北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。

ヒバリ

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 俺の周りの面々が頭を上げるのを横目に三好筑前守長慶を改めてじっと見つめる。長慶は口元を緩め、人当たりの良い顔をしているがその目は激っており英傑とはこの様なものなのかと感心させられた。

 「そのようにじっと見つめられると我でも照れてしまうぞ。なにかワシの顔にありますかな?」

 「いえ、申し訳ございませぬ。これが今の日の本を治める事になる副王様かと思うと目に焼き付けて置かねばならぬと思いまして。」

 「ほう、貴殿は将軍よりも私が上だと言ってるように聞こえますが、不敬ではございませぬかな?」

 「さてはて、権威にだけ縋りつき駄々をこねるだけの名ばかりの存在と実際に力を持って畿内の安寧を一時的にとはいえ維持しているお方、どちらが上でございましょうか?」

 こちらの面々は特に驚くこともないが、彼方の方々は俺の物言いに驚いたのか少し衣擦れの音がする。そのような状況の中三好長慶はクックックっと笑っていた。

 「なるほど、やはり、其方は噂で聞いた通り面白い人のようだ。いや、八幡の御使いであるから人ではないのかな?」

 「私は私にございまする。他人がどのように思おうともわたしには関係ありませぬな。」

 「ふむ、貴殿は私よりもはるかに多くの物事が見えてそうだな。端的に聞こう。其方は何を望む?」

 日本の英傑たる三好長慶が俺をじっと見つめる。
 
 「我が軍の滞在許可と貴殿の港への入港許可を。」

 「なるほど、軍の滞在は許可しよう。しかし、全員がいきなりというのは遠慮して頂こう。しかし、我が領地への入港許可か。」

 「はっ、堺を治めていらっしゃれば分かる通り我が船は大量の俵物や北の特産品、我が領地の特産品なども持ち込みます、それらが直接領地に運び込まれるとすれば下手な関税が掛からずにより安く手に入れていただけるかと。」

 北条のように領民たちに振る舞うことはほぼないであろうが、三好家としては使い道は山ほどある。朝廷への貢物や他家との外交、褒美として家臣に下賜しても良い。

 「いいだろう。但し最初のうちは入れる港の場所や取引の際の人員などは制限させてもらう。」

 「わかりました。」

 「さて、建前の交渉はもう良いぞ。そちらは無能に手を貸し我々と敵対するのか?それとも他の道を選ぶのか?」

 三好長慶が一回りも二回りも大きくなったように感じる。一気に圧が増したのだ。

 「我々は三好家と敵対するつもりはございません。将軍家と手を組む気もありません。そもそも、関東と畿内の距離を考えたらこちらに手出しできる訳もないです。」

 無言の時間が続く。

 「その言、信じようではないか。其方は幕府に呼び出される前に朝廷へと向かうつもりであったな。繋ぎはどうするのだ?こちらから用意してやろうか。」

 三好の傘下として話を通してやろうかと言うことだな。

 「いえ、我々は既に近衛様と縁を結んでおりますれば。」

 「そうか。ならば最後にもう一度聞こう。貴殿は何を望む。そして、何かあるのならばワシに助言の一つでも頼もうではないか。八幡の御使よ。」

 
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