55 / 67
「 2ー18 」教えられた真実
しおりを挟む
保は、信じられなかった。信じられるわけが無い。
「僕の、この姿は卵が孵った物だって?そんなんじゃない、僕ですよ!」
「そう思ってるだけです。絶滅危惧種とされてる魔族を総理事長が引き取って保護されていました。今となっては、あなたが最後の1匹となりましたが。」
「最後の1匹とか、やめてくれ。僕は、そんなのじゃない。勘違いだ。確かに卵は植え付けられたけど。」
「卵は、孵りました。私と総理事長が見届けています。あなたは、卵に栄養源として吸収されました。記憶が共用されてる為に、自分の身体だと思うのでしょう。」
表情を変えようともしない宿主は、繰り返した。保が何度も否定しても。保は、不安にかられた。
(この身体が卵の物だとしたら、残されている僕の物は恋心だけなんだ!)
鮎次郎を想うと熱くなる胸。目の奥に刻み込まれた輝く姿。動揺する心に呟きが洩れる。
「チッチッチッ、電線にチョロリンが2匹とまってる。それを魔法で打ってさ、煮てさ、焼いてさ。おっとっと・・・」
宿主が好奇心に満ちた目を向ける。
「それは、どなたから教わったのですか?」
「独学です、懐メロみたいで。」
これを口ずさむと元気が出るんです。皆も、一緒にやろう。唄うと辛い気分が薄れるよ。ほら、僕も記憶が曖昧(あいまい)になってきた。
「あ、どうでもいいや。おっとっと、シクシク。」
「シクシクとは?泣いてます?」
「違う違う、Seekだよ。Seek、Seek、Seek、探しに行かなくちゃ。交尾の相手を!」
「交尾の相手?」
宿主が何か言いかけているけど、気にしない。Seekだ、探しに行こう。何でかは分からない。でも、やらなくては。と、逃げ出した。
「ああ、行ってしまった。卵にも、種の存続の使命感は残されているのでしょうか。でも、雄なんめすねどね。卵は持ってないんですよ。」
宿主は肩をすくめた。まあ、いい。私の役目には入っていないから。交尾のする時にでも、気がつくでしょうから(その時では、遅いと思いますが?)
「僕の、この姿は卵が孵った物だって?そんなんじゃない、僕ですよ!」
「そう思ってるだけです。絶滅危惧種とされてる魔族を総理事長が引き取って保護されていました。今となっては、あなたが最後の1匹となりましたが。」
「最後の1匹とか、やめてくれ。僕は、そんなのじゃない。勘違いだ。確かに卵は植え付けられたけど。」
「卵は、孵りました。私と総理事長が見届けています。あなたは、卵に栄養源として吸収されました。記憶が共用されてる為に、自分の身体だと思うのでしょう。」
表情を変えようともしない宿主は、繰り返した。保が何度も否定しても。保は、不安にかられた。
(この身体が卵の物だとしたら、残されている僕の物は恋心だけなんだ!)
鮎次郎を想うと熱くなる胸。目の奥に刻み込まれた輝く姿。動揺する心に呟きが洩れる。
「チッチッチッ、電線にチョロリンが2匹とまってる。それを魔法で打ってさ、煮てさ、焼いてさ。おっとっと・・・」
宿主が好奇心に満ちた目を向ける。
「それは、どなたから教わったのですか?」
「独学です、懐メロみたいで。」
これを口ずさむと元気が出るんです。皆も、一緒にやろう。唄うと辛い気分が薄れるよ。ほら、僕も記憶が曖昧(あいまい)になってきた。
「あ、どうでもいいや。おっとっと、シクシク。」
「シクシクとは?泣いてます?」
「違う違う、Seekだよ。Seek、Seek、Seek、探しに行かなくちゃ。交尾の相手を!」
「交尾の相手?」
宿主が何か言いかけているけど、気にしない。Seekだ、探しに行こう。何でかは分からない。でも、やらなくては。と、逃げ出した。
「ああ、行ってしまった。卵にも、種の存続の使命感は残されているのでしょうか。でも、雄なんめすねどね。卵は持ってないんですよ。」
宿主は肩をすくめた。まあ、いい。私の役目には入っていないから。交尾のする時にでも、気がつくでしょうから(その時では、遅いと思いますが?)
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる