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(27) 変な夢

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強い騎士に、なりたかったんだ。ファビアンは、子供の頃は夢みてた。なれなかったけど。

だけど、夢の中では何にでもなれる。


「エド、お前な!」


怒った顔の紫色のマントを着た若い男。ウェーブのかかった黒い髪が濡れていた。花街で女たちと騒いでいた美男子が笑う。



「愛しのドルウ、濡れてるじゃないか。君が風邪をひくかと思うと心配だよ。」
「心配するのなら、私の婚約者に手を出すな!」



見えない力で、エドワード・ランスロットの身体が吹き飛ばされる。女達か悲鳴を上げて逃げ出す。

起き上がるフランソワは、痛みをこらえて笑った。


「婚約者が大事なら、連れて歩いて見張っていろ!」


そして、腰の剣を抜いた。自分を見据えるドルウのグリーンの目が光っている。マジで怒ってる。何て素晴らしい。

フランソワは、親友を怒らせたい。本気で戦うドルウ・ゴメスは美しい。その姿を見たいのだ。







今日も、エドワード・ランスロットの夢を見た。起き上がって、マットの下の紙を取り出す。


「僕って、才能があるのかも。夢の中でストーリーが進んで行く。」


夢で見た事を書くだけでいい。自由なエドワード・と親友のドルウの話を。







久しぶりに剣の練習をしたくなって、嫌いだったレッスンを受けた。直ぐに疲れて動けなくなったけど。

でも、個人講師の警備隊長は褒めてくれた。



「王子さま、変わられましたね。責めの姿勢になられて。やはり、結婚されるからでしょうか。」


お世辞でも、嬉しい。そうだ、来月に結婚します。大好きなパトリシアと一緒に居られる。

自分の奥さんを守れるようになりたい。フランソワのように強くなって。

でも、浮気はしないよ。絶対に!







パトリシアは、ビックリしたみたいだ。2人で何時ものように並べた食べ物を食べていた手を止める。

ビーフジャーキーをくわえたまま、僕を見つめる。


「今、なんか言ったか?」


僕も爆弾オニギリを食べながら、答える。二度も言わせないでよ、恥ずかしい。目を合わせないで言う。


「僕、ファビアンは、パトリシアを一生をかけて守るから。そう、言いました。」


で、チラッと反応を見る。喜ぶかな。僕の精一杯の愛の告白だよ。


「へー、そう。これ、上手いぞ。」


え?ビーフジャーキーに、僕の告白は負けたの?嘘・・・!
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