48 / 76
(47) そんな戦い方
しおりを挟む
誰とも分からなかった男はフードを外して顔を表す。王様もヘルミーナも驚いた。それは、美しい若者だったからだ。
紫色の長い髪を幾つもの三つ編みに分け、人形のように整った顔には硝子のような目が光って見える。ヘルミーナは彼を知っていた。
「フランソワ・カミュ代理でしたの!」
そう、魔法を使う男はゴメス商会の代理でゴメスが親代わりに世話している。フランソワは、名前を呼ばれてヘルミーナに片手を上げて微笑む。
ヘルミーナにとって何度も商談で顔は合わせた事のある相手だが、話をした事は僅かだ。その理由は、フランソワが会話が出来ない為である。
フランソワ「んはー(こんにちは)」
このように、彼には言語が無いのだ。だから、話をするのをヘルミーナは諦めた。
次にゴメスのした事は、フランソワの身支度だった。こんな時に装飾品を注意するのかと疑問に思いながらも皆で見ている。
「そうだな、これくらいか。」
ゴメスはフランソワの前に立つと、ぶつぶつ言いながら紫色の幾つもに分けられている三つ編みに手を触れた。そして、結んでいる紐を全て外す。
「ふっー(久しぶりだ)」
嬉しそうにフランソワは頭を振る。まるで、犬が身震いするようだ。すると、髪に光が発生するではないか。たちまち、彼の頭部は光に入って見えなくなる。ゴメスは指示した。
「いいか、狙えよ。教えておいた通りにやれ。さあ、やれ!」
ヘルミーナは悟った。そして、弟の頭を抱え込むと王様や兵士達に叫ぶ。
「座って、屈むのよ。そして、目を閉じるの。巻き込まれます!」
そして、フランソワは身体をブルブルと震わせた後に全身から閃光を放った。それは、遠く離れた敵の部隊へと分裂して夜空を走り抜ける。
キーーン、キーーン、ドンッドドッーーン!
空気を裂く音の後に響く爆発音。起こる地面の揺れと振動。アグアニエベは、黒い大きな羽根を出して飛び上がる。確認作業の為に打ち込まれた現場へと向かった。
「おやおや、欠片も残っていませんね。フランソワちゃんは、お片付けも上手だ。末恐ろしいですよ!」
何処を探しても部隊の形跡すら残っては居なかった。敵の部隊は消滅させられたようだ。
「フランソワちゃんの封じた髪の魔力、見せてもらいましたがねえ。手から指輪を外すと、どうなるか見たいなあ。何時かは、見れるでしょう。」
フランソワの両手の指にはめられた指輪は魔力封じにゴメスが付けた魔道具だった。それを全て外すと、部隊どころか国が無くなりそうですか?
紫色の長い髪を幾つもの三つ編みに分け、人形のように整った顔には硝子のような目が光って見える。ヘルミーナは彼を知っていた。
「フランソワ・カミュ代理でしたの!」
そう、魔法を使う男はゴメス商会の代理でゴメスが親代わりに世話している。フランソワは、名前を呼ばれてヘルミーナに片手を上げて微笑む。
ヘルミーナにとって何度も商談で顔は合わせた事のある相手だが、話をした事は僅かだ。その理由は、フランソワが会話が出来ない為である。
フランソワ「んはー(こんにちは)」
このように、彼には言語が無いのだ。だから、話をするのをヘルミーナは諦めた。
次にゴメスのした事は、フランソワの身支度だった。こんな時に装飾品を注意するのかと疑問に思いながらも皆で見ている。
「そうだな、これくらいか。」
ゴメスはフランソワの前に立つと、ぶつぶつ言いながら紫色の幾つもに分けられている三つ編みに手を触れた。そして、結んでいる紐を全て外す。
「ふっー(久しぶりだ)」
嬉しそうにフランソワは頭を振る。まるで、犬が身震いするようだ。すると、髪に光が発生するではないか。たちまち、彼の頭部は光に入って見えなくなる。ゴメスは指示した。
「いいか、狙えよ。教えておいた通りにやれ。さあ、やれ!」
ヘルミーナは悟った。そして、弟の頭を抱え込むと王様や兵士達に叫ぶ。
「座って、屈むのよ。そして、目を閉じるの。巻き込まれます!」
そして、フランソワは身体をブルブルと震わせた後に全身から閃光を放った。それは、遠く離れた敵の部隊へと分裂して夜空を走り抜ける。
キーーン、キーーン、ドンッドドッーーン!
空気を裂く音の後に響く爆発音。起こる地面の揺れと振動。アグアニエベは、黒い大きな羽根を出して飛び上がる。確認作業の為に打ち込まれた現場へと向かった。
「おやおや、欠片も残っていませんね。フランソワちゃんは、お片付けも上手だ。末恐ろしいですよ!」
何処を探しても部隊の形跡すら残っては居なかった。敵の部隊は消滅させられたようだ。
「フランソワちゃんの封じた髪の魔力、見せてもらいましたがねえ。手から指輪を外すと、どうなるか見たいなあ。何時かは、見れるでしょう。」
フランソワの両手の指にはめられた指輪は魔力封じにゴメスが付けた魔道具だった。それを全て外すと、部隊どころか国が無くなりそうですか?
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる