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(7) 変わったお客様②
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訪問者が2人。エイドリアン・ハーパー店長が、お客を連れて来たのだ。母親からの知らせで畑に出ていた父親とトーマが飛んで帰って来る。
相手の都合も気にせずに勝手に来るのが貴族のやり方。息を切らせて戻ったものの見知らぬ若い娘が居るだけだった。娘は丁寧に挨拶する。
「お邪魔しております、旦那様。私は、ヘルミーナ・アンガス伯爵令嬢の侍女をしておりますマイコと申します。お嬢様とハーパー店長は視察に出られました。」
視察とは何だろう?この領地に見る物は無いのに。追いかけて説明する程の材料も無し。ただ、無いづくしになるだけ。父親と息子は顔を見合せて肩を落とした。振り回されている、意味も無く。
その通りに少しの時の後に客は戻って来た。何かを打ち合わせしているようだが。
「こんにちは、勝手に見回らせて頂きました。素晴らしいですね、利用価値が高いそうです。」
ハーパー店長の言葉に父子は戸惑う。これは、冗談か皮肉か。それには構わずにハーパーは連れを紹介した。
「こちらは、私の商会と取り引きしておられるヘルミーナ・アンガス伯爵令嬢です。令嬢が鑑定をして下さいまして、私どもの求めている品の栽培に適していると分かりました。」
ヘルミーナは、にこやかに挨拶をする。金髪の美人であった。歳は17か18といった処か。裕福な貴族の身なりをしていた。
「はい、土地の成分も検査いたしましたが最適です。是非、私どもの土地を貸して頂きたいですわ!」
熱意のこもった態度。いったい、何を作るのだろうか。それは、イトウ子爵家の予想もしない事であった。
今までの生活習慣を変えようとはしない若奥様。今日も遅いお目覚めです。午後になる時間に寝台から出る。鈴を鳴らすと侍女のセシルが使い魔の木人形を連れて現れた。
「おはようございます、お嬢様。朝のお支度を致しましょう。」
セシルはアグアニエベの紹介でマルグリートが侍女にしたのだが、少しだけ魔法が使えるのだ。だから、木人形を操ってマルグリートの湯浴みから着替えまでやらせる。
料理も同じく人では無い者が用意して都と同じ暮らしをする事が出来るのだ。セッティングは悪魔が用意した物ではあるが。
「母屋から知らせが参りました。お客様がお見えのようです。」
「興味ないわー。」
「ハーパー店長が連れて来られたとか。」
「それを早く言いなさい。いいドレスに代えて!」
お嬢様はハーパー店長と面識があった。都に居る時にアグアニエベに連れられて彼の店を訪れていたのだ。何を買ったか?勿論、嫁入り道具である。
マルグリートお嬢様は、ハーパー店長がお気に入り。それまで開いて無かった目をパチリと開けて入念にメークさせました。
ドレス、ヘアスタイル、メーク、スマイルは完璧。さあ、美男子に突撃です!
相手の都合も気にせずに勝手に来るのが貴族のやり方。息を切らせて戻ったものの見知らぬ若い娘が居るだけだった。娘は丁寧に挨拶する。
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その通りに少しの時の後に客は戻って来た。何かを打ち合わせしているようだが。
「こんにちは、勝手に見回らせて頂きました。素晴らしいですね、利用価値が高いそうです。」
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「はい、土地の成分も検査いたしましたが最適です。是非、私どもの土地を貸して頂きたいですわ!」
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