(完)仕方ないので後は契約結婚する

(４５) その前夜

ライアンは甲斐がしく世話をするマイコに戸惑うばかり。でも、良い方に考えた。


(もしかして、ヘルミーナ様が僕を心配して？)


素っ気ないから悩んでいたが思いは通じてきたのか。毒の為に寝込んだが良い結果を手に入れたようだ。と、大きな勘違い。


「マイコさん、あなたが世話をしてくれてので元気になりました。ありがとう。」


笑顔で礼を言われて舞い上がるマイコ。ヘルミーナの身代わりをしていたのがバレてからヨソヨソしかったのだから嬉しい。


(だって、だって、前みたいに触れても来ないしい。見つめてくれないしい。マイコは寂しかったんだぞ！)


これで、元の関係に戻れると。身代わりだから元のとか無いのだけど。恋する乙女は夢の中。自分が愛される夢を見るのだ。

ヘルミーナの新しい侍女がマイコ宛の手紙を届けに来て事態は変わる。手紙を読んでマイコはムクれた。


「お父ちゃんたら、こんな時に。ドモン国が大変だから戻って来いだなんて。娘の恋路を邪魔したら許さないよ！」


そうは言っても、ドモン王家に忠誠を誓う契約をして王女の侍女になって身だ。無視できない。未練を残しながら、ヘルミーナと帰国するのであった。








ドモン王家では客が到着してヘルミーナを待っていた。アグアニエベだ。


「ヘルミーナ王女様、ご安心下さい。私、アグアニエベが居れば百人力。何も怖くありませんよ。」


何も怖くないと言うのなら、かなりの兵士を集めて来たのね？


「兵士なんて必要ありません。このゴメスが片付けてくれますって。ね、最強魔法使いのゴメスさん？」

「お前が言うと嘘っぽいんだよ。それに、俺は友達じゃないぞ。馴れ馴れしく扱うな！」


あら、この２人って仲良しなのに友達じゃ無かったのね。知りませんでした。

実はヘルミーナは、ゴメスをよく知らないのだ。アグアニエベに紹介されてゴメス商会と取り引きをするようになったものの、親しくは無い。ゴメスが魔法を使える事は知らされていたのだが。

そして、ゴメスの実態を目にする事になった。