(完)仕方ないので後は契約結婚する

川なみな

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(60) 好きになれない相手

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数日後、マルグリートは散歩がてら新しく建った家を見に出かけていた。ゴメス商会の家の建て方は早い。3日あれば完成。何軒かの小じんまりとした洒落た家が並んでいる。元は、畑であった。


「まー、畑があったのが嘘みたい。緑の芝生も植木もあるし。ガーデンテラスのセンスがいいわね。さすが、ゴメス商会!」

「誉めて頂いて嬉しいですよ。マルグリートお嬢様。」


肩に手が乗せられて、低い声で囁かれる。途端に顔が熱くなった。心臓がトキメクのが快感。女の扱い方を知り尽くした男の部類。危ないのが、ス、テ、キー!


「あら、おはようございます。ゴメスさん♪あ、あなたは!(お邪魔虫)」
「マ、はー(マルグリート様、おはようございます)」


あら?二言しか喋ってないのに、おかしいわね。名前と挨拶が聞こえたわ。紫の髪を三つ編みした変人。顔は綺麗なんだけど、近い!


「フランソワ様、顔が目の前で見づらいんですのよ。」

「フラン、失礼だぞ。レディへのマナーは教えてるはずだ。」

「り、おー(了解、申し訳ありません)」

「そうだ、賢い子だな」


まあ、またしても聞こえたわ。テレパシーでも使ってるのかしら。持ってる魔力増幅装置のせいね。無視してゴメスさんと話(はな)そっと。ウフフ。


「ゴメスさん、家を見に来られましたの?」

「療養で入居のお客様を案内して来ました。ドルジュ男爵夫人です、お見知りおきを。」


そう言うと現れた貴族の母娘を引き合わせるのだ。オレンジ色の髪をした娘は容姿が良いが顔色が悪く病弱のようだ。この娘も呪われているのだろうか。


「こちらは、この領地を治めるイトウ子爵令息のマルグリート奥様です。ドルジュ男爵令嬢は、カリンコロンの王子と結婚する事になりまして。デマンド国から来られました。」


マルグリートは、驚く。ゴメスの結婚という言葉に母と娘は嬉しそうな顔になった。夫人は自慢そうな態度。


(結婚って、ピーター王子と?ちょっと、待って。結婚相手は、私の知っている公爵令嬢になったって聞いたわよ。て事は、後宮に入る側妃の1人。多数の種族から集める「その他大勢」の1人。まあ、大変ー!)


知らぬが仏。言いたいけど言わぬが優しさ。ここは、口を閉じる事に。耐えるのよマルグリート。嫌な汗が流れ出るわ。

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