(完)仕方ないので後は契約結婚する

(６８) 責任とれません

ベネディット・バデロッサ公爵は、何も知らずに療養所へ妹に会いに訪れた。便利な簡易移動魔法ホールの貸し出しを受けてされいるので通うのが楽です。

レンタルをしているのはゴメス商会。療養所の前が駐車場のようにディズニー口を設定。そこから、出入り自由。ベネディットは、遠くに見えるイトウ子爵の屋敷を睨んだ。


(あのイトウ子爵令息め、羨ましいぞ。マルグリート様と結婚できるなんて、山のよな黄金を手にしたような物だ。妻だからキスできる。妻だから、あーんな事や、あれもこれ・・も！！)


妄想が激しくてオーバーヒート致しました。診療所から出て来た妹のノエミが立ち尽くしている兄に気がついて介抱する。


「お兄さま、どうされたの？働き過ぎなのね。私が結婚するまで頑張るって言ってたのに。もうすぐ、結婚式を挙げるかもしれないのに！」

「え、結婚だって？(復活)」


寝耳に水とは、この事だ。妹は、結婚相手を見つけたらしい。だが、予想しなかった人物だった。
 

「な、ななななんだって？イトウ子爵令息と結婚すると。結婚してるんだぞ！」

「もう、離婚されましたわ。奥様は、了承されて出て行かれましから。そういう、お約束だったそうよ。」


ベネディットには、多重の衝撃。密かに想いを寄せていたマルグリートが居なくなっていたのだ。それも、自分の妹に夫を盗られて。ベネディット、卒倒する。



それから、１週間後ーー。



ハーパー店長が、都の病院に居た。病院の個室のドアをノックして面会に来た相手の名前を呼ぶ。


「コンコン、バデロッサ公爵様。ゴメス商会の者です。入って宜しいですか？」


入って来た客をベッドの中の青白い顔のベネディットが迎える。


「これは、ハーパー店長。何事ですか？」

「病気の公爵に、お知らせしたい事がありまして。大変、残念な事ですが。」

「え、何でしょう？」

「公爵が会社を任されていた責任者が、あなたの会社のお金を持ち逃げしました。その上に、ゴメス商会から仕入れたドレスや装飾品も無くなっています。売り飛ばしたようで。」

「持ち逃げ、売り飛ばしたって。えっ、ええええーー！！」


ベネディットは、あまりの衝撃に２度目の卒倒。たった、１週間の留守の間に財産を盗まれ仕入れの支払いと多額の借金を背負わされたのです。破産しました。