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光秀
「敵は右翼側の圧力を高めているようですがどうなされますか?」
副官の男が聞いてくる。
「敵の本命は左翼だ。右翼側の人数と圧力は大きいだろうが我々は本命を止めることに専念する。」
「はっ!義堯殿には悪いが左翼側が落ち着くまで耐えてみせてくれと伝えてくれ。」
急いで伝令が走っていくのを横目に左翼側の突撃体制が整った様子を見る。右翼側の圧力を高めた事で砲撃の範囲もズラさなければならないのも1つだが、それ以上に仲間に当たる可能性が少しでもある以上氏政様は無茶はせずに後ろ側だけを狙うはずだ。それに気づいているのだろう、左翼側が嫌らしいタイミングに突撃を敢行してきた。
「敵が来たぞ!鉄砲衆は半数が射撃準備!もう半数が待機だ!膝立射撃を行う!しっかりと狙って撃てよ!」
虎高殿も同じように前線に檄を入れている。
「敵は騎馬隊のみの構成だ!前面槍隊は石柄をしっかりと地面に立てて槍衾を作れ!後方槍隊は長槍をしっかりと立てておけよ!相手が穴を越えようとした時に振り下ろすのだ!合図をしっかりと聞いておけよ!」
敵が穴を越えようとすれば槍が振り下ろされ、迂回しようと穴と穴の間を通ろうとすれば我々の鉄砲によって穴だらけにされる。さて、この陣形をどうやって打ち破るのだ?
もうすぐそこまで敵は迫ってきていた。
「敵!止まりました!!!」
敵の騎馬隊は穴より少し離れたところで止まるとこちら側に馬の側面を見せて背中から弓を取り出していた。
「まずい!鉄砲衆よ敵に弓を撃たせるな!目の前の敵に斉射!撃てい!」
ダァン!まず半数の鉄砲衆が撃った。初めて聞く音と飛んでいった弾により何百もの馬が混乱に陥る。馬から振り落とされ意識を失ったものや大怪我で動けないものもいる中、使えなくなった馬を捨てて上に乗っていて無事だった武者達は弓を撃とうとしている。
「残りは馬から振り落とされた武者を狙え!撃てい!」
残った武者達を狙いほとんどを掃討するが、その間に無事だった武者やそもそも近づいていなかった事で無事だった馬達に乗っていた者たちが弓矢を撃ち続けた。こちらも少なくない被害を出しながらも想定よりも少ない被害ですませた。
「今ので傷を負った兵は下がれ!後方で治療を受けてから後方支援部隊に回れ!空いた穴には後列の予備兵が入るのだ!」
虎高殿が適切な指揮を取りながら兵を鼓舞する。
「順次発砲を許可する!敵の残党を処理せよ!」
こちらもただ見ているだけではなく相手にこれ以上好きにさせないように攻撃をする。しかし、相手の騎馬隊は劣勢を悟りすぐに射程外まで急いで駆け抜けていった。だが、そのまま撤退するのではなくこちらにいつでも攻めかかれる状態かつ砲撃がしづらい微妙な距離を保っている。
これでは左翼を無視して右翼に援軍に行く事もできない。しかし、相手もこちらも何もできない。こちらの鉄砲を封じる良い手だ。佐竹義昭、侮れぬな。
~~~~
氏政
「戦況はどうなっている!」
「はっ!右翼側の圧力が上がったためこちらの用意した陣に近づかれ砲撃がしづらくなっております!ですので予定した通り後方だけを狙って精密射撃に移行しております!左翼側は騎馬隊が攻めかかっているようで一度接敵、少ない被害で抑えながらも睨み合っている様子です!しかし、砲撃の範囲内に味方が入っていますのでこう着状態です。」
嫌らしい手を打ってくる。機動力が高い騎馬隊を左翼に向かわせ鉄砲衆を惹きつけ、右翼では大量の数に物を言わせた攻めで抜こうとしてくる。上手いな。
「砲兵の支援をさせている兵や後方支援隊に連弩を持たせて出撃させろ!鉄砲衆用に用意しておいた土台を使って打ち下ろすのだ!」
「敵は右翼側の圧力を高めているようですがどうなされますか?」
副官の男が聞いてくる。
「敵の本命は左翼だ。右翼側の人数と圧力は大きいだろうが我々は本命を止めることに専念する。」
「はっ!義堯殿には悪いが左翼側が落ち着くまで耐えてみせてくれと伝えてくれ。」
急いで伝令が走っていくのを横目に左翼側の突撃体制が整った様子を見る。右翼側の圧力を高めた事で砲撃の範囲もズラさなければならないのも1つだが、それ以上に仲間に当たる可能性が少しでもある以上氏政様は無茶はせずに後ろ側だけを狙うはずだ。それに気づいているのだろう、左翼側が嫌らしいタイミングに突撃を敢行してきた。
「敵が来たぞ!鉄砲衆は半数が射撃準備!もう半数が待機だ!膝立射撃を行う!しっかりと狙って撃てよ!」
虎高殿も同じように前線に檄を入れている。
「敵は騎馬隊のみの構成だ!前面槍隊は石柄をしっかりと地面に立てて槍衾を作れ!後方槍隊は長槍をしっかりと立てておけよ!相手が穴を越えようとした時に振り下ろすのだ!合図をしっかりと聞いておけよ!」
敵が穴を越えようとすれば槍が振り下ろされ、迂回しようと穴と穴の間を通ろうとすれば我々の鉄砲によって穴だらけにされる。さて、この陣形をどうやって打ち破るのだ?
もうすぐそこまで敵は迫ってきていた。
「敵!止まりました!!!」
敵の騎馬隊は穴より少し離れたところで止まるとこちら側に馬の側面を見せて背中から弓を取り出していた。
「まずい!鉄砲衆よ敵に弓を撃たせるな!目の前の敵に斉射!撃てい!」
ダァン!まず半数の鉄砲衆が撃った。初めて聞く音と飛んでいった弾により何百もの馬が混乱に陥る。馬から振り落とされ意識を失ったものや大怪我で動けないものもいる中、使えなくなった馬を捨てて上に乗っていて無事だった武者達は弓を撃とうとしている。
「残りは馬から振り落とされた武者を狙え!撃てい!」
残った武者達を狙いほとんどを掃討するが、その間に無事だった武者やそもそも近づいていなかった事で無事だった馬達に乗っていた者たちが弓矢を撃ち続けた。こちらも少なくない被害を出しながらも想定よりも少ない被害ですませた。
「今ので傷を負った兵は下がれ!後方で治療を受けてから後方支援部隊に回れ!空いた穴には後列の予備兵が入るのだ!」
虎高殿が適切な指揮を取りながら兵を鼓舞する。
「順次発砲を許可する!敵の残党を処理せよ!」
こちらもただ見ているだけではなく相手にこれ以上好きにさせないように攻撃をする。しかし、相手の騎馬隊は劣勢を悟りすぐに射程外まで急いで駆け抜けていった。だが、そのまま撤退するのではなくこちらにいつでも攻めかかれる状態かつ砲撃がしづらい微妙な距離を保っている。
これでは左翼を無視して右翼に援軍に行く事もできない。しかし、相手もこちらも何もできない。こちらの鉄砲を封じる良い手だ。佐竹義昭、侮れぬな。
~~~~
氏政
「戦況はどうなっている!」
「はっ!右翼側の圧力が上がったためこちらの用意した陣に近づかれ砲撃がしづらくなっております!ですので予定した通り後方だけを狙って精密射撃に移行しております!左翼側は騎馬隊が攻めかかっているようで一度接敵、少ない被害で抑えながらも睨み合っている様子です!しかし、砲撃の範囲内に味方が入っていますのでこう着状態です。」
嫌らしい手を打ってくる。機動力が高い騎馬隊を左翼に向かわせ鉄砲衆を惹きつけ、右翼では大量の数に物を言わせた攻めで抜こうとしてくる。上手いな。
「砲兵の支援をさせている兵や後方支援隊に連弩を持たせて出撃させろ!鉄砲衆用に用意しておいた土台を使って打ち下ろすのだ!」
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