(完)仕方ないので後は契約結婚する

川なみな

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(50) 誰かの企み

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探す情報は、「ベアトリーチェ・ドルジュ」。スタンレーの都に数日だけ滞在して姿を消したという。

マルグリートは、馬車の停泊所に行って御者たちに掌を向けた。都から出て行ったのなら、御者に聞くのが1番だ。


(さあ、教えるのよ。その名前を聞かなかったの?)


様子を眺めていたゴメスが、感心したようにエドワード に言う。


「彼女は、ガッツがあるな。情報屋に向いている。」

「そうだね、身持ちも硬いから男に流されないし。ハハハー。」


エドワードは、からかっていたのだ。マルグリートの警戒を知りながら。遊び人だから、そういう女性を見ると手を出したくなるから困る。


「乗せたという御者がいましたわ。」


御者の意識に浮かんでいた情報では、診療所まで乗せて診察が終わった後は都の外へ送ったらしい。それは、国境までだった。


「ドモン国の国境です。」


てきぱきとして報告するマルグリートの仕事ぶりにゴメスは気に入ったようだ。合格点なのだろう。数日後には、魔力を増幅する魔道具をプレゼントしてくれた。誰でも、魔法使いになれますアイテムである。


「こんな物を頂いても。私に魔力の勉強をさせて何をする気なんでしょう。私は、普通の奥方になるつもりなんですのよ。ねえ、ハーパー店長?」


アイテムを預かって届けに来たハーパー店長は、紅茶を飲みながら頷く。マルグリートが含んだ意味は気がついてないふりを装って。

今も意味あり気な眼差しを送ってくるのを素知らぬ振りで受け取らずに流して。受け止めたら喰われそうなので。私は、美味しくないですよ。食べたら後に引きます。


(いや、貴方には普通の奥方は無理でしょう。隊長なんていう仕事の方が向いてますよ。)


人には生まれ持った資質という物があって人の上に立つか人に従うかは決まっている。どう見たって上に立つ人間だ。

イトウ子爵家に建てた療養所のセキュリティが彼女を拒む理由。それは、生エネルギーがタフだからだ。体力の落ちた者は対すると負けて弱ってしまう。

だから、呪われた土地で暮らしても平気なのだろう。本人は、気がついてないが。

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