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佐竹義昭
「橋前の制圧に成功しました!現在は城側からの抵抗を軽く受けていますが気にすることなく対岸の確保に向かっております!しかし、裏門の突破は容易では無いようで攻められないが攻めかかられない状態とのことです!」
「よし!良くやった!そのまま裏門を牽制しながら氏康本隊がこちら側に来たら橋を落としてしまえ!」
「はっ!」
義昭はうまくいったとほくそ笑みながらも少し疑問にも感じていた。これほど用意周到に準備や軍備をしていた北条がこんな易々と重要な橋を差し出すのだろうか。何か裏があるのでは無いかと。
「義昭よ、上手くいってるようでは無いか。」
周りにいつものお供を連れた足利晴氏が馬に乗ってこちらにやってきていた。
「はっ!多少の損害はありますものの順調に進んでいます!しかし、どうしてこのような所に?失礼ですが危険がございますぞ?」
義昭の本音としては変な指示を出されたり万が一何かがあった時が怖いのでできればこちら側にはきてほしくなかった。
「なに、我が引き起こした戦がどのようになっているかを確認したくての。我は口を出さぬゆえ隣で見させてくれ。」
その風貌、雰囲気は見させてくれと頼んでいるように言葉では捉えられるが有無を言わさぬものを感じた。義昭も口を出さないなら…と思いなおした。
「報告!左翼別働隊は主要街道を守っていた敵の守備隊に果敢に攻めかかるも後一歩の所で撤退、敵を誘い込もうとしましたが隙には乗らずに守りをしっかりと固めているそうです!」
「なに!負けているのか!!!どう言うことだ!!!」
お供の一人がキレ散らかしている。義昭はうんざりとした気分だったが説明しようと口を開きかけると、
「黙れい!我は義昭に任せるといったのだ。それにいちいち口を出すでは無い!それとも何か、我を馬鹿にしておるのか?義昭に文句をつけると言うことは任せた我に不満があると言うことだろう。話は聞くぞ?」
晴氏が強い口調で配下を諌める。その姿はカリスマ性に溢れる関東の主としての姿にふさわしいものだと一瞬でも義昭は本能的に感じてしまった。
「い、いえ、そのような事はございませぬ!」
「ならば良いのだ。義昭よすまぬな。続けてくれ。」
「はっ!左翼別働隊には3500を残しこちらに戻ってくるように指示を出せ!守備を固める!」
報告係はすぐさま返事をすると指令を伝えるために大急ぎでこの場を離れていった。
「既にこちらの大半の兵が前線に張り付き終えました。まだ道を通っている途中ではございますが、こちらが調べた限りの情報では既に天雷の武器を使えない範囲に入っておりますので、時間の問題かと。」
「ふむ、なるほどの。其方に任せる。」
「唯一懸念するとすれば敵の陣が今まで見たことのない不思議な陣という事、我々の未知の力を八幡様かどうかは分かりませぬが持っている事。この二つが読み難い点ではあります。」
義昭は状況報告を続けながら指揮を続けた。その隣で話を聞きながら戦場を真剣な表情で見つめ続ける足利晴氏は何を思っていたのだろうか。
~~~
北条氏康
少し時は戻り、足利古河公方連合が姿を現し少しした頃、氏康にも連絡が届いていた。
「古河公方が約35000程の兵を引き連れ川越城に攻めかかっております!!!」
「なに !」
氏康が驚きに声を上げるとすかさず多目が必要な情報を出す。
「現在我が軍は頑強に抗う上杉本隊を相手取って追討隊まで出しています。急いで戻ってもこちらの兵は疲れが溜まっておりまともに動きませぬ。なればこそ、こちらをしっかりと片付け戦える兵から順次増援に送るべきかと。また、上野を完全に支配するために幾許かの兵は必ず必要になりますのでご注意ください。」
「橋前の制圧に成功しました!現在は城側からの抵抗を軽く受けていますが気にすることなく対岸の確保に向かっております!しかし、裏門の突破は容易では無いようで攻められないが攻めかかられない状態とのことです!」
「よし!良くやった!そのまま裏門を牽制しながら氏康本隊がこちら側に来たら橋を落としてしまえ!」
「はっ!」
義昭はうまくいったとほくそ笑みながらも少し疑問にも感じていた。これほど用意周到に準備や軍備をしていた北条がこんな易々と重要な橋を差し出すのだろうか。何か裏があるのでは無いかと。
「義昭よ、上手くいってるようでは無いか。」
周りにいつものお供を連れた足利晴氏が馬に乗ってこちらにやってきていた。
「はっ!多少の損害はありますものの順調に進んでいます!しかし、どうしてこのような所に?失礼ですが危険がございますぞ?」
義昭の本音としては変な指示を出されたり万が一何かがあった時が怖いのでできればこちら側にはきてほしくなかった。
「なに、我が引き起こした戦がどのようになっているかを確認したくての。我は口を出さぬゆえ隣で見させてくれ。」
その風貌、雰囲気は見させてくれと頼んでいるように言葉では捉えられるが有無を言わさぬものを感じた。義昭も口を出さないなら…と思いなおした。
「報告!左翼別働隊は主要街道を守っていた敵の守備隊に果敢に攻めかかるも後一歩の所で撤退、敵を誘い込もうとしましたが隙には乗らずに守りをしっかりと固めているそうです!」
「なに!負けているのか!!!どう言うことだ!!!」
お供の一人がキレ散らかしている。義昭はうんざりとした気分だったが説明しようと口を開きかけると、
「黙れい!我は義昭に任せるといったのだ。それにいちいち口を出すでは無い!それとも何か、我を馬鹿にしておるのか?義昭に文句をつけると言うことは任せた我に不満があると言うことだろう。話は聞くぞ?」
晴氏が強い口調で配下を諌める。その姿はカリスマ性に溢れる関東の主としての姿にふさわしいものだと一瞬でも義昭は本能的に感じてしまった。
「い、いえ、そのような事はございませぬ!」
「ならば良いのだ。義昭よすまぬな。続けてくれ。」
「はっ!左翼別働隊には3500を残しこちらに戻ってくるように指示を出せ!守備を固める!」
報告係はすぐさま返事をすると指令を伝えるために大急ぎでこの場を離れていった。
「既にこちらの大半の兵が前線に張り付き終えました。まだ道を通っている途中ではございますが、こちらが調べた限りの情報では既に天雷の武器を使えない範囲に入っておりますので、時間の問題かと。」
「ふむ、なるほどの。其方に任せる。」
「唯一懸念するとすれば敵の陣が今まで見たことのない不思議な陣という事、我々の未知の力を八幡様かどうかは分かりませぬが持っている事。この二つが読み難い点ではあります。」
義昭は状況報告を続けながら指揮を続けた。その隣で話を聞きながら戦場を真剣な表情で見つめ続ける足利晴氏は何を思っていたのだろうか。
~~~
北条氏康
少し時は戻り、足利古河公方連合が姿を現し少しした頃、氏康にも連絡が届いていた。
「古河公方が約35000程の兵を引き連れ川越城に攻めかかっております!!!」
「なに !」
氏康が驚きに声を上げるとすかさず多目が必要な情報を出す。
「現在我が軍は頑強に抗う上杉本隊を相手取って追討隊まで出しています。急いで戻ってもこちらの兵は疲れが溜まっておりまともに動きませぬ。なればこそ、こちらをしっかりと片付け戦える兵から順次増援に送るべきかと。また、上野を完全に支配するために幾許かの兵は必ず必要になりますのでご注意ください。」
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