185 / 258
187
しおりを挟む氏政は年始の大評定までに全体の計画書のチェックに追われていた。康虎や直勝 幻庵はさすがと言うべきかあらかた綺麗な草案書が出来ていた。そしてそれぞれの連携や予定が重ならないように邪魔にならないように調整する中間管理職が氏政に回ってきていた。
「めんどくさすぎる…全ての所に俺が関わっているから仕方がないのだがやり過ぎたかな。」
だが、やりすぎなければもっと酷い状態だったかもしれない。上野と下野はまだまだ服従しきっていなかっただろうし北条を関東の支配者と心の底から従うことは無かった。武力を見せ内政力を見せる必要があった。
「殿、そのような事をおっしゃる暇が有れば少しでも作業を進めましょう。微力ながら我らもお付き合い致しますので。」
今俺は自分の作業部屋で小姓やそば付き達、正信 次郎法師 秀吉 源太郎 それと見守り役のような形で幸隆と義堯と共に作業をしていた。
「だな。まずは軍から行くか。」
正信に目線をやると彼は頷いて読み上げ始めた。
「康虎様は現在相模 房総の軍で警備や正規軍を賄っている現状を撤廃するために上野国 下野国に軍学校で教育を開始、また武蔵にある軍学校から人員を補充し北関東方面の軍を任せるつもりのようです。」
「まあ、今は占領してやっと軍を徴兵出来るほどに落ち着いて来たばかりだからな。ここからだろう。何か問題や調整が必要なことはあるか?」
見渡しながら聞くと次郎法師が手を上げているので発言を許可した。
「では、現在内政を行なっている関係で労働力として次男以降の男手などを徴用しています。軍に回すと一時的にですが労働力の低下が見込まれます。」
「ならば、常陸方面の流れ者を使えばいかがでしょうか!常陸に対して動くためにあちらに出かけていましたが人が溢れて職が足りないようです。そのために軍に入るものも多く発展もしていますが。」
秀吉がそれに合わせて手を上げながら楽しそうに発言する。発言を許可してないことに対して源太郎は少しムッとしていたが秀吉だからと苦笑していた。彼にはなにか魅力が溢れているのだ。
「なるほどな、房総の軍を戻す予定だからそれに合わせて彼らを上野 下野に呼び寄せるとしよう。まずはお触れを出さなければな。源太郎描いておいてくれ。」
「はっ、付け加えますと少しずつですが甲斐からやってきている人員もいますがそちらはどうしますか?」
源太郎が書きながらこちらを見て訪ねてくる。
「甲斐から来たものたちは痩せ細っていて体力もない、最近になって飢えずに済んでいるようだがまだまだ食料が足りていないのだろう。そのようなものたちに長距離移動は厳しい。彼らは保護対象だ、労って忠誠心を植え付けることが肝要だと思う。」
「わかりました。そのように伝えておきます。」
周りを見ると特に意見はないようなので軽く頷き源太郎に合図する。
「軍の内訳や割り振りは最後に纏めるとしましょう。次は海についてです。直勝様は現在北条水軍の艦船 伊豆型(ガレオン)を現在10隻 安宅型を30隻 関型80隻 小早150隻を配備しております。今はこの数を集中運用する事でどこにも負けないでしょうが東に西に軍を派遣したいのでこの倍を軍として配備したいそうです。また、それとは別に防衛用にその半分を手元に残しておきたいと。」
周りのものたちは北条海軍の全容を知らなかったのであろうだいぶ驚いており表情に出ていた。ガレオンは現在武装していない商船用のものが15隻ほど存在しておりどれも北条傘下の商人に任せている。指揮官は北条軍のものがやっているので離反して持っていかれることはない。
「現在造船中、進水待ちのものはどうなっている?」
源太郎が別の資料を開く。その隣で秀吉がチラチラと気になるのか横から覗こうとしていたので源太郎は少し横に体を寄せながら共に見るようだ。微笑ましくて少し笑ってしまいそうになった。
0
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
夕映え~武田勝頼の妻~
橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。
甲斐の国、天目山。
織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。
そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。
武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。
コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる