182 / 258
184
しおりを挟む「直勝は日に焼けたなあ。久々すぎて誰かわからなかったぞ?」
氏政は隣に座る直勝の肩を叩きながら話しかけた。周りのメンバーも気心の知れた連中ばかりなので近況を話しながら時間を潰し始めていた。
「若殿も昔に比べて大きくなられて感無量にございまするぞ。」
「そうだな…昔から直勝には助けてもらっていた。今も手が回らない水軍関係を直勝には任せてしまっている状態だからな。助かっている。」
「そう思われるのでしたらもう少し無茶振りを減らしてもらってもよろしいでしょうか?」
氏政が神妙そうな顔をしながら感謝の言葉を投げているが口元が途中でピクピクしているのに気づいた直勝は白々しいといった表情で苦言を呈する。
「はっはっはっ、来年再来年は我も海に力を入れるつもりだから許してくれ。陸の方は今年までで大分落ち着かせる事ができた。これ以上は父たちに放り投げても大丈夫だ。」
この言葉を聞いていた近くの綱成や幻庵 康虎はゲンナリしていた。確かに氏政がいなくてもこのまま北条で培ってきたノウハウで他の新しい土地も回せるだろうし大きな計画や砦については氏政達が決めるだろうが、実際には激務が待っているのだ。そこで氏政が担当していた地域がごっそりとこちらに回ってくるとなってくれば来年の忙しさは想像したくもない。となっていた。
「それは有難い事ですが、何をされるつもりで?」
直勝は氏政が単に手伝いに来ただけでは無いことを理解していた。新しい船を開発するのか、どこかに攻め込むのか。はたまた予想もできないことをしてくるのか謎である。
「なに、それは父上が来てから皆の前で話そうぞ。それに、新しいことを始めるにしても直勝の仕事は減るはずだ。港と文官達の滑らかなやりとりができるように整備したりこちらでできることは大体やろう。むしろ任せたいのは実働の方だからな。」
「はっ、私としては有難いですが。」
ガラッと音がして氏康が入ってきたことで皆が話をやめ姿勢を正した。
「はぁ、疲れたわ。茶をくれ。それと皆のものも楽にせい。ここでは本心で話し合う場所じゃ、堅苦しいのは後で良い。」
氏康が片足を上げて胡座をかき楽な体勢で茶をしばき始めた為皆も少し楽にして会話を再開し始めた。
「父上も大変そうですね。」
「誰のせいじゃ、ここ数年で挨拶にくるものが一気に増えた為年末年始がさらに忙しくなった為に今年からは年末の挨拶と新年の挨拶で各家や使者を出す勢力ごとに分けたのだぞ?」
「それは申し訳ないですがまあ、我らの悲願に近づいた証拠だと思って耐えてくだされ。」
ニコニコ顔で返す息子を見て何を言ってもダメだと思ったのだろうか一息はぁといって茶を啜っていた。
「ですが、実際年末と年始で分けるのは大切だと思いますがね。後は、北条家は年末年始より少し早めと遅めにきてもらうとかですかね。これは必要なことなので受け入れてもらえることでしょう。その分、年末年始は近くの直属の城に集まって宴会させればよろしいかと。」
「成程、来年からはそうしてみるか。」
「それと、そろそろ競馬場も整備され普及し始めましたし、世代交代が起きたり血統が分かれてきた為面白いことになっていますが報告は行っていますか?」
「ああ!あれは面白いな。各外国馬と日本の馬毎の家系図を作り新しく生まれた馬達の特色や特性を纏めることで掛け金や利息が変わるのは良くできているな。ちなみに私の推している馬は春風号系列だな。」
春風号とは輸入してきた外国馬同士でできたガタイがよくパワフルな走りをする牡馬の事だ。この馬は各競馬場の重賞を勝ち、その産駒も春風の力を受け継ぐように同じような走りを見せる事で最近巷を賑わせている。
氏政は隣に座る直勝の肩を叩きながら話しかけた。周りのメンバーも気心の知れた連中ばかりなので近況を話しながら時間を潰し始めていた。
「若殿も昔に比べて大きくなられて感無量にございまするぞ。」
「そうだな…昔から直勝には助けてもらっていた。今も手が回らない水軍関係を直勝には任せてしまっている状態だからな。助かっている。」
