北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。

ヒバリ

文字の大きさ
上 下
214 / 258

217

しおりを挟む
京都 近衛邸

 京都にある公家たちの家は控えめにいってもボロボロでガタが来ているものが多かった。この時代の公家は昔の時代に比べて金銭的収入が低かったのだ。これは、戦国時代になり戦乱の世が当たり前になったため、特に武士が前面に出てきて文化よりも闘いというのが大事になったからだと考えられる。

 朝廷もその煽りを受けており帝も儀式が行えないなどだいぶ寂しい事となっていた。その中でも近衛邸はまだマシな方であった。というのも北条との縁により朝廷への貢物に合わせて贈り物が渡されたり風魔が経営している商会を通じて館の修繕や改築を格安で行っていたからであった。
 
 「隙間風が吹かなくなり、暖かい布団や着物、調度品まである。北条との縁がなければこのような生活はできなかったでおじゃろう。」

 前久は北条からの手紙を読むために自室に篭っていた。自室では妻も居らず一息つける空間となっていた為ふと、言葉を漏らしてしまっていたのだ。

 「さてはて、どのような内容でおじゃろうかな。」

 今年の初めから年末には上洛し帝に拝謁したいという意志を表明していたためその事についての連絡だと思いながら読んでいく。読み進めるうちに眉を顰めながらううむと唸ってしまっていた。

 「たしかに現在の幕府との軋轢は生まれるべきではないの。そして、北条は三好と敵対するつもりも足利に敵対するつもりもない。だが、幕府に叛くつもりもない為、朝廷へと参内してから幕府へと向かいたいか…。」

 前久は朝廷が北条の後ろ盾になるには距離が遠すぎると感じていた。上杉もそうだがこれからの世を任せられそうなものたちはなぜ京から遠いのだろうか。そんな気持ちを持ちつつ、2枚目の文を読み始めると驚き手が震えていた。

 「朝廷から関東諸国の官位を貰うことで幕府の傘下に入らず朝廷へと直接献金や上納を行いたい…か。これは幕府には従わないという意思表示じゃろうて。北条は足利なぞ毛程にも気にしておらぬのじゃろう。」

 前久は幕府を信頼なぞ全くしていなかった。現在京都を抑えているのは三好であり、足利は力も持たず朝廷を支えようともしていない。ただ利用して幕府の権威を上げる事にしか興味を持っていない奴らなど頼りにするはずがないと思っていた。実際に義輝に将軍が変わってからその風潮は強くなった。義輝本人は幕府の力や権勢を取り戻そうと躍起になっており朝廷なぞ二の次どころか、干渉しようとすらしないのだ。

 「たしかに、親王国を任せるという名目があれば皇子たちを寺などに入れずに済むのでおじゃるか…。そして、実効支配統治は北条が行い、そこから金子や特産品などを代官として上納すると。悪くない、いや寧ろ大きな財政の助けになるでおじゃる…!すぐに帝にお知らせせねばならぬ!」

 前久は先触れを出して帝に謁見するための場を整え、朝廷へと向かっていった。これからの朝廷の立ち回り方や北条 幕府との関係性を相談するためであった。参内すると帝の前へと向かい、すぐに手紙の件について伝えた。

 「つまり、北条は足利の代わりに朝廷を支える。その為に関東諸国の官位を寄越せと言ってきているのか?」

 その場にいた九条が横槍を入れるように嫌味を言う。

 「有体にいえばそうですが、別に官位を渡さずとも北条は今まで通り朝廷を支えてくれる事でしょう。しかし、足利は、幕府はそれを阻止しようとしています。足利以外の勢力が伸びることを許せぬのです。」

 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

生残の秀吉

Dr. CUTE
歴史・時代
秀吉が本能寺の変の知らせを受ける。秀吉は身の危険を感じ、急ぎ光秀を討つことを決意する。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

佐々木小次郎と名乗った男は四度死んだふりをした

迷熊井 泥(Make my day)
歴史・時代
巌流島で武蔵と戦ったあの佐々木小次郎は剣聖伊藤一刀斎に剣を学び、徳川家のため幕府を脅かす海賊を粛清し、たった一人で島津と戦い、豊臣秀頼の捜索に人生を捧げた公儀隠密だった。孤独に生きた宮本武蔵を理解し最も慕ったのもじつはこの佐々木小次郎を名乗った男だった。任務のために巌流島での決闘を演じ通算四度も死んだふりをした実在した超人剣士の物語である。

処理中です...