90 / 258
92
しおりを挟む
上杉憲政
「くそっ!このようなはずではなかったであろう!それに古河公方は何をやっているのだ!
まさか!元々我らを滅ぼすために北条と組んでいたとでも言うのか!」
軍の半分を切り離され、助けることもできずに関東諸連合が集まる北側に逃げてきた上杉憲政は仲間の裏切りについて疑うほど心に余裕がなくなっていた。
それもしょうがないことである。1月以上包囲しこちら側が有利だとたかを括っていたらたった1日もしない間に反撃を喰らったのだ。しかも大幅に相手よりも軍が多く、左右から挟み撃ちにしている状況でだ。(今川との共同戦線のこと)
「くそっ!古河公方がどうしているか誰かわかるものはおらぬのか!!!もしまだ連絡を取れていないのならば馬を使い潰してもいい!さっさとくるように連絡しろ!」
荒れに荒れ果てている上杉憲政を見て下野から来た諸将達は呆れ果てると共にどうやって被害を少なくして撤退するかに頭を切り替え始めていた。
~~~~
古河公方 足利晴氏
「者ども進め、我らを阻むものは全て圧殺するのだ。全軍前進!」
古河公方率いる直轄軍と佐竹を合わせた常陸連合はその数3万5000。古河城を発ち、川越城へと向かっているその最中であった。
そしてその側に控えるのは常陸の戦国大名と最近なった佐竹義昭。佐竹義重の父親であり、史実では父が手に入れた戦国大名の地位を盤石なものとするため内政と領地拡大にいそしみ常陸統一、一歩手前までをこなし、息子に後を譲った戦国大名佐竹氏2代目の男である。あまり目立たない男であるがその手腕は北条 里見に負けないほどのものである。
「義昭よ、そなたには期待しておるぞ。この戦が終わった暁には常陸旗頭はお主だと上意(命)を出そう。鹿島も小田もお主の元に集まるのじゃ。だから気張れよ。」
「はっ!全身全霊を持って奉公致しまする!」
史実ではあり得なかった佐竹の雄 佐竹義昭の河越への出兵が今ここに行われる。
~~~
山本勘助
「現場はどうなっておる?」
「はっ!戦場に潜り込んでいる風魔からはお味方優勢との事です。また、古河公方の動きがあったそうで、佐竹を率いて計3万以上の兵を動かし河越城へと向かっているようでございます。」
「ふむ、ならば奴らが出て行った後、砲兵達を率いて天雷戦を行う。奴らの退路を断ち我らの土地へと土足で踏み行ったことを後悔させてやるのだ。全軍侵攻用意。この一戦が北条の行く末を左右すると心得よ。」
周りにいた部隊長クラスの千葉昌胤 土岐為頼 正木時茂 正木時忠 が黙って頭を垂れサッと動き始める。山本勘助が率いる城攻め部隊計3500が敵の背後を突くために準備を終えるのはもうすぐである。彼らが率いるのは火力と速度を重視した馬力のある馬を使った天雷戦用の特別部隊である。
兵は基本的に鉄砲を持っており支援砲兵と陸戦隊で作られた氏政秘蔵の擬似現代兵である。まだまだ鉄砲の連射問題や砲撃の甘さや耐久力の問題など課題が山積みであるため天雷戦、つまり電撃戦の速戦専用だが真価が発揮される場面がやってきたのである。
~~~~
氏政
「父上、農民兵たちはこちら側に降っているようでございますが一部の武将たちが頑なに抵抗をいたしているようです。このまま一部を武装解除させゆっくりと敵戦力を削っていき最後に圧殺してもよろしいですが、その場合古河公方の動きが読めない以上危険が御座います。」
父氏康なら分かっているだろうが一応諫言しておく。これで俺の杞憂になればそれでいいのだが何故か嫌な胸騒ぎが収まらないのだ。
「ふむ、ではさっさと終わらせるようにしようか。多目!伏せさせろ!伏せない者は敵として殺すとな。その間に鉄砲隊を使い立っている者を皆殺しにしろ。」
「はっ!」
「父上!それは余りにも酷いのではございませぬか!?急ぐにしても他のやり方が…」
「甘いぞ氏政、お前は民を道具と言い切ったのだ。それならば貫き通せ。お前は民を重んじ過ぎる所がある。その弱さ、捨てねばお前が死ぬぞ。」
「…はっ。」
確かに俺は出来るだけ民を助けようとはしていた。なんやかんな言いながらも人殺しなんて起きない方が良い。自分から戦を起こしておいてそれを言うかという問題もあるだろうが、自分の手の中で救える人命は救いたい気持ちもある。その甘さが露呈したのだ。
「くそっ!このようなはずではなかったであろう!それに古河公方は何をやっているのだ!
