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(15) 呪文かけられていた

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帰宅したパトリシアは、ドレスを脱ぎ捨てると後は身代わりに自分のふりをさせて隠し部屋に引っ込んだ。


(何か、引っかかるんだよな。)


15歳の誕生日の夜に転生前の記憶を覚醒させた神さまは、パトリシアを王子と婚約させたのに訳があるはずだ。



ドルウ・ゴメス(32歳没)



転生前の自分。魔法庁の管理部長で、出世コース。魔法使いとしての才も持ち合わせて、祖父から譲られた結構な財産もあった。財テクで増やしたのだ。

現在は、借金だらけの没落男爵が今は裕福な実業家になっている。それも、パトリシアの才能。


「お待ちしてましたよ、パトリシアさん。」


隠し部屋では悪魔が先に来ていて、勝手にコーヒーを飲んでいる。誰の部屋か分からない。男の服を着たパトリシアは、ジロッと見た。


「じゃ、聞きたい事を答えてくれ。アクマニベエベさん(わざと間違える)。」

「はいはい。あなた、また、太ったんじゃないですか?」

「食ってるからな、飯が旨くて。ほっとけ。」

「始めてお会いした時の姿は骨と皮でしたよ。そこからすると、何倍もの成長率。身体に良くありませんね。」

「そこは、干渉しなくていい。それよりだ、男の子だというのは本当か?」


是非、教えて欲しい。女の子という事には慣れたが、男の方がいいに決まってる。


「そうですよ。天国にあるデータセンターには、男の子となってます。」

「そうなのか。じゃあ、男の子になれるか?」

「勿論、なれます。ただ。」

「ただ?何だよ?」

「そうなってる理由を考えたのですが、呪文で縛ってますね。」


知らなかった。俺が呪文で女の子にならされてるなんて。でも、それを解けば男に戻れるんだ。転生して女の子なんて無理がある。少しは慣れたが。それは、それで、楽しい事も。駄目だ、流されたら。


「痛っー!」

「どうされました、偏頭痛ですか。女の子は多いですな。」

「いや、女の子じゃないし。何だか、酷くなってるでしゅ。」

「え、パトリシアさん?」

「何でちゅ?」

「その、言葉が。」

「言葉?おかしな事を言うな。普通でしー!」


アグアニエベは、聞かなかった事にした。本人が分かってないようなので。舌ったらずも可愛いですし、好みです。





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