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佐竹義昭
「敵の天雷の武器が使用されてこちらの左翼が崩壊しました!!!被害は軽微なれど陣形は総崩れ!撤退しております!それに伴い右翼側への負担が増大!また、天雷の武器の使用終了に合わせて敵の左翼が陣から出てきて右翼に攻めかかり、我らの先行隊が包囲殲滅されかけております!!!」
「救出に向かわせられないのか!」
「不可能にございます!既に敵の防御は固められておりこちらが助け出そうとしても被害が増える一方に御座います!また、農民兵達は天雷の武器が使用されたことによって戦意を喪失!逃げ出す者も現れ始めております!」
「残った部隊を引き上げさせろ!今の状態ではまともに戦も行えない!勝てる戦も勝てなくなる!」
義昭は残存勢力の確保にとりあえず舵を切った。このまま負けても問題はない。むしろ常陸における佐竹家の勢力を保持、他の勢力が縮小し相対的に佐竹家の権力を増す事ができる。そうなれば我々の勝利とも言える。
一つ気がかりな点としては足利晴氏達が何か文句を言ってくる事だが…。むしろ佐竹包囲網などを敷かれると面倒だな。とこれからのことを皮算用していた。
「公方様にも下がるようにお伝えしろ!この戦は負けだ!一旦引いて立て直し捲土重来を期すのだと!」
「はっ!」
~~~
足利晴氏
「お味方奮闘虚しく敗走を始めました!公方様には一刻も早く居城にお戻りくださるようにお願い致します!」
「なんだと!この腑抜けめ!もう少しで勝てていたではないか!あの程度の損害気にせず力押しをするのだ!!!我々は数で勝っているのだぞ!」
「そうだ!そうだ!」
晴氏の側近連中は戦場を把握もせずただこちらが押せているように見えているだけで勝てると思い込んでいた。しかし、晴氏にもこちらの不利が既に分かりきっていた。先頭集団が包囲、分断された時点でこちら側の流れがなくなったのだ。ジッと視線を河越城に送り、目を瞑ってため息を吐いた。
「わかった。このまま城へ戻ろうぞ。残った兵の指揮は義昭に任せる。結城 小田 我々の軍は先に撤退させて貰うと伝えよ。」
「お、お待ちくだされ!それは…!」
晴氏には義昭の魂胆が分かりきっていた。それすらも利用して北条を追い詰めようとしたが後一歩、いや2歩も3歩も及ばなかった。その事実を噛み締めると共に、義昭の好きにはさせぬと強制的に殿を任せることにした。晴氏は伝令の兵を置いてきぼりにして共周りを連れてさっさと城に向かって逃げ出した。
~~~
北条綱成 工藤政豊
「砲撃の音が響いておりますな。」
「ああ、我々は奴らが包囲され撤退するところを狙って奇襲をかけるのだ。狙うは足利晴氏の首ただ一つよ。奴の首さえ取れれば後の有象無象はどうにでもなる。いや、今回で佐竹は侮りがたしと言う事がわかったか…それでも狙うのは足利だ。我々の傀儡を擁立するにしろ、断絶させるにしろこれからの北条の支配には必要ではない。」
「そうですね。」
幸隆と綱成、政豊は丘の裏から少しだけ戦場が見える位置で潜んでいた。
「敵が崩れたようだぞ!こちら側の包囲が完成したようだ!」
敵の動きは散漫になり撤退のような流れになっているように見受けられた。
「よし!我々も準備をするのだ!馬に乗れい!この戦をさっさと締めあげて終わるのだ!落とし前をしっかりつけさせるぞ!」
「応!!!」
「敵後方集団から先んじて逃げ出す部隊があります!旗から足利 結城 小田だとわかります!」
「よし!!目標確認!狙うは足利晴氏の首ただひとつだ!お前たち続け!!!!」
綱成はその大きな声と迫力で後方の兵まで届くように叫びながら馬を走らせる。その側には馬廻りと工藤政豊がついてきていた。幸隆は残りの兵を纏めてサポートへと回っていたのである。
「敵の天雷の武器が使用されてこちらの左翼が崩壊しました!!!被害は軽微なれど陣形は総崩れ!撤退しております!それに伴い右翼側への負担が増大!また、天雷の武器の使用終了に合わせて敵の左翼が陣から出てきて右翼に攻めかかり、我らの先行隊が包囲殲滅されかけております!!!」
「救出に向かわせられないのか!」
「不可能にございます!既に敵の防御は固められておりこちらが助け出そうとしても被害が増える一方に御座います!また、農民兵達は天雷の武器が使用されたことによって戦意を喪失!逃げ出す者も現れ始めております!」
「残った部隊を引き上げさせろ!今の状態ではまともに戦も行えない!勝てる戦も勝てなくなる!」
義昭は残存勢力の確保にとりあえず舵を切った。このまま負けても問題はない。むしろ常陸における佐竹家の勢力を保持、他の勢力が縮小し相対的に佐竹家の権力を増す事ができる。そうなれば我々の勝利とも言える。
一つ気がかりな点としては足利晴氏達が何か文句を言ってくる事だが…。むしろ佐竹包囲網などを敷かれると面倒だな。とこれからのことを皮算用していた。
「公方様にも下がるようにお伝えしろ!この戦は負けだ!一旦引いて立て直し捲土重来を期すのだと!」
「はっ!」
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足利晴氏
「お味方奮闘虚しく敗走を始めました!公方様には一刻も早く居城にお戻りくださるようにお願い致します!」
「なんだと!この腑抜けめ!もう少しで勝てていたではないか!あの程度の損害気にせず力押しをするのだ!!!我々は数で勝っているのだぞ!」
「そうだ!そうだ!」
晴氏の側近連中は戦場を把握もせずただこちらが押せているように見えているだけで勝てると思い込んでいた。しかし、晴氏にもこちらの不利が既に分かりきっていた。先頭集団が包囲、分断された時点でこちら側の流れがなくなったのだ。ジッと視線を河越城に送り、目を瞑ってため息を吐いた。
「わかった。このまま城へ戻ろうぞ。残った兵の指揮は義昭に任せる。結城 小田 我々の軍は先に撤退させて貰うと伝えよ。」
「お、お待ちくだされ!それは…!」
晴氏には義昭の魂胆が分かりきっていた。それすらも利用して北条を追い詰めようとしたが後一歩、いや2歩も3歩も及ばなかった。その事実を噛み締めると共に、義昭の好きにはさせぬと強制的に殿を任せることにした。晴氏は伝令の兵を置いてきぼりにして共周りを連れてさっさと城に向かって逃げ出した。
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北条綱成 工藤政豊
「砲撃の音が響いておりますな。」
「ああ、我々は奴らが包囲され撤退するところを狙って奇襲をかけるのだ。狙うは足利晴氏の首ただ一つよ。奴の首さえ取れれば後の有象無象はどうにでもなる。いや、今回で佐竹は侮りがたしと言う事がわかったか…それでも狙うのは足利だ。我々の傀儡を擁立するにしろ、断絶させるにしろこれからの北条の支配には必要ではない。」
「そうですね。」
幸隆と綱成、政豊は丘の裏から少しだけ戦場が見える位置で潜んでいた。
「敵が崩れたようだぞ!こちら側の包囲が完成したようだ!」
敵の動きは散漫になり撤退のような流れになっているように見受けられた。
「よし!我々も準備をするのだ!馬に乗れい!この戦をさっさと締めあげて終わるのだ!落とし前をしっかりつけさせるぞ!」
「応!!!」
「敵後方集団から先んじて逃げ出す部隊があります!旗から足利 結城 小田だとわかります!」
「よし!!目標確認!狙うは足利晴氏の首ただひとつだ!お前たち続け!!!!」
綱成はその大きな声と迫力で後方の兵まで届くように叫びながら馬を走らせる。その側には馬廻りと工藤政豊がついてきていた。幸隆は残りの兵を纏めてサポートへと回っていたのである。
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