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しおりを挟む「晴氏様、やはり佐竹なぞは使えませんだな。お次は某にでもお任せ…」
周りにいる羽虫共がなにかブンブンと言っているが何も気にならない。あの義昭が紛い物の軍とはいえ敵よりも多い数をつかい奇襲までしたのに勝てなかったのだ。そんな相手に対してお前ら如きが勝てるものかと馬鹿にしてやりたくなるがこれでも周りとの繋ぎ役や手足としては使わなければならない。
「とりあえずこのまま城へと戻り北条との講話を纏める。我々が雌伏の時を過ごすにしろ何にしろとりあえず現状を維持せねばならぬ。お主が言ってくれるかの?」
そう言って睨むとすごすごと引き下がっていった。この状態で北条に使者として行くのは嫌だと言うのだ。そもそも北条が足利を、旧体制を許すかどうかは分からぬがな…
「て、敵襲!騎馬隊が突っ込んできます!北条の別働隊のようです!!!!」
さて、許されないようだな。佐竹義昭に任せてきたがついてきたほうがよかったかも知れぬ。北条家、特に八幡の使いと呼ばれた北条嫡男 北条氏政が生まれてから世界が変わった。我々は土地を治めると言う足利尊氏公から続く全てを否定された。それは許されない事だ。
しかし、この世はそれを望んでいると言うのだろうか。向かってくる敵はそれが当然だと思い悪きものとして我々を討つのだろう。敵の顔も見えるくらいになってきた。我はお主のこれからを天から楽しまさせて貰う。さて、最後の一時 ひとりの男として足利晴氏参る!
~~~
佐竹義昭
「足利晴氏様が北条別働隊に襲われております!既に数の差で押し潰されたようでどのような状態になったかの確認が不可能です!」
「わかった。お前たちは佐竹直轄軍を遠回りさせて被害を抑えながら帰らせろ。鹿島の方を通れば安全に通過する事ができるはずだ。残りの古河公方軍を使って足止め代わりにする。」
「「ははっ!」」
天雷の武器は今回でどれほど恐ろしいかがわかった上に、常備軍の必要性もよくわからされた。次に相対する時は敵か味方か…。とりあえずは和睦を通さなければならないな。
「お前たち!ここはもういい!我らも引くぞ!馬を走らせろ!」
「殿!降伏の使者は送らないのですか?」
「それは後でいい!とりあえず今はこの戦場から離れることを考えるのだ!急げ!」
この場はまだ続いてもらわなければ困るのだ。残りの兵をしっかりと減らしてもらって常陸の支配を確立。そして奥羽に向かうなり北条と相対するなり決めれば良いのだ。そんなことここで大声で言えるようなものでもないがな。
~~~
北条氏政
「殿!別働隊の奇襲が上手く刺さったようです!そのおかげで敵が引いて行くようです。恐らくですが、佐竹の本隊だけが引いて行くようです。どうなされますか?」
佐竹が引くか…。追撃して痛い目を見るのも嫌だし、何か佐竹には他とは違うものを感じるからな。放っておこう。戦後交渉の時に何を考えているのか聞いてみたいが…可能であれば引き込みたいな。
「佐竹は放っておけ!残りの古河公方軍を殲滅、もしくは投降を呼びかけろ。逃げられて盗賊などになられる位ならば殺してしまってもかまわぬ。」
「はっ!」
「それと、綱成達には捕まえた捕虜や討ち取ったもの達を知らせるように伝えるのだ。残りの土地は勘助達が上手く捌いてくれているはずだからな。一応伝令兵を送ってはおけ。古河公方領から山内上杉領と宇都宮領の境目に大体沿って土地を接収しろとな。小田の方は優先的に取りに行けと伝えろ。」
佐竹は明らかに常陸統一を掲げている。そうとなれば小田の土地は欲しがるはずだ。そこを少しでも抑えておけば交渉の余地が出てくる。佐竹の動きを見ているに常陸を制するために古河公方軍を減らしている節がある。
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