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「どういう事だ?」
帝がこの場に出てきて初めて口を開いた。
「はっ、足利という家は自分達以外の大大名を許せぬ家なのです。彼らは他者の力を借りなければ自分達の権威を保てないことを理解していながらも自分達以外の大きな力を持つものを許せないのです。ですから、三好とは和睦できませぬ。今は戦国時代でございますれば、身分などには拘っているわけにはいきませぬ。しかし、幕府などの旧態依然とした彼らは成り上がり者を強く嫌いまする。それも相まって畿内では戦が耐えぬのです。」
皆が沈黙していた。言われてみれば思い当たる節はいくつか存在していたのだ。自分達公家の中にも武家を見下す心は存在していた。血や穢れなどをものともしない彼らは公家にとって忌むべき存在であった。
「では、北条に名目を授ければこの畿内での戦はなくなると?そう思うのか?」
「いえ、きっとまだまだ先のこととなりましょう。しかし、北条が大義名分を得ることができますれば少なくとも関東の民が不幸にさらされることは無くなりましょう。また、北条を通じて彼らからの貢物も得られましょう。」
帝は北条に官位を与える事に対してはなんの憚りもなかったが、畿内の有力者(権威的)である足利を敵に回すほどの価値が有るのかを測っていた。現将軍の足利義輝は朝廷を軽んじている。その点では安心できる要素もあるかもしれない。
「具体的にはどうするおつもりでおじゃるか?親王任国である上総国と上野国は任せられぬぞ?」
他の公家が声を上げる。
「それに関しましては、親王を新たに選び、そこから代官として北条に任せて頂きたいとのことです。北条が治めながら税収として必要な分を納めるとのことにございまする。」
「なんと…!親王が出向くと言うことではないのか?」
「いえ、勿論任国へと赴いて頂いても大丈夫でしょう。きっと北条が命をかけても守ってくれる筈です。しかし、京に居たいと言うならばそれでもいいとの事です。」
公家達がうぅむと唸りながら考えを巡らせている。朝廷、帝や皇族なども例に漏れず貧しい生活を強いられており、御子でも寺に入れられたり貧しい生活を強いられている方々は多かった。その受け皿ができるのであれば受け入れてもいいのではと言う空気が一気に広がった。
「その上でほかの安房守 武蔵守 下総守 下野守を任せればきっとその任を果たしてくれることでしょう。そして、北条の治世による名声はその後ろ盾となる我々の名声ともなります。」
帝は、これをうまく利用できないかと考えていた。北条こそが真の国守である。彼らを参考にしてよくよく考えて自分のするべきことを実行するのだと各国守へと書状を出す。それによって少しでも北条の様に朕の子らを守りたいと考えていた。
「よろしいのではないでしょうか?我々に不利な点といえば足利との関係ですが、実権を握っているのは三好にございまする。気をつけるべきではありますがそこまで神経質になることもないかと。」
皆んなが意見を言い合い帝がそれを黙して聞いていた。粗方の意見が出た後に帝が口を開いた。
帝がこの場に出てきて初めて口を開いた。
「はっ、足利という家は自分達以外の大大名を許せぬ家なのです。彼らは他者の力を借りなければ自分達の権威を保てないことを理解していながらも自分達以外の大きな力を持つものを許せないのです。ですから、三好とは和睦できませぬ。今は戦国時代でございますれば、身分などには拘っているわけにはいきませぬ。しかし、幕府などの旧態依然とした彼らは成り上がり者を強く嫌いまする。それも相まって畿内では戦が耐えぬのです。」
皆が沈黙していた。言われてみれば思い当たる節はいくつか存在していたのだ。自分達公家の中にも武家を見下す心は存在していた。血や穢れなどをものともしない彼らは公家にとって忌むべき存在であった。
「では、北条に名目を授ければこの畿内での戦はなくなると?そう思うのか?」
「いえ、きっとまだまだ先のこととなりましょう。しかし、北条が大義名分を得ることができますれば少なくとも関東の民が不幸にさらされることは無くなりましょう。また、北条を通じて彼らからの貢物も得られましょう。」
帝は北条に官位を与える事に対してはなんの憚りもなかったが、畿内の有力者(権威的)である足利を敵に回すほどの価値が有るのかを測っていた。現将軍の足利義輝は朝廷を軽んじている。その点では安心できる要素もあるかもしれない。
「具体的にはどうするおつもりでおじゃるか?親王任国である上総国と上野国は任せられぬぞ?」
他の公家が声を上げる。
「それに関しましては、親王を新たに選び、そこから代官として北条に任せて頂きたいとのことです。北条が治めながら税収として必要な分を納めるとのことにございまする。」
「なんと…!親王が出向くと言うことではないのか?」
「いえ、勿論任国へと赴いて頂いても大丈夫でしょう。きっと北条が命をかけても守ってくれる筈です。しかし、京に居たいと言うならばそれでもいいとの事です。」
公家達がうぅむと唸りながら考えを巡らせている。朝廷、帝や皇族なども例に漏れず貧しい生活を強いられており、御子でも寺に入れられたり貧しい生活を強いられている方々は多かった。その受け皿ができるのであれば受け入れてもいいのではと言う空気が一気に広がった。
「その上でほかの安房守 武蔵守 下総守 下野守を任せればきっとその任を果たしてくれることでしょう。そして、北条の治世による名声はその後ろ盾となる我々の名声ともなります。」
帝は、これをうまく利用できないかと考えていた。北条こそが真の国守である。彼らを参考にしてよくよく考えて自分のするべきことを実行するのだと各国守へと書状を出す。それによって少しでも北条の様に朕の子らを守りたいと考えていた。
「よろしいのではないでしょうか?我々に不利な点といえば足利との関係ですが、実権を握っているのは三好にございまする。気をつけるべきではありますがそこまで神経質になることもないかと。」
皆んなが意見を言い合い帝がそれを黙して聞いていた。粗方の意見が出た後に帝が口を開いた。
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