(完)仕方ないので後は契約結婚する

川なみな

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(44) 私に下さい

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帰宅したヘルミーナは、迎えた侍女のマイコに驚かされる。


「お嬢様、マイコはお暇を頂きます!」

「え、お暇って。どういう事ですの?」


だって、貴女はゴメス商会から派遣された侍女でしょ。それを言うと、マイコは忘れていたようだ。


「あ、そうだった。じゃ、契約変更で。あたし、ライアン様はを守らないといけないので。」

「ライアン様に何かあったの?」


ヘルミーナは毒の話を聞いて自分の左腕を見た。それは、アグアニエベがゴメスから手に入れて渡してくれたものだ。


「念のためにライアン様の腕輪をお願いして用意してもらったのに。役に立ってるなんて複雑ですわ。もっと、強い効き目の腕輪に変えて頂きます。」

「はい、お願いします。そして、ライアン様を。」

「ライアン様を?何?」

「ヘルミーナ様が要らないのなら、あたしに下さいっ!!」


ヘルミーナは、驚きに目を見開く。そして、マイコの顔に強い決意を見て気がついた。


(私ったら、何て事かしら。側に居るのに気がつきませんでしたわ。マイコは、ライアン様が大好きなのね!)


だから、侍女を辞めてライアンに仕えたいのだ。


(要らないのならは、胸に刺さるわ。気をつけないと。)


人の心を、もて遊ぶなんて。やってはいけない事なのに。無意識に、やってたのなら反省しなくては。ヘルミーナは、苦笑していた。








1日、寝ていたら良くなった王子様。毒消しの腕輪の効果で体内に入った毒は分解されて無効果される。普段なら数時間でスッキリするのに、今回は猛毒だったようだ。


「後遺症が出るかもしれません。明日まで、お休み下さいね。マイコが見張ってますから、お出かけはさせませんから!」


と、頼んだ覚えの無い番犬が側に居て世話をしてくるのだ。おまけに、ライアンの愛馬(牝馬なので)と相性が悪く喧嘩ばかりしている始末。毎日、騒がしい。

若い娘の召し使いは困ると見舞いに来たヘルミーナにライアンは泣きついたが。素っ気ない。


「あの娘は、武道の達人ですの。何かあるといけませんから、護衛させますわ。」


と、断られたのであった。ありがた迷惑である。


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