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(11) 王家の陰謀②
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美しい男は、意味深に笑った。
「私は天使のお手伝いをしている悪夢のアグアニエベと申します。」
マルグリートは、小首を傾げる。今、妙な言葉を聞いたような。
「お前を食べちゃうよは?」
「え、食べちゃうですか?」
「私を狙ってるのよね、嫌らしいったら。」
「いえいえ、誤解です。見境なく襲うほど不自由してありませんから。」
なんだ、つまんないー。マルグリートは、窓から離れて寝台へ潜り込む。残された悪夢という男は追いかけて来て話かけるのだ。ウザイ!
「あのですね、願いを叶えてあげると言ったんですよ。」
「もう、いいわ。明日も講義(妃教育)があるのよ、邪魔!」
「嫌だ、冷たくしないで(虐めて)」
「うるさいっ、兵士を呼ぶわよ!」
「では、強引に。」
「え、ここは?」
一瞬で、誓う空間にマルグリートは横たわでていた。手にしていた柔らかい毛布も、寝台のスプリングも消え失せて。薄暗い部屋の床に。
「夢・・だわ、寝る!」
「夢では、ありません。起きて、大事な物を見ないと。」
意地でも眠るつもりの両目を閉じたマルグリートに、悪魔は飛んで来た何かを掴んだ。
「これ、見たくありませんか。貴女に関係のある事ですよ。見ないと後悔しますよ。ほら、ほらほら?」
頭の上で紙をピラピラと振り動かす。何しろだというの。私がバカ王子と結婚する以外に大事な事なんて無いんだってば。誘惑されるもんか!
悪魔は、勝手に読み始めた。静かな空間なので声が響く。
「では、私が。「(マル秘文書)王家の遺伝子改造計画」。持ち出し禁止、口外禁止、破ったら生涯の禁固刑とするものなり。」
「・・・・・・」
勝手にやってれば。それより気になるのは、この匂い。覚えがあるんだけど、何処でだったかしら。講義で?
「あ、王様の政務室の書庫!」
マルグリートは跳ね起きた。城の中を見学させられた時に見せてもらった王様の仕事部屋。国の重要書類が置かれた書庫に緊張したものだ。書庫の特殊な防虫薬の匂いだった。
何故、そこに連れて来たのかしら。
「ピーター王子の結婚式より開設される王子の後宮には、選ばれた種族の娘達を集める。そして、優れた資質を持った跡継ぎを誕生させなければならない。」
「跡継ぎを誕生って、何よ。おかしくない?あなた、作ってるでしょ!」
そんな馬鹿げた話を誰が信じるの。王家の存続の為に優秀な血を入れる?結婚したマルグリートのでは無くて。
じゃ、私はお飾り王妃になるってわけ?
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マルグリートは、小首を傾げる。今、妙な言葉を聞いたような。
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「・・・・・・」
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「跡継ぎを誕生って、何よ。おかしくない?あなた、作ってるでしょ!」
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