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「では、今度は私から、上杉はこちらが砦を建てていることに気づいており警戒を露わにしておりまする。その上で詰問文等が形式上送られてきておりまするが丁重にご返事しています。武田は特にこちらに関しては探りを入れてきてはいない様です。勿論、砦を作っている事は木材を輸出していることからもわかってはいる様ですが内部の構造などを手に入れようと忍びを派遣している様子はございませぬ。そちらに関しては風魔小太郎殿の方からも確証を得ておりまする。」
光秀が小太郎に目配せをすると小太郎は頭を下に振る。
「はっ、後から報告させていただくつもりでしたが武田の忍びは此方の必要最低限の情報ばかりを集めて満足している様です。一度深くまで潜った時に粗方殲滅したのが効いているのかと。」
「ならばよい。細かい事は氏政に任せておるゆえ、情報の共有にのみ気をつけろ。」
「はっ!」
氏康自体が風磨の手綱を握っているわけではないので氏政主体となっているが、その分何か問題があれば同時に氏政の責任ともなるという事を言外に示してきたのだ。
「次に私めの所にございまするが、佐竹殿が非常に友好的であり、こちらの技術を受け入れてどんどんと発展して行っております。道具は商人から手に入れ、真似をして試行錯誤しておる様です。また、経済に関してはこちらに依存しきっているかと思われます。他には、蘆名殿とは友誼を続けており、外征する事はまず無いかと考えます。」
関東は大平野一帯を北条が抑えており、周辺国とは友誼を結んでおり東北の連中が手を取り合って全体でこちらに攻めかけることが無ければ単独で撃退できる程になっていた。もし、佐竹や蘆名がこちらを狙ったとしても武田と今川が裏切らなければなんとかなる。
「よし、彼らからの救援要請があればすぐさまに動ける様にしておけ。また、上杉がやってきた時にすぐに軍を動かせる様に。」
「はっ!」
氏康が康虎と目を合わせて頷くと光秀と康虎も目を合わせて頷く。
「次は俺だな!今川とは平穏のままだ。むしろ以前よりも商人たちの行き来が活発になって賑わっているぞ!武田とは食糧や塩などのやり取りが盛んだな!その代金として最近は金よりも木材を幻庵殿や光秀殿の所におろしてもらってるぞ!」
綱成叔父上はにこやかに答えている。氏康も頷いているが、多分あれは幻庵や氏康がちょくちょく気にかけているんだろうな。武蔵相模ならば武田や今川との接点も取りやすい。
「最後に私ですが、先ほど綱成殿が言った通り武田と木材のやり取りをしております。あとは内部の新領地とのやり取りが主になりまするな。」
ここまでで外交関係は終わりとなった。細かい所に関しては報告書が回っているので手元にある資料を元に気になる点を皆が二つ三つ確認して一度休憩を入れることにした。
光秀が小太郎に目配せをすると小太郎は頭を下に振る。
「はっ、後から報告させていただくつもりでしたが武田の忍びは此方の必要最低限の情報ばかりを集めて満足している様です。一度深くまで潜った時に粗方殲滅したのが効いているのかと。」
「ならばよい。細かい事は氏政に任せておるゆえ、情報の共有にのみ気をつけろ。」
「はっ!」
氏康自体が風磨の手綱を握っているわけではないので氏政主体となっているが、その分何か問題があれば同時に氏政の責任ともなるという事を言外に示してきたのだ。
「次に私めの所にございまするが、佐竹殿が非常に友好的であり、こちらの技術を受け入れてどんどんと発展して行っております。道具は商人から手に入れ、真似をして試行錯誤しておる様です。また、経済に関してはこちらに依存しきっているかと思われます。他には、蘆名殿とは友誼を続けており、外征する事はまず無いかと考えます。」
関東は大平野一帯を北条が抑えており、周辺国とは友誼を結んでおり東北の連中が手を取り合って全体でこちらに攻めかけることが無ければ単独で撃退できる程になっていた。もし、佐竹や蘆名がこちらを狙ったとしても武田と今川が裏切らなければなんとかなる。
「よし、彼らからの救援要請があればすぐさまに動ける様にしておけ。また、上杉がやってきた時にすぐに軍を動かせる様に。」
「はっ!」
氏康が康虎と目を合わせて頷くと光秀と康虎も目を合わせて頷く。
「次は俺だな!今川とは平穏のままだ。むしろ以前よりも商人たちの行き来が活発になって賑わっているぞ!武田とは食糧や塩などのやり取りが盛んだな!その代金として最近は金よりも木材を幻庵殿や光秀殿の所におろしてもらってるぞ!」
綱成叔父上はにこやかに答えている。氏康も頷いているが、多分あれは幻庵や氏康がちょくちょく気にかけているんだろうな。武蔵相模ならば武田や今川との接点も取りやすい。
「最後に私ですが、先ほど綱成殿が言った通り武田と木材のやり取りをしております。あとは内部の新領地とのやり取りが主になりまするな。」
ここまでで外交関係は終わりとなった。細かい所に関しては報告書が回っているので手元にある資料を元に気になる点を皆が二つ三つ確認して一度休憩を入れることにした。
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