まさか!元々我らを滅ぼすために北条と組んでいたとでも言うのか!」
軍の半分を切り離され、助けることもできずに関東諸連合が集まる北側に逃げてきた上杉憲政は仲間の裏切りについて疑うほど心に余裕がなくなっていた。
それもしょうがないことである。1月以上包囲しこちら側が有利だとたかを括っていたらたった1日もしない間に反撃を喰らったのだ。しかも大幅に相手よりも軍が多く、左右から挟み撃ちにしている状況でだ。(今川との共同戦線のこと)
「くそっ!古河公方がどうしているか誰かわかるものはおらぬのか!!!もしまだ連絡を取れていないのならば馬を使い潰してもいい!さっさとくるように連絡しろ!」
荒れに荒れ果てている上杉憲政を見て下野から来た諸将達は呆れ果てると共にどうやって被害を少なくして撤退するかに頭を切り替え始めていた。
~~~~
古河公方 足利晴氏
「者ども進め、我らを阻むものは全て圧殺するのだ。全軍前進!」
古河公方率いる直轄軍と佐竹を合わせた常陸連合はその数3万5000。古河城を発ち、川越城へと向かっているその最中であった。
そしてその側に控えるのは常陸の戦国大名と最近なった佐竹義昭。佐竹義重の父親であり、史実では父が手に入れた戦国大名の地位を盤石なものとするため内政と領地拡大にいそしみ常陸統一、一歩手前までをこなし、息子に後を譲った戦国大名佐竹氏2代目の男である。あまり目立たない男であるがその手腕は北条 里見に負けないほどのものである。
「義昭よ、そなたには期待しておるぞ。この戦が終わった暁には常陸旗頭はお主だと上意(命)を出そう。鹿島も小田もお主の元に集まるのじゃ。だから気張れよ。」
「はっ!全身全霊を持って奉公致しまする!」
史実ではあり得なかった佐竹の雄 佐竹義昭の河越への出兵が今ここに行われる。
~~~
山本勘助
「現場はどうなっておる?」
「はっ!戦場に潜り込んでいる風魔からはお味方優勢との事です。また、古河公方の動きがあったそうで、佐竹を率いて計3万以上の兵を動かし河越城へと向かっているようでございます。」
「ふむ、ならば奴らが出て行った後、砲兵達を率いて天雷戦を行う。奴らの退路を断ち我らの土地へと土足で踏み行ったことを後悔させてやるのだ。全軍侵攻用意。この一戦が北条の行く末を左右すると心得よ。」
周りにいた部隊長クラスの千葉昌胤 土岐為頼 正木時茂 正木時忠 が黙って頭を垂れサッと動き始める。山本勘助が率いる城攻め部隊計3500が敵の背後を突くために準備を終えるのはもうすぐである。彼らが率いるのは火力と速度を重視した馬力のある馬を使った天雷戦用の特別部隊である。
兵は基本的に鉄砲を持っており支援砲兵と陸戦隊で作られた氏政秘蔵の擬似現代兵である。まだまだ鉄砲の連射問題や砲撃の甘さや耐久力の問題など課題が山積みであるため天雷戦、つまり電撃戦の速戦専用だが真価が発揮される場面がやってきたのである。
~~~~
氏政
「父上、農民兵たちはこちら側に降っているようでございますが一部の武将たちが頑なに抵抗をいたしているようです。このまま一部を武装解除させゆっくりと敵戦力を削っていき最後に圧殺してもよろしいですが、その場合古河公方の動きが読めない以上危険が御座います。」
父氏康なら分かっているだろうが一応諫言しておく。これで俺の杞憂になればそれでいいのだが何故か嫌な胸騒ぎが収まらないのだ。
「ふむ、ではさっさと終わらせるようにしようか。多目!伏せさせろ!伏せない者は敵として殺すとな。その間に鉄砲隊を使い立っている者を皆殺しにしろ。」
「はっ!」
「父上!それは余りにも酷いのではございませぬか!?急ぐにしても他のやり方が…」
「甘いぞ氏政、お前は民を道具と言い切ったのだ。それならば貫き通せ。お前は民を重んじ過ぎる所がある。その弱さ、捨てねばお前が死ぬぞ。」
「…はっ。」
確かに俺は出来るだけ民を助けようとはしていた。なんやかんな言いながらも人殺しなんて起きない方が良い。自分から戦を起こしておいてそれを言うかという問題もあるだろうが、自分の手の中で救える人命は救いたい気持ちもある。その甘さが露呈したのだ。
11
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
夕映え~武田勝頼の妻~
橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。
甲斐の国、天目山。
織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。
そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。
武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。
コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる