北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。

ヒバリ

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 1549年8月初旬、武田信玄が総勢3500名の軍を率いて高遠氏 藤沢氏 木曽氏への侵攻を開始した。諏訪を手に入れ大井氏 笠原氏を倒し伊那郡を落としたが高遠氏は史実と違い手に入れられなかった為再侵攻を始めた。

 「目指すは高遠城だ!我の差配に従えば必ず勝利を手に入れられる!」

 信玄は、というよりも大将は他人からどう見られるか、どのように見えれば人が付いてくるかを考えながら発言行動している。特に信玄は他者から、しかも国人集達はそれぞれの土地の地侍を纏める小大名だ。それらからついていきたいと思われる大名だ。そこには、カリスマ性がある。

 そして、農民達も武略という形で理解をしていた。信玄についていけば必ず勝てる必勝の軍だと彼ら自身が理解している。だから自信が付いて心技体の心が強く、場数を重ねて技が上がり体もできてくる。

 「高遠城には兵も碌な将も居ないのだ。我らが負ける道理などない。」

 「ですな。我々は先陣に行って参ります。」

 信繁が穴山や小山田ら親族衆を連れて先頭を進む。高遠氏は南信を抑える国人集代表であり中信との境目に領地を持つ国人だ。武田が諏訪氏を滅ぼす際にも協力しており両者は友好的な関係を結んでいたかのように思えた。しかし、諏訪氏の総領を目指す高遠は信玄と対立し南信をまとめ宮川で戦をした。そこで勝利を得た武田が結果的に諏訪を制圧したのだ。

 7月末には今川が犬居城に兵を集めて飯田城への侵攻の動きを見せた為南信の国人集達は下手に身動きが取れなくなっていた。その動きを待つこともなく信玄は立ち止まることなく深夜も行軍を続けた。その動きはまさに風のように素早かった。雨がしとしとと降り注いでおり高遠軍が油断している頃、武田信玄率いる軍は山の上に布陣、そのまま落ちる勢いで高遠城に攻めかかった。

 「かかれ!かかれ!裏切り者を打ち破るのだ!」

 「う、うわぁ!敵だ!敵だ!!!」

 「ひいいいい!逃げろ!こんなの勝ち目がねえ!」

 完全に敵の不意を突いた武田軍に恐れ慄き高遠軍の兵士たちは守備を放棄しさっさと逃げ出してしまっていた。それは城主である高遠頼継も同じことであった。史実でも逃げ出していたが今回はより酷かった。小笠原が既に逃げ出した現状復帰も不可能で悪天候、逃げる場所もなく落武者狩にあってその命を経っていたのだ。

 「御屋形様、高遠城内の処理を終えました。次の指令を…!」

 「よし、ここに抑えの兵を残して信繁に別働隊を任せて南の最後の城・飯田城を取りに行かせる!残りのものは我に続いて木曽福島城へと向かうぞ!」

 そのまま抑えの兵を300残すと残りの3000の兵のうち1000を飯田城に向かわせた。信玄は南信を取るだけではなく木曽を抑えることで西にもしっかりとした基盤を作ろうとしていた。

 「御屋形様、少し報告を…」

 普通の側周りに紛れている三つ者の配下が連絡しにきたのを確認した信玄はその側周りに身の世話をさせるついでに報告を聞く。

 「木曽氏は南信を攻めた我々を警戒しているようで鳥居峠にて防備を固めているようです。このまま全軍で向かっても狭い道で撃退される恐れがあるかと…」

 史実でも武田は一度木曽に敗北している。今回、三つ者が知らせられたのは北条の力が大きい。彼らが既に南信の情報を流していてくれたのだ。今川 織田の流れで商人と情報が動く、そしてその流れから持ってきたのだ。

 「わかった。他にいける道はあるか?」

 「奈良井川支流の陣ヶ沢、もう一つを萩曽(現在の木祖村小木曽)からでどうでしょうか?その上で峠にも囮を置けば敵の目を欺けるかと…」

 「よくやった。下がれ。」

 側周りが世話を終えたように淡々と連絡員は下がっていった。

 「飯富虎昌を誰か呼べ。」
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