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(23) 知らないからよ
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近過ぎて見えてないの。近くの人なら知ってるわ。私の魅力を。
「あら、どうされましたか。マルグリート様?」
母屋に足を入れただけなのに。まだ、何も言ってないのに。イトウ子爵家の夫人が仰天した態度。予告なしだから気を使わせたかしら。
マルグリートは、何時もよりも笑顔を造る。
「おはようございます、お義母さま。お話がしたくなって参りました。お邪魔でしたか?(嫌とは言わせないわよ)」
「あわわわー、そんな事は。か、歓迎ですわ。一緒に晩御飯でも(断りますよね)」
「まー、素敵。頂きたいわ!(ダイエット中なのよ)」
「どうぞ、どうぞー(お口に合うかしら)」
姑となった夫人だが、借金を払ってもらった相手ではあるし。夜なのに、「おはようございます」と平気で挨拶する令嬢でもあるし。扱い方が分かりません。
ひきつった笑顔の夫人が令嬢を案内して食堂に入ると、酒を飲んでいた子爵親子が飛び上がるように立ち上がる。
「マルグリートお嬢様!」「侯爵のお嬢様!」
父親と息子で、嫁を「お嬢様」と連呼する複雑な事情。お土産のチャーシューの肉塊をマルグリートは差し出した。
「美味しい物が手に入りましたので、召し上がって頂こうと思ったんです。都で大人気だとか。お邪魔でしたか?(喜んでよ)」
本当はカタログ注文で届いた品物です。ゴメス商会の「人気グルメ魔法配達」のランキング入りしてました。直ぐ売り切れるので入手困難のマーク付き。感謝して!
さすが、苦労人の子爵。そつなく、礼を言う。持ち上げるのも忘れない。
「こんな美味しそうな物を食べれるなんて嬉しいですよ。感謝します。本当なら、私もトーマも都に出稼ぎに行っていたはずですし。マルグリートお嬢様が嫁入りしてくれて良かった。」
「都に出稼ぎですか?」
「ええ、お城に新しい建物を建てるとかで募集してまして。」
「新しい?あれね!」
それって、ピーター王子の後宮を建てる工事じゃないの。王家の未来の為に資金を注ぎ込む気なんだわ。
「あら、どうされましたか。マルグリート様?」
母屋に足を入れただけなのに。まだ、何も言ってないのに。イトウ子爵家の夫人が仰天した態度。予告なしだから気を使わせたかしら。
マルグリートは、何時もよりも笑顔を造る。
「おはようございます、お義母さま。お話がしたくなって参りました。お邪魔でしたか?(嫌とは言わせないわよ)」
「あわわわー、そんな事は。か、歓迎ですわ。一緒に晩御飯でも(断りますよね)」
「まー、素敵。頂きたいわ!(ダイエット中なのよ)」
「どうぞ、どうぞー(お口に合うかしら)」
姑となった夫人だが、借金を払ってもらった相手ではあるし。夜なのに、「おはようございます」と平気で挨拶する令嬢でもあるし。扱い方が分かりません。
ひきつった笑顔の夫人が令嬢を案内して食堂に入ると、酒を飲んでいた子爵親子が飛び上がるように立ち上がる。
「マルグリートお嬢様!」「侯爵のお嬢様!」
父親と息子で、嫁を「お嬢様」と連呼する複雑な事情。お土産のチャーシューの肉塊をマルグリートは差し出した。
「美味しい物が手に入りましたので、召し上がって頂こうと思ったんです。都で大人気だとか。お邪魔でしたか?(喜んでよ)」
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