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「それもそうだな。詳しい割り振りは後で考えるとして大まかには武田とその他の国で武田の割合を微調整していく形としよう。」
皆が頷くのを見て俺もこの議題を終わらせる。
「では、最後に外交となりますがこちらは我々で考えてよろしいのでしょうか…?流石に私達が考えるのは僭越と言いますか…」
源太郎の歯切れが悪くなる。周りの奴らもそのようになっていた。他国との関係は先ほども言及されたが難しいものなのだ。その分責任も大きい。
「そのようなものは気にしないで良い。俺がこうしたい、ああしたいと言うの、その都度改善案があれば出してくれ。好きなようにやると良い。」
秀吉や次郎法師はやる気満々に、正信や源太郎は目をキラリとさせながらそれぞれにやる気を入れ直したようだ。
「はっ、ではまず我々を取り巻く外交環境について纏めさせていただきます。現在北条家が持つ関係は今川 武田との三国同盟 織田 蘆名 上杉との友好関係 佐竹とは中立の関係です。まずは、武田に関することですが、先ほども述べた通り経済関係を強化する、しかし依存し過ぎないように持ちつ持たれつを維持するという草案になっております。」
幻庵達が纏めてきてくれた草案を読み上げてくれる。
「今川に関してですが、今川のこちらに対する依存は言うまでもないため、このまま放置するとの事です。今川に関しては西に目を向けているようなので彼らが織田 斉藤 六角とぶつかる事は目に見えています。それに合わせて商人や風魔を潜り込ませていくことを考えているようです。」
「それに関しては気にしないでいい。風魔は三河と尾張に人を重点的に入れるようにしている。その範囲を広げて美濃まで手を入れるようにしよう。小太郎、手は足りるか?」
この場にいない小太郎に声をかける俺を不思議そうにみる小姓達だが、周りの大人達は勝手知ったる感じで振る舞っていると部屋の隅から音もなく現れた。
「はっ、関東に回していた配下達を減らす事が出来ておりますので余った人員を向かわせようと思います。それに、ここ最近になって殿の孤児保護育成政策が身を結び人員が大幅に増えております。」
「そうか、無理をさせてしまうだろうが頼む。」
「風魔に関して聞きたい事があるのだが、領内の寺などはどうなっている?」
「ほぼ全ての寺や神社は武力を放棄しこちらに従順になっております。農民達も必要以上に信仰する事はなく適度な距離感を保っているようです。」
小姓達にとっては初耳だった為齧り付くように報告を聞いていた。その中でも正信は顔を顰めていたが三河では一向宗が強かった為寺が兵力を持たないことに違和感でも抱いているのだろうか。ここはしっかりと説明しておかないとな。
「そう驚くことでもない。世が乱れずに平和であれば彼らは宗教に盲信する必要がなくなるのだ。そもそも宗教とは人の拠り所となる存在であり武力を持って世を変える事なぞ目指してはおらぬのだから。だからこそ我々武家は彼らを保護し守って行かなければならない。寺や宗教が武力を持たなくてもいいように我らがその役割を担うのだ。勿論、彼らの言いなりになるのとは違うぞ。」
「「「はっ」」」
この言葉は嘘ではない。この時代宗教に依存している事が普通なのだ。それほどまでに仏教は日本に浸透している、しかし、現在の宗教家達は大なり小なり私利私欲のために働き世を見出してばかりだ、一向一揆などがいい例だろう。宗教から武力と経済力を廃し、民の生活を豊かにする事が依存度を下げることに繋がると俺は信じている。
まあ、近畿に残り跋扈している糞生臭坊主どもは信長に任せるとでもしよう。六角も結構しばいてくれていた筈だし大丈夫だろう。俺は八幡様の御使いだからな、そんな酷い事はできないさ。はっはっはっ。
皆が頷くのを見て俺もこの議題を終わらせる。
「では、最後に外交となりますがこちらは我々で考えてよろしいのでしょうか…?流石に私達が考えるのは僭越と言いますか…」
源太郎の歯切れが悪くなる。周りの奴らもそのようになっていた。他国との関係は先ほども言及されたが難しいものなのだ。その分責任も大きい。
「そのようなものは気にしないで良い。俺がこうしたい、ああしたいと言うの、その都度改善案があれば出してくれ。好きなようにやると良い。」
秀吉や次郎法師はやる気満々に、正信や源太郎は目をキラリとさせながらそれぞれにやる気を入れ直したようだ。
「はっ、ではまず我々を取り巻く外交環境について纏めさせていただきます。現在北条家が持つ関係は今川 武田との三国同盟 織田 蘆名 上杉との友好関係 佐竹とは中立の関係です。まずは、武田に関することですが、先ほども述べた通り経済関係を強化する、しかし依存し過ぎないように持ちつ持たれつを維持するという草案になっております。」
幻庵達が纏めてきてくれた草案を読み上げてくれる。
「今川に関してですが、今川のこちらに対する依存は言うまでもないため、このまま放置するとの事です。今川に関しては西に目を向けているようなので彼らが織田 斉藤 六角とぶつかる事は目に見えています。それに合わせて商人や風魔を潜り込ませていくことを考えているようです。」
「それに関しては気にしないでいい。風魔は三河と尾張に人を重点的に入れるようにしている。その範囲を広げて美濃まで手を入れるようにしよう。小太郎、手は足りるか?」
この場にいない小太郎に声をかける俺を不思議そうにみる小姓達だが、周りの大人達は勝手知ったる感じで振る舞っていると部屋の隅から音もなく現れた。
「はっ、関東に回していた配下達を減らす事が出来ておりますので余った人員を向かわせようと思います。それに、ここ最近になって殿の孤児保護育成政策が身を結び人員が大幅に増えております。」
「そうか、無理をさせてしまうだろうが頼む。」
「風魔に関して聞きたい事があるのだが、領内の寺などはどうなっている?」
「ほぼ全ての寺や神社は武力を放棄しこちらに従順になっております。農民達も必要以上に信仰する事はなく適度な距離感を保っているようです。」
小姓達にとっては初耳だった為齧り付くように報告を聞いていた。その中でも正信は顔を顰めていたが三河では一向宗が強かった為寺が兵力を持たないことに違和感でも抱いているのだろうか。ここはしっかりと説明しておかないとな。
「そう驚くことでもない。世が乱れずに平和であれば彼らは宗教に盲信する必要がなくなるのだ。そもそも宗教とは人の拠り所となる存在であり武力を持って世を変える事なぞ目指してはおらぬのだから。だからこそ我々武家は彼らを保護し守って行かなければならない。寺や宗教が武力を持たなくてもいいように我らがその役割を担うのだ。勿論、彼らの言いなりになるのとは違うぞ。」
「「「はっ」」」
この言葉は嘘ではない。この時代宗教に依存している事が普通なのだ。それほどまでに仏教は日本に浸透している、しかし、現在の宗教家達は大なり小なり私利私欲のために働き世を見出してばかりだ、一向一揆などがいい例だろう。宗教から武力と経済力を廃し、民の生活を豊かにする事が依存度を下げることに繋がると俺は信じている。
まあ、近畿に残り跋扈している糞生臭坊主どもは信長に任せるとでもしよう。六角も結構しばいてくれていた筈だし大丈夫だろう。俺は八幡様の御使いだからな、そんな酷い事はできないさ。はっはっはっ。
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