」


関わりになった以上、ほっとくわけにはいかない。自分の部屋に泊めた責任もある。パトリシアは、うなすくと話し出した。


「実は、仲間とハグレてしまって。怪我をしている者も居るので、探し出したい。魔女が集めた魔法使いの魔力を持っていたせいで、この世界に飛ばされた。この世界では、私の魔力は新米魔法使いのような物で役に立たないのです。」


太は、真剣に聞いている。芙蓉は、困惑した。


(な、なんだ、この子は?魔法使いだって、言っているのか。本気で魔法使いと信じてるのか。どうしたら、いいんだろう。現実に魔法使いなんて居ないんだけど。)


もしかしたら、魔法使いになった気のしてる頭のおかしい人なのかも。32歳でピンクのドレスというのも変だった。とんでもない事になった。

1人、あたふたとしている芙蓉だが。今、部屋にある家具が妻が持って行った物の写しだというのを忘れている。

本来なら、その時点で動転していただろうが受け入れた。精神を安定させる魔法が使われた事を知らない。
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