(完)仕方ないので後は契約結婚する

川なみな

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(40) その正体

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その夜のヘルミーナの家では、親密な空気の流れる夕食の席。今や見交わす目でライアンとヘルミーナは特別な関係へと踏み込もうとしていた。


「母がヘルミーナ様の下さったお土産に感謝していました。」

「それは、良かったですわ。きゃはっ。」

「今度、僕と一緒に母に結婚の挨拶をしに行きませんか?」

「一緒に?挨拶に?んまー、喜んででちゅう!」


満面に喜びの笑顔のヘルミーナにライアンは勝利を実感した。プロポーズを承諾してくれたのだ。やったー!

と、その時。テーブルの横に沸くように出現した客にヘルミーナは驚いて飛び上がった。


「んにゃー!(お化け)」

「こんばんは、私もご馳走してもらいたいんですが。ヘルミーナ様、ライアン様?」


前菜を口に入れたライアンも驚いて固まっている。それは、当然だろう。やっと、親しさを増して婚約者と見つめ合っていたのだから。

だが、仕事を世話してくれているゴメスだったので致し方ない。ヘルミーナも造り笑顔だ。内心は、「この野郎ーー!」だが。


「こんばんは、ゴメス様。どうぞ、ご一緒に。オ、ホホ(早く帰って)」


完全なお邪魔虫は、厚かましくディナーのフルコースを平らげた。いつ、帰るのだろうか。ヘルミーナとライアンは、そっと眼差しを重ねて笑み合う。

絡む視線に互いに胸をトキメカせて。日毎に近くなる気持ちは通じていた。言葉には出さないが。


「ご馳走さまでした。それで、お嬢様のお帰りは何時ですか?」


ライアンは、戸惑う。この家のお嬢様は1人だけだ。ヘルミーナ令嬢は、ここに居るのに。

ヘルミーナは、顔面蒼白になる。声が上ずった。


「な、なななにを言ってらっしゃーるのかひらのらー。オーホホホ。」

「マイコ、俺が君に魔法を教えたんだぞ。どんな姿でも分かるよ、」


ヘルミーナの侍女マイコ、絶体絶命。どうする?

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