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「 1ー16 」また、編入生

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御前様の救急車搬送の話題が別の話題に消えてしまった。新しい話題の主は。


「百合谷 織姫(ゆりや おりひめ)でーす。皆、よろしくねー!」


アイドルスマイルを振り撒く美少女の編入生であった。引退したアイドルの「美山 美絵瑠(みやま みえる)」に似てる事から大人気。


「なんていうか、男受けするていうか。ブリッ娘なんだよねえ。あの子って!」


休憩時間に女の子の話を聞いて情報収集をするのは留目馨だった。メモに書いて放課後に提出。

受け取った宿主は、礼を言った。


「ご苦労様。カオルさんは、女生徒に好かれているんだね?」

「僕、嫌われると生きていけないので。」

「生きていけないとは?」

「昔、イジメられてたから。でっす!(口が滑った)」


誤魔化して教員室を出る。気をつけなくちゃ、身代わりだとバレてしまう。冷や汗が吹き出した。


(宿主先生は、可愛い女の子が好きだったりして。僕に評判を調べさせるなんて。でも、先生は女だよね。)


確かに側にとは思う、遠くから見ただけだけど。編入して数日で男の子に囲まれていたけど。

学食で御前様に聞いてみた。


「ねえ、御前様。編入してきた百合谷さんていう女の子を知ってますか?」

「あー、元アイドルに似てるとかだな。そのアイドルに会った事あるぜ。」

「え、ミエルに?

「うちの仕事関係で家に来てたな。」

「家って、あの城に?」

「そーだよ。他にあるか?」


ありませんけど、あの城は津海小路家の物ですから。庶民と規模が違う。薫は手付かずの定食に気がつく。


「食欲ないんですか?」

「うん、胸がムカつく。」


病院から戻った後は元気だったのに、体調が悪そうだ。少し心配。まゆを寄せて伏せた睫毛が麗しい。見惚れるよ。


「見るな、すり減る!」「はい、すみません!」


すり減るって、削られてくのだろうか。繊細だな。美人は、皆、そうなんだろうか?

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