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( 10 )追放して連れ戻す
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エルザを追放した神殿では、予想もしない事態になっていた。
「エミリア様、祈りが満了(まんりょう)になっておりません。やり直して下さい。」
神官が、大聖女に就任(しゅうにん)したエミリアに注意したら。
「私は、大聖女よ。これでいいの。やり直しなんて、必要ないの!」
と、開き直られた。毎日の祈りは、聖女の努め。大聖女は、その魔力を神の像に込めて参列する信者たちを癒(いや)す。
神殿としての役目なのに、それが無くては意味が無いっていうのに。
神官たちは、話し合って王様に訴えた。
「大丈夫、大丈夫。わしの子息のフィリップス王子が認めた魔力の持ち主であるぞよ。王子と婚約して将来の王妃にもなる。その聖女を侮辱(ぶじょく)するのは、許さなーいぞよ。処刑されたいか!」
王子を溺愛している王様パパ、話にならない。これでは、神殿が神殿で無くなり責任を取らされると神官たちは逃げ出す事にした。
神官たちが姿を消した為に仕事の増えた新米大聖女。不満タラタラで、王宮へ乗り込む。
本来なら、神殿から外出は出来ないのだが。
「ちょっと、王子様ったら。新しい愛妾(あいしょう)を作ってんのね。私が居れば必要ないとか何とか言ってなかったっ!!」
美人の新しい愛人を膝に乗せて、フィリップス王子はムッとする。自分は、王子なのだ。王様パパの跡を継いで王様になる偉いさんなのだぞ。
「うーむ、うるちゃいなあ。」
膝に抱いている愛妾が、笑って言う。
「そうよ、うるさいわ。王宮から追い出してよ。」
それは、いい考えだ。フィリップス王子は兵士を呼んで大聖女であり婚約者のエミリアを王宮の外へ放り出した。
この前までは、好きだ大好きだと言っていた相手が冷たい仕打ち。エミリアは、あてが外れた。
(困ったわ、私に責任とらせる気ね。王妃になって贅沢三昧するつもりが。いいわ、私にも考えがあるから。)
と、エミリアも逃亡する事にしました。
国境では、異変が起こっていた。
モンスターが、何かに気がついたのだ。これまでは、近くに寄ると嫌な感じがしてたのに。モンスターの第六感が、危険だと教えてきたのだが。だが?
「おい、そこに入るな。大聖女のバリヤに怪我するぞモンスター!」
「そうなのかな、違う感じがしてモンスター?」
モンスターの1匹が、恐る恐る足を出してみた。今までなら、「バキン!」と折られていたのだが。
「モンスター?」
何も起こらない。次に国境を飛び越えてみた。
ジャンプーー!
モンスター達は、驚いた。何も起こらない、平気だ。
「大丈夫だぞ、バリヤが無くなってるモンスター!」
皆、大喜び。一斉に国境を越えて行く。国中でモンスターの被害が起こる。神殿に殺到する救援願い。
「助けてくれと言われても、大聖女様の姿が見えない。何処に行かれたんだ!」
外出禁止のはずの大聖女様がお出かけして行方不明。大騒ぎだ。
知らせを受けた王宮では、王様が決断した。もう、そうするしかないだろう。
「追放した大聖女エルザを見つけ出すのじゃ。直ぐにでも、連れ戻せー!」
エルザ捜索隊が、国を出発した。追放したのに困った時は、大聖女たのみ。さあ、売られたエルザを見つけ出せるのか?
「エミリア様、祈りが満了(まんりょう)になっておりません。やり直して下さい。」
神官が、大聖女に就任(しゅうにん)したエミリアに注意したら。
「私は、大聖女よ。これでいいの。やり直しなんて、必要ないの!」
と、開き直られた。毎日の祈りは、聖女の努め。大聖女は、その魔力を神の像に込めて参列する信者たちを癒(いや)す。
神殿としての役目なのに、それが無くては意味が無いっていうのに。
神官たちは、話し合って王様に訴えた。
「大丈夫、大丈夫。わしの子息のフィリップス王子が認めた魔力の持ち主であるぞよ。王子と婚約して将来の王妃にもなる。その聖女を侮辱(ぶじょく)するのは、許さなーいぞよ。処刑されたいか!」
王子を溺愛している王様パパ、話にならない。これでは、神殿が神殿で無くなり責任を取らされると神官たちは逃げ出す事にした。
神官たちが姿を消した為に仕事の増えた新米大聖女。不満タラタラで、王宮へ乗り込む。
本来なら、神殿から外出は出来ないのだが。
「ちょっと、王子様ったら。新しい愛妾(あいしょう)を作ってんのね。私が居れば必要ないとか何とか言ってなかったっ!!」
美人の新しい愛人を膝に乗せて、フィリップス王子はムッとする。自分は、王子なのだ。王様パパの跡を継いで王様になる偉いさんなのだぞ。
「うーむ、うるちゃいなあ。」
膝に抱いている愛妾が、笑って言う。
「そうよ、うるさいわ。王宮から追い出してよ。」
それは、いい考えだ。フィリップス王子は兵士を呼んで大聖女であり婚約者のエミリアを王宮の外へ放り出した。
この前までは、好きだ大好きだと言っていた相手が冷たい仕打ち。エミリアは、あてが外れた。
(困ったわ、私に責任とらせる気ね。王妃になって贅沢三昧するつもりが。いいわ、私にも考えがあるから。)
と、エミリアも逃亡する事にしました。
国境では、異変が起こっていた。
モンスターが、何かに気がついたのだ。これまでは、近くに寄ると嫌な感じがしてたのに。モンスターの第六感が、危険だと教えてきたのだが。だが?
「おい、そこに入るな。大聖女のバリヤに怪我するぞモンスター!」
「そうなのかな、違う感じがしてモンスター?」
モンスターの1匹が、恐る恐る足を出してみた。今までなら、「バキン!」と折られていたのだが。
「モンスター?」
何も起こらない。次に国境を飛び越えてみた。
ジャンプーー!
モンスター達は、驚いた。何も起こらない、平気だ。
「大丈夫だぞ、バリヤが無くなってるモンスター!」
皆、大喜び。一斉に国境を越えて行く。国中でモンスターの被害が起こる。神殿に殺到する救援願い。
「助けてくれと言われても、大聖女様の姿が見えない。何処に行かれたんだ!」
外出禁止のはずの大聖女様がお出かけして行方不明。大騒ぎだ。
知らせを受けた王宮では、王様が決断した。もう、そうするしかないだろう。
「追放した大聖女エルザを見つけ出すのじゃ。直ぐにでも、連れ戻せー!」
エルザ捜索隊が、国を出発した。追放したのに困った時は、大聖女たのみ。さあ、売られたエルザを見つけ出せるのか?
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