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氏政
「伝令!河越城南東に3万越えの軍隊が突然現れました!旗を確認したところ常陸の佐竹に、小田 結城を率いた古河公方足利晴氏の連合軍でございます!!!」
現場に衝撃が走った。勿論想定はしていたがこのタイミングで来るのか…!父が率いている相模武蔵軍は大詰めに入って簡単に軍を止められる状況でもない上に、例えこちらに戻したとしても間に合うかは微妙。間に合ったとしてもまともに動けるか…。それに、父上の軍は騎馬隊がほぼ出払っている。
「光秀!」
咄嗟に光秀の案を聞こうとする。
「まずは氏康様にこちらに戻らなくていいので向こう側をしっかりと処理してもらえるように伝令を出しましょう。その上でこちら側がどうするかですが、2つ方法があります。
1つは籠城して氏康様の援軍を貰うこと。これならばしっかりと城を守れる上に上野を掃除できます。しかし、これを選びますと現在後方に輸送中の負傷兵や捕虜が襲われる可能性が高いです、道を使われればこちらは甚大な被害を被ります。
もう1つはこちら側から打って出ることです。この場合、氏康様が戻ってくるまでにこちら側が負けた場合氏康様にも被害が及び、先ほどよりも不味い状態になります。しかし、勝つ、もしくは足止めができればこちら側は兵を増して完全に押し返せる上に元から仕掛けていた勘助殿に任せた策がキッチリと決まり大いに優勢になります。」
光秀がスラスラと現状とこれからできることを知らせてくれる。
「更に付け加えますとこの対応に手間取ると今川はどうかわかりませんが、武田が食指を動かして上野や武蔵に進軍してくる可能性がございますな。それに、今は沈黙を保っている安房や鹿島などもどうなるものかわかりませぬな。」
義堯が義弘を連れてこちらの会話に加わってきた。
「安房か…やはり不満を持つものはまだ居るのか?」
「ええ、この前までは自分達だけだったところに新しい文官がきてああしろ、こうしろと言われるのが我慢ならない村長や代官、私田が許されない徹底した検地、まあ既得損益が脅かされた者たちが主だって反抗的です。民達は、前よりも暮らしが良くなっては居るがまだまだその効果を実感できず不安になっています。また、隣の北条は豊かなのに…と不満を持っていますな。これに関しては千葉も同様かと。」
急速な発展と変遷に伴う戸惑いや不安などが集まっているのだ。
「唯一の救いは河東 伊豆 小田原周辺から海岸沿いは確実に安全だといえることくらいだな。」
気休めにもならないがつい独り言を言ってしまう。
「こちらの軍と河越城の設備についてのまとめと地図を持ってこい。奴らを撃退するぞ。籠城しつつ奴らに対して攻撃、最後に打って出る。」
「「ははっ!」」
すぐに小姓が地図を持ってきた。
「虎高、軍はどうなっている。」
「現在こちらの軍は若殿直轄軍が7000でしたが連戦によって重軽傷者全てを除くと6000程ですかね。軽傷者を入れると6500は居ますね。そして、元々の河越城にいた武蔵軍は出払っているものを除くと4500です。合計1万1000の兵です。
軍の内訳としては歩兵6000 盾隊1000 弓隊1000 鉄砲衆が1000 騎馬隊竜騎兵砲兵が2000です。
その内、砲兵に関しましては観測 調整するものが300ほど居ますので軽傷者や民から集まってきた者たちを誰にでもできる弾運びや弾込めを、させればほぼ全員300をそのまま使えます。」
虎高は俺の考えを読んで砲兵の運用にまで言及してくれた。
「伝令!河越城南東に3万越えの軍隊が突然現れました!旗を確認したところ常陸の佐竹に、小田 結城を率いた古河公方足利晴氏の連合軍でございます!!!」
現場に衝撃が走った。勿論想定はしていたがこのタイミングで来るのか…!父が率いている相模武蔵軍は大詰めに入って簡単に軍を止められる状況でもない上に、例えこちらに戻したとしても間に合うかは微妙。間に合ったとしてもまともに動けるか…。それに、父上の軍は騎馬隊がほぼ出払っている。
「光秀!」
咄嗟に光秀の案を聞こうとする。
「まずは氏康様にこちらに戻らなくていいので向こう側をしっかりと処理してもらえるように伝令を出しましょう。その上でこちら側がどうするかですが、2つ方法があります。
1つは籠城して氏康様の援軍を貰うこと。これならばしっかりと城を守れる上に上野を掃除できます。しかし、これを選びますと現在後方に輸送中の負傷兵や捕虜が襲われる可能性が高いです、道を使われればこちらは甚大な被害を被ります。
もう1つはこちら側から打って出ることです。この場合、氏康様が戻ってくるまでにこちら側が負けた場合氏康様にも被害が及び、先ほどよりも不味い状態になります。しかし、勝つ、もしくは足止めができればこちら側は兵を増して完全に押し返せる上に元から仕掛けていた勘助殿に任せた策がキッチリと決まり大いに優勢になります。」
光秀がスラスラと現状とこれからできることを知らせてくれる。
「更に付け加えますとこの対応に手間取ると今川はどうかわかりませんが、武田が食指を動かして上野や武蔵に進軍してくる可能性がございますな。それに、今は沈黙を保っている安房や鹿島などもどうなるものかわかりませぬな。」
義堯が義弘を連れてこちらの会話に加わってきた。
「安房か…やはり不満を持つものはまだ居るのか?」
「ええ、この前までは自分達だけだったところに新しい文官がきてああしろ、こうしろと言われるのが我慢ならない村長や代官、私田が許されない徹底した検地、まあ既得損益が脅かされた者たちが主だって反抗的です。民達は、前よりも暮らしが良くなっては居るがまだまだその効果を実感できず不安になっています。また、隣の北条は豊かなのに…と不満を持っていますな。これに関しては千葉も同様かと。」
急速な発展と変遷に伴う戸惑いや不安などが集まっているのだ。
「唯一の救いは河東 伊豆 小田原周辺から海岸沿いは確実に安全だといえることくらいだな。」
気休めにもならないがつい独り言を言ってしまう。
「こちらの軍と河越城の設備についてのまとめと地図を持ってこい。奴らを撃退するぞ。籠城しつつ奴らに対して攻撃、最後に打って出る。」
「「ははっ!」」
すぐに小姓が地図を持ってきた。
「虎高、軍はどうなっている。」
「現在こちらの軍は若殿直轄軍が7000でしたが連戦によって重軽傷者全てを除くと6000程ですかね。軽傷者を入れると6500は居ますね。そして、元々の河越城にいた武蔵軍は出払っているものを除くと4500です。合計1万1000の兵です。
軍の内訳としては歩兵6000 盾隊1000 弓隊1000 鉄砲衆が1000 騎馬隊竜騎兵砲兵が2000です。
その内、砲兵に関しましては観測 調整するものが300ほど居ますので軽傷者や民から集まってきた者たちを誰にでもできる弾運びや弾込めを、させればほぼ全員300をそのまま使えます。」
虎高は俺の考えを読んで砲兵の運用にまで言及してくれた。
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