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「敵はほぼ上杉憲政に従ってきた武士が中心になって反撃してきております。関東諸連合の兵はこんなところで死んでたまるかという事なのでしょうか、早々に降伏、もしくは逃げ出して下野の方に流れております。降伏したものはその場で武装解除、腹這いにさせており、武具を奪った後は河野城に向かうようにさせています。
必要であれば上野の土地で管理して使う事ができると思われます。」
「そのあたりは、文官や氏政に任せておけば良い。あいつには伊豆から上野に移ってもらう予定だからの。それよりも、なにかがおかしい、ずれている感覚がちと気になるのう。」
氏康が発する言葉に報告をしていた兵はなんと言葉を返したらいいかわからずにただ沈黙を保つ。
「無理攻めはしなくても良いが、これ以上相手に逃げられることのないように徐々に圧力を強めていけ。相手とこちらの軍の差はほぼないに等しい。」
「はっ!現在中央は歩兵隊が張っていた前面から更に盾隊が徐々に侵攻を開始、現在の前面は盾隊、後ろに槍隊、その後方に遠距離隊となっております。歩兵隊は後方で息を整えさせながら左右に展開させています。
これによって左右では逃がさないための弓隊と騎馬隊のみだったのが面としての圧力を増しています。さらに騎馬隊は追討部隊に切り替え甲斐の方向に逃げようとした囮達へ向かわせました。現在の乱戦状況を考えますと越後の方に逃げようとする囮を追う力がございませぬ…。」
「それは仕方がないだろう。それにそう易々と超えられる山でもない。あの状況で逃げ出したならばこの戦場を片付けてからすぐに追っ手を放てば問題なく処理できる筈だ。」
「こちら側の形勢は決しましたの。相手の抵抗が少しずつ弱まっております。兵達の指揮を取るものが急に下がったように思われます。」
多目のその言葉の通りに、本命の逃走部隊である上杉憲政を含む囮部隊が準備しているところであったためだ。
「騎馬隊は追討部隊としてほぼ出してしまっておる。これ以上こちらから回す余裕はないぞ。」
「それは勿論にございます。最低限の2割はここに残しておりまする。」
「では、そろそろ大締めに入ろうではないか。」
氏康は軍配を振り下ろし最後の攻勢をかけていった。
~~~~
足利晴氏 河越城南東に3万5000の兵を率いて現る。
「義昭よ、本当に姿を見せた状態で休んでいてもいいのか?」
「ええ、今回の戦を物見させていた物達から聞いた話によると敵は天から鉄の塊のを落としてくるようですが、現在は北側に集中攻撃しているとのこと。
また、忍びによると砲というものが中に置いてありそれを移動もしくは、固定したものを使って天から攻撃をしているようです。
事前に調べさせていた話によるとここら辺には飛んできたことがないとの情報が上がってきておりますので一応安心はできるでしょう。
それに、こちら側が姿を見せることで相手の意識を分散させることができます。北側の軍もこちらの姿を見て抵抗を強めてくれる事でしょうし、攻めかかっている敵は焦りを生みます。それらを横目に我らはしっかりと休息を取り相手の城を落とし切りましょう。」
義昭の自信たっぷりの説明を聞いて戦が得意でない晴氏は安心をして待機をしている。手が震え、カタカタカタと鎧が擦れ音が鳴る。それに気がついた晴氏は深呼吸を何度かして周りの付き従う兵の多さ、そして、義昭達配下の姿を見て気合いを入れ直す。
北条に無理矢理血縁を結ばされ御輿としてしか生かされてこなかったが、足利の威光はまだ残っている。奴らは未知なる力で押し返しているが絶対的にこちらの方が優勢なのだ。恐れることはない。
「よし、2刻後に進軍を開始する。準備を始めよ!」
必要であれば上野の土地で管理して使う事ができると思われます。」
「そのあたりは、文官や氏政に任せておけば良い。あいつには伊豆から上野に移ってもらう予定だからの。それよりも、なにかがおかしい、ずれている感覚がちと気になるのう。」
氏康が発する言葉に報告をしていた兵はなんと言葉を返したらいいかわからずにただ沈黙を保つ。
「無理攻めはしなくても良いが、これ以上相手に逃げられることのないように徐々に圧力を強めていけ。相手とこちらの軍の差はほぼないに等しい。」
「はっ!現在中央は歩兵隊が張っていた前面から更に盾隊が徐々に侵攻を開始、現在の前面は盾隊、後ろに槍隊、その後方に遠距離隊となっております。歩兵隊は後方で息を整えさせながら左右に展開させています。
これによって左右では逃がさないための弓隊と騎馬隊のみだったのが面としての圧力を増しています。さらに騎馬隊は追討部隊に切り替え甲斐の方向に逃げようとした囮達へ向かわせました。現在の乱戦状況を考えますと越後の方に逃げようとする囮を追う力がございませぬ…。」
「それは仕方がないだろう。それにそう易々と超えられる山でもない。あの状況で逃げ出したならばこの戦場を片付けてからすぐに追っ手を放てば問題なく処理できる筈だ。」
「こちら側の形勢は決しましたの。相手の抵抗が少しずつ弱まっております。兵達の指揮を取るものが急に下がったように思われます。」
多目のその言葉の通りに、本命の逃走部隊である上杉憲政を含む囮部隊が準備しているところであったためだ。
「騎馬隊は追討部隊としてほぼ出してしまっておる。これ以上こちらから回す余裕はないぞ。」
「それは勿論にございます。最低限の2割はここに残しておりまする。」
「では、そろそろ大締めに入ろうではないか。」
氏康は軍配を振り下ろし最後の攻勢をかけていった。
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足利晴氏 河越城南東に3万5000の兵を率いて現る。
「義昭よ、本当に姿を見せた状態で休んでいてもいいのか?」
「ええ、今回の戦を物見させていた物達から聞いた話によると敵は天から鉄の塊のを落としてくるようですが、現在は北側に集中攻撃しているとのこと。
また、忍びによると砲というものが中に置いてありそれを移動もしくは、固定したものを使って天から攻撃をしているようです。
事前に調べさせていた話によるとここら辺には飛んできたことがないとの情報が上がってきておりますので一応安心はできるでしょう。
それに、こちら側が姿を見せることで相手の意識を分散させることができます。北側の軍もこちらの姿を見て抵抗を強めてくれる事でしょうし、攻めかかっている敵は焦りを生みます。それらを横目に我らはしっかりと休息を取り相手の城を落とし切りましょう。」
義昭の自信たっぷりの説明を聞いて戦が得意でない晴氏は安心をして待機をしている。手が震え、カタカタカタと鎧が擦れ音が鳴る。それに気がついた晴氏は深呼吸を何度かして周りの付き従う兵の多さ、そして、義昭達配下の姿を見て気合いを入れ直す。
北条に無理矢理血縁を結ばされ御輿としてしか生かされてこなかったが、足利の威光はまだ残っている。奴らは未知なる力で押し返しているが絶対的にこちらの方が優勢なのだ。恐れることはない。
「よし、2刻後に進軍を開始する。準備を始めよ!」
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