(完)仕方ないので後は契約結婚する

川なみな

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(9) お披露目

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今日は領民に領主の子息の結婚相手をお披露目する事になった(僅かな領民だが)。都から嫁入りした花嫁は館に閉じ籠って出て来ません。皆、興味津々。

形だけでも妻になったマルグリートは皆の視線を集めております。妻となってる義務ですから集まった人達に酒や料理を振る舞うのでした。


「おめでとうございます、若奥さま!」

「美人の奥方が出来て良かった!」

「そうよ、貧乏貴族だから結婚出来ないかと心配してたんだからー。」


(「令嬢側」はい、貧乏貴族に輿入れする予定はナッシングよ。アグアニエベのアホが悪戯しなければ、もう少しマシな相手と結婚できたのに。災難だわー!)


皆様に出している料理の食材はゴメス商会への注文配送。素晴らしい材料ばかりで子爵家も大喜びです。


「おめでとうございます、マルグリート様。」

「ありがとうございます、ハーパー店長。」


祝ってくれるのは、目立っている美男子店長。お客様の祝い席なので出席してます。マルグリートは特別な微笑を彼に返した。私の気持ちを分かってるかしら。

そう、こんな素敵な人と。どうして、この人じゃないのかしら。もっと早く知り合ってたら良かったのに。見てるだけで胸が疼く。何度でも見惚れるわ!


「マルグリート様、ヨダレが。ウフフー。」


水を刺す小悪魔女はヘルミーナ令嬢。マルグリートはジト目で見返す。笑いながらヘルミーナは耳に囁いた。


「ねえ、いいの?旦那様が見てるのに。」


だから、耳を引っ張って囁やき返す。


「私達は契約結婚なの。白い夫婦!(余計なお世話よ)」


ヘルミーナはケタケタと笑う。マジで、ヤバい。酔ってるの、貴女?


「そうだったの、おかしいと思ってたんだから。ねえ、聞いて下さいな。私なんて、契約婚約なのでしてよー。」


婚約しているとは聞いていたけど、君もお仲間だったのね。マルグリートは嬉しくなった。


「ねえ、貴女は王子と婚約破棄したのよね。私、王子と婚約してるけど解消したいんですの。どうやったら、解消出来るのか教えてくださらない?」


やり方は簡単だったけど、こんな風に失敗するわよと言いたかった。貧乏子爵と結婚するはめに。

いいわよ、教えてあげても。あなたも、やってみる?
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