「そう思われるのでしたらもう少し無茶振りを減らしてもらってもよろしいでしょうか?」
氏政が神妙そうな顔をしながら感謝の言葉を投げているが口元が途中でピクピクしているのに気づいた直勝は白々しいといった表情で苦言を呈する。
「はっはっはっ、来年再来年は我も海に力を入れるつもりだから許してくれ。陸の方は今年までで大分落ち着かせる事ができた。これ以上は父たちに放り投げても大丈夫だ。」
この言葉を聞いていた近くの綱成や幻庵 康虎はゲンナリしていた。確かに氏政がいなくてもこのまま北条で培ってきたノウハウで他の新しい土地も回せるだろうし大きな計画や砦については氏政達が決めるだろうが、実際には激務が待っているのだ。そこで氏政が担当していた地域がごっそりとこちらに回ってくるとなってくれば来年の忙しさは想像したくもない。となっていた。
「それは有難い事ですが、何をされるつもりで?」
直勝は氏政が単に手伝いに来ただけでは無いことを理解していた。新しい船を開発するのか、どこかに攻め込むのか。はたまた予想もできないことをしてくるのか謎である。
「なに、それは父上が来てから皆の前で話そうぞ。それに、新しいことを始めるにしても直勝の仕事は減るはずだ。港と文官達の滑らかなやりとりができるように整備したりこちらでできることは大体やろう。むしろ任せたいのは実働の方だからな。」
「はっ、私としては有難いですが。」
ガラッと音がして氏康が入ってきたことで皆が話をやめ姿勢を正した。
「はぁ、疲れたわ。茶をくれ。それと皆のものも楽にせい。ここでは本心で話し合う場所じゃ、堅苦しいのは後で良い。」
氏康が片足を上げて胡座をかき楽な体勢で茶をしばき始めた為皆も少し楽にして会話を再開し始めた。
「父上も大変そうですね。」
「誰のせいじゃ、ここ数年で挨拶にくるものが一気に増えた為年末年始がさらに忙しくなった為に今年からは年末の挨拶と新年の挨拶で各家や使者を出す勢力ごとに分けたのだぞ?」
「それは申し訳ないですがまあ、我らの悲願に近づいた証拠だと思って耐えてくだされ。」
ニコニコ顔で返す息子を見て何を言ってもダメだと思ったのだろうか一息はぁといって茶を啜っていた。
「ですが、実際年末と年始で分けるのは大切だと思いますがね。後は、北条家は年末年始より少し早めと遅めにきてもらうとかですかね。これは必要なことなので受け入れてもらえることでしょう。その分、年末年始は近くの直属の城に集まって宴会させればよろしいかと。」
「成程、来年からはそうしてみるか。」
「それと、そろそろ競馬場も整備され普及し始めましたし、世代交代が起きたり血統が分かれてきた為面白いことになっていますが報告は行っていますか?」
「ああ!あれは面白いな。各外国馬と日本の馬毎の家系図を作り新しく生まれた馬達の特色や特性を纏めることで掛け金や利息が変わるのは良くできているな。ちなみに私の推している馬は春風号系列だな。」
春風号とは輸入してきた外国馬同士でできたガタイがよくパワフルな走りをする牡馬の事だ。この馬は各競馬場の重賞を勝ち、その産駒も春風の力を受け継ぐように同じような走りを見せる事で最近巷を賑わせている。
0
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
夕映え~武田勝頼の妻~
橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。
甲斐の国、天目山。
織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。
そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。
武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。
コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる