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( 14 )その壱族 ①
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新王の後見人であるアンジェリカ王女の怒り。
「直ぐに、アメリア王妃のお子様達を自由にしなさい!」
前王の腹心達が追い出されて新王体制にする為の作業で大忙しの人々は恐れおののいた。即、地下牢から幼い双子が釈放される。
「この子達と別に暮らす事にするわ。」
アンジェリカ王女は、ポーチから何かを取り出す。それは、小さなお城の模型であった。それを窓の外へ投げると宙に大きなお城が出現。
アンジェリカ王女は、幼子達を守る為にアメリア王妃と共に城へ移り住んだのだ。
執務室の窓から見える浮かぶ城を見て、ジョセフィン王子は思う。
「あの聖女は、凄い魔女だ。ああやって、権力を見せつけてるから。あれを見る度に、この人には叶わないと思う。」
その通りに、王子を追放して王位を奪った叔父は国外へ逃亡して手を出して来ない。この事も、誰かが知らせているのだろう。
アンジェリカ王女がいる限りは、平和なのは間違いない。
アグアニエベは、新しい王を迎えた城の中を見て回っていた。一部分に破壊された跡はあるものの、後は傷も無い。
大聖女となると、城を乗っ取る事も被害を最小限に押さえる事が出来るという事か。
攻撃的な聖女というのも、稀だが。
「アグアニエベでございます、ジョセフィン王様。」
執務室に床から上がって来た悪魔に、ジョセフィンは書類を見る手を止めた。
小さな少年が椅子に座って仕事をしているというのは違和感がある。懸命なアグアニエベは口には出さなかったが。
「婚約者のエルザ様にご報告があります。追っ手が村に現れました。空の村に帰りましたほで、ご安心を。」
ジョセフィンの仕事を手続っているエルザは、ホッとした顔になる。あのまま、村に居たなら騒動になっていた事だろう。
「お知らせ下さって、ありがとうございます。」
「それと、別な用もありまして。王様は、私にご用かと。そうでしょう?」
ジョセフィンは、頷く。そうだ、この男に用がある。
「この国の名を知っている、そうでしょ?」
アグアニエベは、笑む。予想通りの質問立ったからだ。
「ニドゥス。ここは、貴方のご先祖が、この地に築いた巣立ったからだ。アウィス一族が、遠い昔に天の国を旅立った後に。」
ジョセフィン王は、肩を落として息を吐いた。重い物を背負っているように。幼い姿には似合わない仕草だ。
「もう、今は僕が最後の1人なんだ。その血を残してるのは。」
母王妃が叔父との間に成した双子には、その血は無い。ゆえに、正当な王族の証でもある。その為に苦しんでもいた。
「教えてくれ、どうしたらいい?」
それが、正直な気持ちだった。その答えを教えてくれる者は居なかったのだ。アグアニエベは、宙に一冊の分厚い本を取り出した。
「これは、天の国の書物。蔵の中に眠っていた物です。これには、あなたの祖先の事が記録されている。」
アグアニエベが手を動かすと、宙に浮かんだ本がパラパラとめくられ平出行く。そして、指示された頁で止まると読み上げ出した。
『天の園に住む鳥は、神に願い出た。人の形になって暮らしたいと。神は、その願いを叶えたのだ。』
それは、遠い遠い昔の忘れられた天の国の鳥、アウィスの始まりのお話でした。
「直ぐに、アメリア王妃のお子様達を自由にしなさい!」
前王の腹心達が追い出されて新王体制にする為の作業で大忙しの人々は恐れおののいた。即、地下牢から幼い双子が釈放される。
「この子達と別に暮らす事にするわ。」
アンジェリカ王女は、ポーチから何かを取り出す。それは、小さなお城の模型であった。それを窓の外へ投げると宙に大きなお城が出現。
アンジェリカ王女は、幼子達を守る為にアメリア王妃と共に城へ移り住んだのだ。
執務室の窓から見える浮かぶ城を見て、ジョセフィン王子は思う。
「あの聖女は、凄い魔女だ。ああやって、権力を見せつけてるから。あれを見る度に、この人には叶わないと思う。」
その通りに、王子を追放して王位を奪った叔父は国外へ逃亡して手を出して来ない。この事も、誰かが知らせているのだろう。
アンジェリカ王女がいる限りは、平和なのは間違いない。
アグアニエベは、新しい王を迎えた城の中を見て回っていた。一部分に破壊された跡はあるものの、後は傷も無い。
大聖女となると、城を乗っ取る事も被害を最小限に押さえる事が出来るという事か。
攻撃的な聖女というのも、稀だが。
「アグアニエベでございます、ジョセフィン王様。」
執務室に床から上がって来た悪魔に、ジョセフィンは書類を見る手を止めた。
小さな少年が椅子に座って仕事をしているというのは違和感がある。懸命なアグアニエベは口には出さなかったが。
「婚約者のエルザ様にご報告があります。追っ手が村に現れました。空の村に帰りましたほで、ご安心を。」
ジョセフィンの仕事を手続っているエルザは、ホッとした顔になる。あのまま、村に居たなら騒動になっていた事だろう。
「お知らせ下さって、ありがとうございます。」
「それと、別な用もありまして。王様は、私にご用かと。そうでしょう?」
ジョセフィンは、頷く。そうだ、この男に用がある。
「この国の名を知っている、そうでしょ?」
アグアニエベは、笑む。予想通りの質問立ったからだ。
「ニドゥス。ここは、貴方のご先祖が、この地に築いた巣立ったからだ。アウィス一族が、遠い昔に天の国を旅立った後に。」
ジョセフィン王は、肩を落として息を吐いた。重い物を背負っているように。幼い姿には似合わない仕草だ。
「もう、今は僕が最後の1人なんだ。その血を残してるのは。」
母王妃が叔父との間に成した双子には、その血は無い。ゆえに、正当な王族の証でもある。その為に苦しんでもいた。
「教えてくれ、どうしたらいい?」
それが、正直な気持ちだった。その答えを教えてくれる者は居なかったのだ。アグアニエベは、宙に一冊の分厚い本を取り出した。
「これは、天の国の書物。蔵の中に眠っていた物です。これには、あなたの祖先の事が記録されている。」
アグアニエベが手を動かすと、宙に浮かんだ本がパラパラとめくられ平出行く。そして、指示された頁で止まると読み上げ出した。
『天の園に住む鳥は、神に願い出た。人の形になって暮らしたいと。神は、その願いを叶えたのだ。』
それは、遠い遠い昔の忘れられた天の国の鳥、アウィスの始まりのお話でした。
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