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(46) 救われた王国
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夜半になると、ゴメスは王様とヘルミーナを伴って城の見晴らしの良い塀の上へと向かった。何をするとも教えない。
塀の上からの景色は気持ちの良い物では無かった。日が沈んだ為に都の外で夜営をしている敵軍の松明(たいまつ)が見えるからだ。凄い数だ。
ゴメスは、辺りを見回して呼ぶ。誰かを。
「フラン、来たか?」
風が吹き抜けたかと思うと、上空から黒い塊が落ちて来るではないか。ゴメスとアグアニエベは動かない。王様やヘルミーナと兵士や侍従達が逃げ出した。
ヒューン、ババンッー!
煙りを上げて落下した物はマントを着た人の姿に変わる。石造りの塀の床が凹んでいるではないか。ゴメスが頭を押さえて呻いた。
「フラン、力加減をしろ。やり過ぎると塀が壊れるぞ。」
「ブッジョー(丈夫だから)」
「それは、お前の身体だ。物には優しくしてやれ。」
「やー?(優しくって?)」
親代わりとしては、見本を見せなくてはならない。ゴメスは、息を吸い込むと魔力をフランソワが凹ました石の床に投げた。一瞬で元に戻る。
分かったか?という表情をフランソワに向けたゴメスは尋ねた。
「それで、手に入ったか?」
「ブッジョー(大丈夫だから)」
「分かった、分かった。お見せしろ。」
ゴメスと話をしている男は自分のマントの下から何かを取り出す。ヘルミーナは、叫んだ。
「ジョージ!」
王様も声を上げて駆け寄る。それは、拐われていたヘルミーナの弟王子であった。衣服は汚れており手足には付けられた傷が見える。意識は朦朧としているようでボンヤリとしているだけだ。
王様とヘルミーナは涙を流しながら抱き締める。酷い事をすると怒りながら。誘拐されてからの王子の扱いは容赦なかったらしい。ゴメスは、2人の間から王子の頭に指を触れた。
「忘れるという事は治療でもある。身体と心に受けた傷は、受けられるように成長した時まで封印しよう。そして、あなた方にも封じなければならない。これから起こる事を記憶に残さないように!」
何かの音楽が流れる。それは、王様と王子とヘルミーナを包み込んだ。忘れたい事なら閉じ込めて、見せたくない事は記憶を変える。
ゴメスの魔法は、彼らの意識を操作したのだ。
塀の上からの景色は気持ちの良い物では無かった。日が沈んだ為に都の外で夜営をしている敵軍の松明(たいまつ)が見えるからだ。凄い数だ。
ゴメスは、辺りを見回して呼ぶ。誰かを。
「フラン、来たか?」
風が吹き抜けたかと思うと、上空から黒い塊が落ちて来るではないか。ゴメスとアグアニエベは動かない。王様やヘルミーナと兵士や侍従達が逃げ出した。
ヒューン、ババンッー!
煙りを上げて落下した物はマントを着た人の姿に変わる。石造りの塀の床が凹んでいるではないか。ゴメスが頭を押さえて呻いた。
「フラン、力加減をしろ。やり過ぎると塀が壊れるぞ。」
「ブッジョー(丈夫だから)」
「それは、お前の身体だ。物には優しくしてやれ。」
「やー?(優しくって?)」
親代わりとしては、見本を見せなくてはならない。ゴメスは、息を吸い込むと魔力をフランソワが凹ました石の床に投げた。一瞬で元に戻る。
分かったか?という表情をフランソワに向けたゴメスは尋ねた。
「それで、手に入ったか?」
「ブッジョー(大丈夫だから)」
「分かった、分かった。お見せしろ。」
ゴメスと話をしている男は自分のマントの下から何かを取り出す。ヘルミーナは、叫んだ。
「ジョージ!」
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「忘れるという事は治療でもある。身体と心に受けた傷は、受けられるように成長した時まで封印しよう。そして、あなた方にも封じなければならない。これから起こる事を記憶に残さないように!」
何かの音楽が流れる。それは、王様と王子とヘルミーナを包み込んだ。忘れたい事なら閉じ込めて、見せたくない事は記憶を変える。
ゴメスの魔法は、彼らの意識を操作したのだ。
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