43 / 76
(42) お任せください
しおりを挟む
武術を励んで来たんだもん、16年間。お嬢様には、年上の19歳と教えているが実は歳下なの。側仕えは年が下だと甘く見られるという祖父の勧め。
マイコのご先祖様は召喚された勇者の忍者であった。異世界では、忍者というジャンルがマイナーで歓迎されず苦労したとか。
「やっと、子孫で成功して軍の司令官にまでなったのに。戦で破れて再出発なんて。あたしが有名になって家を再興するのよ!」
だから、学校の勉強よりも修行だけを頑張ったのに。今だかって無い難題が降りかかったんだから。
よりによって、お嬢様の婚約者を想ってしまうなんて。忍者としては失格よ。
忘れよう、忘れるのよ。男なんてウジャウジャ~~赤ちゃんから年寄りまで居る。風邪と一緒で簡単に治るから。
仕事に励んでくと決めて何時もより丁寧に家事をするマイコ。だが、やる事は少ない。家事魔法の掛けられている家は、掃除や洗濯などをオール魔法で片付けてしまうからだ。
「魔法って便利なんだけど、する事が無くなっちゃって。マイコ、つまんなーい。」
暇をもて余した少女は、又しても窓から隣の家を観察。あそこは、ライアン王子様のお家。まだ、お仕事でお帰りになってないけど。夕食の時間には来られるわ。早く帰って来ないかなーて。まるで、新妻みたい。うふっー。あー、寂しい。
その時だ、馬が駆けて来るのが見えた。普通はライアンが手綱を操って静かに止まるのに、今日は違った。庭に走り込み前脚(蹄)で隣の家のドアを叩き始めたらではないか。芸達者な犬みたいな馬だ。
ガンガン、ガンガン、ヒヒッーン!
何事かと出て来た従者は、馬の上の主人に驚いて呼ぶ。
「ライアン様、どうされたんですか?」
ライアンは痛みをこらえながら愛馬にしがみついている様子。もはや、意識は朦朧としていた。そこへ、駆け寄る足音。
窓からピョーンで着地。タカタタターー。
「マイコが参上、お助け致します、ご安心下さい!!」
ヒョイとライアンを掴んで馬から卸し肩に担いで家の中へ。細い少女にしては、軽々と運ぶ姿は逞しい。呆気に取られていた従者は慌てて後を追った。
マイコのご先祖様は召喚された勇者の忍者であった。異世界では、忍者というジャンルがマイナーで歓迎されず苦労したとか。
「やっと、子孫で成功して軍の司令官にまでなったのに。戦で破れて再出発なんて。あたしが有名になって家を再興するのよ!」
だから、学校の勉強よりも修行だけを頑張ったのに。今だかって無い難題が降りかかったんだから。
よりによって、お嬢様の婚約者を想ってしまうなんて。忍者としては失格よ。
忘れよう、忘れるのよ。男なんてウジャウジャ~~赤ちゃんから年寄りまで居る。風邪と一緒で簡単に治るから。
仕事に励んでくと決めて何時もより丁寧に家事をするマイコ。だが、やる事は少ない。家事魔法の掛けられている家は、掃除や洗濯などをオール魔法で片付けてしまうからだ。
「魔法って便利なんだけど、する事が無くなっちゃって。マイコ、つまんなーい。」
暇をもて余した少女は、又しても窓から隣の家を観察。あそこは、ライアン王子様のお家。まだ、お仕事でお帰りになってないけど。夕食の時間には来られるわ。早く帰って来ないかなーて。まるで、新妻みたい。うふっー。あー、寂しい。
その時だ、馬が駆けて来るのが見えた。普通はライアンが手綱を操って静かに止まるのに、今日は違った。庭に走り込み前脚(蹄)で隣の家のドアを叩き始めたらではないか。芸達者な犬みたいな馬だ。
ガンガン、ガンガン、ヒヒッーン!
何事かと出て来た従者は、馬の上の主人に驚いて呼ぶ。
「ライアン様、どうされたんですか?」
ライアンは痛みをこらえながら愛馬にしがみついている様子。もはや、意識は朦朧としていた。そこへ、駆け寄る足音。
窓からピョーンで着地。タカタタターー。
「マイコが参上、お助け致します、ご安心下さい!!」
ヒョイとライアンを掴んで馬から卸し肩に担いで家の中へ。細い少女にしては、軽々と運ぶ姿は逞しい。呆気に取られていた従者は慌てて後を追った。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる