北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。

ヒバリ

文字の大きさ
上 下
247 / 258

250 不協

しおりを挟む

 「…俺としては棟梁に謀っても良いと思うがうまく行くとは限らぬぞ?」

 山犬は感状を丁寧に風月に返すと話し合いを続ける様子を見せた。

 「それはもちろん分かっておる。こちらの求める事と与えられるものを書いた書状はこちらにある。これにも花押はある。お主がしっかりと長に説明してくれることを望むぞ。」

 「返事はどうやって伝えれば良い?」

 「そうだな。那古屋にある伊豆屋を訪ねてくれれば良い。そこで風月の使いだと言えば話が通るようにしておこう。」

 「そう言えば伊豆屋は北条から出てきた商人だったな。そういう事か…。それならばかなりの範囲にお主らの手は伸びておるのだな…、だがやはり関東以外は人が足りぬ上に土地勘も地元のものに比べれば劣る。現地の協力人が欲しいという訳だな。うむ、分かった。他の者達よりも先んじて仕える方が我々の価値も上がるというもの。必ずやり遂げて見せようぞ。」

 こうして風月と山犬は何事も無かったように別れた。それから数週間後、那古屋の伊豆屋を訪れた風月の使いがきたとか。

~~~~~

 「そうか、尾張の現地の忍びを風魔の配下に組み込む事ができたのは僥倖だな。技量の方はどうだ?」

 氏政は小太郎から尾張の進捗を聞いていた。

 「いつものように監視をつけて新たな農地を与えた後は徐々に忠誠心を植え付けていけ。信頼できるものが現れ始めれば産業の中でも重要なものを任せていく。」

 「はっ!」

 このようにして関東の奥の方や、東北、尾張などへ徐々に風魔の手は伸びていっていたのである。

~~~~~

 土田御前

 「信勝。あなたが弾正忠家を引っ張っていかねばあの人が守りたかった尾張が無くなってしまうのですよ。」

 御前にとって愛した人の国がおおうつけに任せられるのはいくらあの人の意思とはいえ耐え難い不安になっていた。それに、どんどんと自分を置き去って成長していく信長よりも、まだまだ真面目で独り立ちのできない信勝が可愛くて堪らなかったのだ。

 「しかし…父上は兄上に従うようにと仰っておりました。皆も私にはついて来ぬでしょう。しっかりと兄上を支えることが肝要では…?」

 信勝としては兄に対して劣等感のようなものを抱いてはいたが、まだ憎むほどでは無かった。

 「あなたこそが次期当主に相応しいのです。大和守殿や伊勢殿もあなたを支持しておるのですよ?どちらの方に義があるか、明白ではございませぬか?」

 「それはっ!」

 「何も心配せずとも良いのです。私があなたを弾正忠家の次期当主にして見せます。」

 土田御前はそれだけ言うと信勝を置いて部屋を出ていった。信勝はその背をただ見送る事しかできなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

夕映え~武田勝頼の妻~

橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。 甲斐の国、天目山。 織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。 そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。 武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。 コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

処理中です...