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「それならば、我々としてはまず米を積めるだけ積んで向かえば良さそうだな。最悪途中までしか迎えずとも米ならばどこの大名とも取引できるだろう。」
そう提案するのは直勝だ。実質的采配は他のものに任せるようだが蝦夷との航路探索の総指揮をとってくれるようだ。
「はい、それに加えてですが風魔殿にの配下達を各地で潜り込ませることができればと。可能ならばそこに金と米を任せた商人を下ろして店を構えさせたいと考えています。いかがでしょうか?」
次郎法師が自分の考えを述べる。少し緊張しているのが伝わってきた。幸隆や義堯の反応を伺ってみると特に反対意見はないようだ。直勝はどうだ?チラッと見ると目があった。
「…私としては特に問題はないです。一応船員達の水や食料は必要になりますが、それ以外の積荷は任せられます。」
その言葉と共に皆が最後に俺に意見を求めようとこちらを向く。俺は堂々と答えた。
「うむ、ならばその案で行こう、風魔達とはしっかりと話をつけておくように。後で計画書にして俺にもってこい。」
次郎法師は満面の笑みではっと言ってこちらに頭を下げた。自分の提案が通って嬉しいのだろう。隣の源太郎と秀吉 正信達と喜び合ってる。
「では、具体的にはどのような航路を予定するかを話させて頂きます。安房の銚子に港があるのでそこを出発場所とします。あそこは広く大きい港がありますし問題ないかと。経路ですが佐竹 伊達 葛西 南部と考えています。そこから行けそうならば蠣崎です。そこで行けるにしろ行けないにしろ一旦帰投させ情報の整理をします。いかがでしょうか?」
次郎法師が一気に言い切った。直勝は反対がないのかジッとしていた。ここは俺が言うべきかなと思っていると次郎法師の後ろに控えていた正信が声を上げた。
「北条家が所有するガレオン船は通常の船よりも巨大で港も選びます。各地を回るのはいいのですが港の選定などはできているのでしょうか?」
「はい、そこで提案なのですが安宅船を補給船として同行させるのはいかがでしょうか?安宅ならば整備されてない普通の港でも入れますし通常の荷物とも区別できてやりやすいかと。」
「直勝どうだ?」
俺としては問題がないように思えたのでそのまま直勝に振ってみる。
「船足を揃える必要はございますが特に問題はないと思われます。むしろこちらの方が小回りが効いてよろしいかと。」
「よし、ではその案を採用しよう。改めて船の編成をまとめておいてくれ。」
「はっ!」
「よし、ではとりあえず解散しようか。直勝だけは残ってくれ、少し話したいことがある。」
皆が俺の指示に従って部屋を出ていく。幸隆と義堯は部屋の外に控え、小姓達は先ほどの話し合いをまとめるために別室に移動していく。問題がなくなったのを確認してから口を開く。
「さて、話したいことに関してなのだが年末に向けて3~5隻ガレオンと共周りを用意できないか?できれば京まで直接向かいたいのだ。」
直勝が目を開き少しみじろぎする。しかし、そこは流石と言うべきかすぐに声を上げるようなことをせず一息吐くとこちらを見つめ言葉を述べる。
「…殿、それは不味いのではないのでしょうか。氏康様からの許可はあるので?」
「大丈夫だ。大評定でも話されるとは思うが朝廷に直接お礼を申し上げて今の支配下の国に関しての話し合いをしに行く。適任なのは俺しかいないことはわかるだろう?用意だけは先にしておいて欲しいのだ。父との話し合いは俺が必ず成功させる。頼む。」
直勝は少し逡巡した後、ゆっくり、コクリと頷きこちらをみる。
「すまない、今まで海軍を任せきりにしていきなりああしろ、こうしろと大変だろうが…」
「はっはっはっ、今更でしょうに。殿は見ていてあきませぬ。楽しいのですからお気になされるな。」
そう提案するのは直勝だ。実質的采配は他のものに任せるようだが蝦夷との航路探索の総指揮をとってくれるようだ。
「はい、それに加えてですが風魔殿にの配下達を各地で潜り込ませることができればと。可能ならばそこに金と米を任せた商人を下ろして店を構えさせたいと考えています。いかがでしょうか?」
次郎法師が自分の考えを述べる。少し緊張しているのが伝わってきた。幸隆や義堯の反応を伺ってみると特に反対意見はないようだ。直勝はどうだ?チラッと見ると目があった。
「…私としては特に問題はないです。一応船員達の水や食料は必要になりますが、それ以外の積荷は任せられます。」
その言葉と共に皆が最後に俺に意見を求めようとこちらを向く。俺は堂々と答えた。
「うむ、ならばその案で行こう、風魔達とはしっかりと話をつけておくように。後で計画書にして俺にもってこい。」
次郎法師は満面の笑みではっと言ってこちらに頭を下げた。自分の提案が通って嬉しいのだろう。隣の源太郎と秀吉 正信達と喜び合ってる。
「では、具体的にはどのような航路を予定するかを話させて頂きます。安房の銚子に港があるのでそこを出発場所とします。あそこは広く大きい港がありますし問題ないかと。経路ですが佐竹 伊達 葛西 南部と考えています。そこから行けそうならば蠣崎です。そこで行けるにしろ行けないにしろ一旦帰投させ情報の整理をします。いかがでしょうか?」
次郎法師が一気に言い切った。直勝は反対がないのかジッとしていた。ここは俺が言うべきかなと思っていると次郎法師の後ろに控えていた正信が声を上げた。
「北条家が所有するガレオン船は通常の船よりも巨大で港も選びます。各地を回るのはいいのですが港の選定などはできているのでしょうか?」
「はい、そこで提案なのですが安宅船を補給船として同行させるのはいかがでしょうか?安宅ならば整備されてない普通の港でも入れますし通常の荷物とも区別できてやりやすいかと。」
「直勝どうだ?」
俺としては問題がないように思えたのでそのまま直勝に振ってみる。
「船足を揃える必要はございますが特に問題はないと思われます。むしろこちらの方が小回りが効いてよろしいかと。」
「よし、ではその案を採用しよう。改めて船の編成をまとめておいてくれ。」
「はっ!」
「よし、ではとりあえず解散しようか。直勝だけは残ってくれ、少し話したいことがある。」
皆が俺の指示に従って部屋を出ていく。幸隆と義堯は部屋の外に控え、小姓達は先ほどの話し合いをまとめるために別室に移動していく。問題がなくなったのを確認してから口を開く。
「さて、話したいことに関してなのだが年末に向けて3~5隻ガレオンと共周りを用意できないか?できれば京まで直接向かいたいのだ。」
直勝が目を開き少しみじろぎする。しかし、そこは流石と言うべきかすぐに声を上げるようなことをせず一息吐くとこちらを見つめ言葉を述べる。
「…殿、それは不味いのではないのでしょうか。氏康様からの許可はあるので?」
「大丈夫だ。大評定でも話されるとは思うが朝廷に直接お礼を申し上げて今の支配下の国に関しての話し合いをしに行く。適任なのは俺しかいないことはわかるだろう?用意だけは先にしておいて欲しいのだ。父との話し合いは俺が必ず成功させる。頼む。」
直勝は少し逡巡した後、ゆっくり、コクリと頷きこちらをみる。
「すまない、今まで海軍を任せきりにしていきなりああしろ、こうしろと大変だろうが…」
「はっはっはっ、今更でしょうに。殿は見ていてあきませぬ。楽しいのですからお気になされるな。」
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