北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。

ヒバリ

文字の大きさ
上 下
246 / 258

しおりを挟む

 「現在織田信勝につこうとする者は予想よりも少なくございます。やはり、尾張の虎殿が残した遺言が大きいようで静観に徹しておりまする。しかし、大和守家や伊勢家をチラつかせると途端に信勝側に寄ろうとするものが増えまする。その者達は別にまとめておりまするので後ほど確認をお願いいたしまする。」

 「よくわかった。報酬はいつも通り下人から受け取るが良い。また何かあれば追って指示を出す。今は調略を続けよ。」


 「はっ!」

 坂井の魔の手は着々と入り込んでいった。特に信勝にベッタリである土田御前にも…。

~~~~

 坂井の屋敷を辞した忍びはいつもの帰路を使って里まで歩いていた。夜中ということもあり警戒をしつつも少し気を抜いていた。

 「そこのお人、少しお話でも致しませぬか?」

 声が聞こえた瞬間臨戦態勢に切り替えて武器を取り出そうと手を懐に向かわせようとした時にはもう遅かった。首筋に小刀のようなそれにしては小さ過ぎる暗器を当てられ動けなくさせられた。

 「…話すことなど何もない。」

 男としては手練れの同業者相手に生き延びれるとも思わず力を抜きただ死を待っていた。

 「まぁ、そういうな。もし、俺との話が決裂してもお前を殺す気はないし、なにか邪魔だてするつもりもない。ただ話をしたいだけなのだ。」

 「…」

 「私の名は…そうだな、風月とでも呼んでくれ。お主はなんと呼べば良い?名もない案山子でもあるまい。」

 「私のことは山犬とでも呼ぶがいい。で、なんのようなのだ?」

 風月はやっと話を聞く姿勢になった山犬からクナイを離し対面する。風月は風魔で使われている装備一式に身を包んでおり相手からは目元しか見えないようになっている。

 「単刀直入に言おう。山犬よ雇われではなく家臣として働く気はないか?山犬だけではなく里のもの全てを受け入れよう。我々のように働けぬもの達には誰からも誹られる事のない誇れる仕事を与えることができる。全員が毎日たらふくに飯を食えて冬は凍える寒さで誰かが死ぬこともない。働きに見合った加増も行う。どうだ?興味が湧かぬか?」

 「なに!?そんな条件信じられる訳がなかろう…!」

 山犬の中ではそんな場所があるなら是非とも行きたい!という気持ちとそんな上手い話がある訳がない。もしあったとしたら我々の今までの苦しみはどうなるのだ、認めたくない!という気持ちが両立していた。

 「では、これを見るが良い。我々が仕える主人から頂いた感状である。今回はお主らを説得するために用意してもらったものだが筆跡と花押は本物であるぞ。」

 山犬は風月達を刺激しないように丁寧に受け取り中身を閲覧する。そこに書いてあったのは確かに感状であり、花押は…北条!例の関八州の主か!

 「という事は其方達は名高い風魔…という事か…。」

 風月は目元を和らげるだけで言葉にも動作にも表さないがそれだけで伝わった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

夕映え~武田勝頼の妻~

橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。 甲斐の国、天目山。 織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。 そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。 武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。 コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。 武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

処理中です...