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(41) 想う気持ち
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そして、招待されていたセプテム王家の晩餐会の夜がやって来た。沈んだ表情のヘルミーナを心配しながら、ライアンは同じ馬車に乗る。
「・・・・・」「・・・・・」
マイコが身代わりだと知れた時から距離を置くようになった2人に会話は無い。馬車の中でも、重い空気が漂うだけだ。
晩餐会には、王様夫妻と王子や王女達が伴侶や婚約者を連れて集まっている。そこでは、ヘルミーナは完全に部外者であった。味方する者は無い。
「ヘルミーナ王女様は、また、慈善事業などという事をされてたのかしら。お金の無駄なのに。」
そう、口火を切ったのはライアンの姉王女だ。ヘルミーナは、笑顔で応じる。
「はい、やっております。一緒に、如何ですか?」
王様が不機嫌そうに強い口調で言う。
「そんな物に王家の者がやる事は、許さんぞ。それよりも、軍隊へ資金を注ぎ込むべきだ!」
次にはライアンの兄王子が加わった。
「本来なら、私がドモン国の見合いに参加していたのです。婚約を私に。そして、王女には王家に貢献させよう!」
ライアンは怒った。立ち上がろうとするのをヘルミーナが止める。言いたい者には言わせればいいから。
(私なんて、子供の頃からスキル無しと馬鹿にされてきたのよ。こんな事くらい、平気だわ!)
弟の婚約者を自分の物扱いする王子なんてお断りです!
晩餐会を終えて帰りついた家。疲れはてた部屋は家のドアを開けてくれたライアンに礼を言う。
「ありがとう。じゃ、おやすみなさい。」
「ヘルミーナ様、お詫びします。僕の家族が失礼な言葉を。」
「ライアン様、いいんですのよ。晩餐会に呼ばれた時から分かってましたから。」
「恥ずかしいです。でも、僕は貴女と結婚して守りますから!」
もしかして、これはプロポーズか。ヘルミーナの手を取ってライアンは口付ける。それを、家の中から見ていたマイコは泣き崩れた。
あれから、口もきいてくれないライアンに。せめて、姿だけでもと窓から盗み見していたのだが。余計に傷付いただけだった。
「・・・・・」「・・・・・」
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そう、口火を切ったのはライアンの姉王女だ。ヘルミーナは、笑顔で応じる。
「はい、やっております。一緒に、如何ですか?」
王様が不機嫌そうに強い口調で言う。
「そんな物に王家の者がやる事は、許さんぞ。それよりも、軍隊へ資金を注ぎ込むべきだ!」
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